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GIFMO|デリソフターの歩み

食べ物を見た目そのままで柔らかくできる調理家電の会社、GIFMO。そこに込められた思いやお客様とのつながりを営業部長である水野さんに伺いました。



水野さん:お客様に気を使わせないまず玄関からストーリーがあるんです

建木:そうなんですね!

水野さん:最初びっくりされたっておっしゃったでしょ。なぜ民家なのかっていうとですね、例えば課題を抱えてらっしゃるご家族さんがいてビルだったりするとかしこまっちゃうでしょ?そういうところから一軒家の古民家を借りて会社をさせていただいているんです。お客さまが入っても実家に帰ってきた雰囲気で、気を使わないでいいっていうところに最大限のご配慮しています。真ん中の座敷の部屋にお子さんを寝かしてあげたり車椅子の方も入ってくることができます。今あんまりされないようなところまでさせてもらってるっていうところが特徴です。

建木:なるほど!

水野さん:玄関に入ると商品やこれまで開発で使われてきた機器が並んでいます。これが今販売している商品なんですけど、一番最初はこの圧力鍋でしたね。ここからヒントを得て、アメリカのテキサスSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)っていうところで未来の家電という扱いで今の形のものを発表してきました。また、お客様が毎日使われて不備があっては困りますよね。なのでGIFMOも毎日誰かが調理モードで3回ずつ毎日実験をしています。それを記録でつけているんです。
これからやわらか食を召し上がっていただきますけど、デリソフターって圧力鍋だけでは完成しないんですよ。いろんな治具を使いながら成立しているんです。最初はフォークで物性に穴を開けてやっていて。

建木:これは剣山ですかね?

水野さん:そう面白いでしょう。で、最終的にはこの形になったんですね。今は昨年の10月からはこちらのハンディータイプ。片手でできるものに変わってきています。玄関入ったところのブースはGIFMOのデリソフターの歴史がわかるようにしつつ、毎日点検をしてるみたいな場所になっています。

嚥下だけではなく様々な課題を持つ人へ


水野さん:なぜGIFMOに目をつけてくださったんですか。

建木:高校の頃、介護施設と病院給食の施設にインターンに行きそこでやわらか食っていうのがあるんだっていうのをそこで知って。その経験もありつつも、自分自身が矯正をしていて顎変形症っていう手術が必要でして。それで2週間ほど入院していて口から食べられなかったんです。

水野さん:一番最初のメールに書いてあったね。

建木;はい。経鼻経管栄養って言って、チューブで直接胃に入れるのが本当に嫌で。食べた気になれなくて。私どもは調理師の免許を持ってるってぐらい、食べることっていうのがものすごく大好きなんですね。
入院は終わっても顎が骨折している状況なので食べることができなくて、1ヶ月ほど。



食べられるようになって初日のご飯。何が何だかわからない


水野さん:1ヶ月も!!

建木:刻んだものとか、どろどろのものとかっていうのを食べていて。それでやっぱり、見た目が自分はとても嫌で。優しさで刻んでくれてるのは分かるんですけど受付けなくて。みんなと一緒のものが食べられないっていうのも嫌だし、見た目が違うことによって自分が同じものを食べているっていう風に思えなかったんです。それでご連絡させていただいたっていうような形です。活動自体は前から知っていて。最近よくメディアさんの方にも取り上げられていますよね。応援しております。

水野さん:今日体験していただくこの商品ね、絶対に建木さんにぴったりです。なぜならばデリソフターは嚥下だけじゃないの。この咀嚼っていうところで難しい人にも良い製品です。柔らかければ、噛む回数が少なくて済むじゃないですか。是非今日食べていただいて、色々感想いただけたらなと思います。
建木:はい。

水野さん:今、学生さんにそうやって注目をしていただけるっていうところがGIFMOの財産だと私は思っていて。とても嬉しいです。

使う人に寄り添う優しい家電


水野さん:じゃあこれだけ先に説明させてくださいね。今日はニチレイさんの冷凍食品の唐揚げを準備しました。で、この唐揚げをこのままデリソフターにかけても私たちが目指す柔らかさにはなりません。
学会のコードって分かります?私たちは健康でどこも悪くないので、普通食を日頃食べているんです。2013年の嚥下のコードっていうピラミッドがあるんですね。

建木:それならわかります。

水野さん:良かった。デリソフターは、そのコードの4番、3番の人を対象とした製品なんです。
例えば4番、3番はきざみ食やムース食のあたりです。それを形のまま提供することができます。2019年にデリソフターが誕生するまでは、こういうレトルトのもので舌でつぶせる、歯ぐきでつぶせるっていうものを器に入れて出されていてそれだと家族と同じものが食べられないですね。
さっき建木さんが私に言ったけど、気を使ってハサミでカットしてくれるんだけども、それは本当は当事者はとてもつらく、こういうのを食べたくないみたいなこともあるわけでしょう。
では実際に商品を使っていきます。GIFMOのデリカッターは2つあります。昨年の9月末まではこちらの大きなデリカッター。で機種はDS−1っていう機種になってました。で、10月からはDS−1Cっていう、こちらのデリカッターに変更してます。あとは本体とこの専用台と専用皿。これは前のものと一緒です。それではこういうお肉を柔らかくしたい時はこの専用のデリカッターで、この唐揚げのお肉の繊維を断ち切る作業をします。繊維って色んな方向から走ってるでしょ?それをキャベツの千切りをするみたいな感じで、大体5ミリ間隔でこうやってお肉の繊維を断ち切っていきます。でも見てください形は変わっていませんよね?

建木:確かに、あんまり刃が入ってる感じはしませんね。

水野さん:そう、しないんですよね。これを何回もしてあげることによって効果が増すんです。お肉の繊維を断ち切れば、断ち切るほど柔らかくなるって思ってもらえたらいいと思います。こうやってお肉の繊維を断ち切ったものを専用皿に載せます。これを入れますね。セットします。本体の普通の圧力鍋と違うところは、片手でスライドできるっていうところ。
課題のある方もやっぱりいらっしゃいますからね。普通の圧力鍋は両手を使わないといけないし、力が要ります。だけど、デリソフターは課題のある方でも片手で動作ができます。
蓋をスライドしていただいて、この黄色いボタンを押していただくと蓋が開閉します。そしてまず中に200mlの水を入れます。どんなお料理を柔らかくしたい時でも200mlです。で、今用意した唐揚げをセットします。そしてスライドで蓋を閉めます。調理モードが点滅してますよね?モードは実は5番までございます。4番を3秒間長押しすると、調理モード5番に変わります。
5番に変わったら調理開始っていうところのボタンを押すと点灯に変わります。これで今から29分です。29分後には形そのままで出来上がったら歯茎でつぶせるっていう所まで持って行きます。

建木:へー!これって番号で何が変わるんですか。

水野さん:1番では12分でおやつだったり、フルーツだったりが柔らかくできます。2番だったら15分でお野菜ができます。お二人に召し上がっていただくお野菜は、今日は2番でしました。3番は19分でお魚です。4番は24分でハンバーグだったり、ひき肉料理です。5番は出来上がった食材ですね。唐揚げだったり、そういうトンカツだったりそういうものを柔らかくするっていう調理モードです。デリソフターはおもりも全自動です。勝手に検知をするんです。なので安全に使えます。

このデリカッターの刃物は、岐阜県関市っていう刃物の有名な町の会社さんで作っていただいてます。この前の型のDS1という名前のデリカッターは5つの部品で構成されていて、両サイドのロックレバーを外すと、ハンドルが外れてこうやって刃物が収納されてるの。洗って乾燥させてまた組み立てないといけないんですよね。ちょっと邪魔くさいね。

冨田:片手ではできなそうですね。

水野さん:そうなんです。なのでこちらのDS−1Cというものにリニューアルをさせてもらいました。今のものは4つの部品で構成されていて、これは食洗機にそのまま入れて洗えるっていうところで、すごく簡単でまた清潔に使える。かつ小回りが利くんですよ。前のものはそういうわけにはいかず、課題のある方にはちょっと大変だっていうところが分かって変えたという感じですね。

日常の喜びを諦めない



水野さん:次にデリソフターでできることについてお話させていただきます。主にデリソフターという商品は、それぞれの家庭の味、お母さんの味、おばあちゃんの味、奥さんの味を食べ続けられる喜びっていうところに付加価値を置いています。
他にも例えば食べられなくなる前まで私はあそこの飲食店の料理が好きだったんだよねっていうのがあったりするでしょう?それをデリソフターにかけていってもらってやわらか食として召し上がっていただくっていう方法がメインとしてはあります。ですが、ずっと柔らか食ばかりいらないのってなった時には、専用皿とカッターを使わなければ、柔らか食以外の御飯も作れるんです。圧力鍋だから。

冨田:ああ、なるほど

水野さん:基本は圧力鍋の仕組みですからね。大体介護をされてるおうちの方は、圧力鍋で調理をしたりします。だけれども当初はそういうことをお客様には訴求していなかったんですけど最近は普通食の方でも利用できることも打ち出させてもらっています。例えば玄米ごはんです。玄米ご飯は結構な時間がかかりますよね。でも玄米ご飯でも、デリソフターは29分で炊けちゃいます。

建木:すごいですね。

水野さん:それがまた美味しいのでお勧めできますね。


支えられて成長する会社、GIFMO


水野さん:今、ユーザーさんがいろんな使い方をしてくださって、その投稿をしてくださってます。こんな使い方もできて、あんな使い方もできてみたいなことを沢山言ってくださるので、その声は大切にしています。

建木:お客様とのコミュニケーションをすごく取っていくっていうのが鍵になっているのですね。

水野さん:そうです。お客様とダイレクトに繋がることによって、お客様も一緒に参画をしてくださいます。この商品はお客様と一緒に成長させていただくような優しい商品になっているので、デリソフターってこんな商品なんだって色んな人に知っていただきたいです。自分も会社の玄関を出ればお客様です。自分もお客様の観点でこんな商品があったらいいなっていうのでこの会社が始まってるのでお客様視点で商品を改善していっています。一番はお客さんのことが絶対大事で、そこを変えないっていうところがGIFMOのいいところなんじゃないかなって思っています。

建木:気になってたんですけど、番号によって分数って変わってくるじゃないですか。先ほど仰っていた数も10分とかきっちりな数じゃないですよね。それは何か理由があるんでしょうか。

水野さん:はい、ありがとう。聞いてくださって。上に行けばグラフがあるんですけど、これは私と小川さんっていう女性がいるんです。2人でね何分圧をかけたら、ここまで柔らかくなるのかっていうのをずっと調べ続けていた時があるんです。すごく過酷で。パナソニックの従業員が利用する食堂があるのです が、そこのおかずを1ヶ月間、ずっと圧力鍋にかけ続けていて。窓もない私の事務所をプロジェクトの部屋にしていたんです。
99品目を朝10時半ぐらいから夜の8時ぐらいまでずっと実験をしていて。何回も失敗しましたよ。そういうプロセスがずっとあるから今は何でも答えられます。だからお客様にはこうした方がいいよっていう回答を言ってあげられますね。
なので、その時間っていうのはこれまでの実験の成功を得てこの時間に設定されています。その質問はあんまり聞かれないから、すごいなって思いました。

建木:ありがとうございます。

柔らか食で笑顔を繋ぐ


水野さん:ケア児童のご家庭にもね使ってもらっているの。あとはグループホームさんだったり、歯医者さんだったり、大学病院だったり、小規模多機能さんだったり。そこに通う方たちも今まできざみを食べさせてきたものを形あるものを食べさせてあげられるっていってらして。しかもご飯も炊けるから管理栄養士の先生は願ったりかなったりですよね。給食を調理をされる方も、今まであるものを刻んでいて腱鞘炎になったりとか形あるものを潰すことへの罪悪感とかも解消されて。そういう人たちにも優しい商品だと思っています。
こんな商品があったらいいなという想いから始まっているので思い入れは大変強いです。いろんな人に役立てば良いなと思っています。柔らかくしたお野菜食べられましたか?歯を使わずに舌で食べてみてください。どうです?

冨田:自分たちみたいな普通食の人でも例えばポトフ作ったりとかしたらおいしくいただけるんじゃないですか?

建木:にんじんもめちゃくちゃ甘くなってますね。おいしいです。

水野さん:うれしいわ。そうやって言ってくれて。これは唐揚げ、食べてみてください。

冨田:いただきます柔らかくて美味しいです!ホロホロしてる肉になりますね。

建木:食べごたえがちゃんとありますね。

水野さん:そこが大事なんです。自分で噛もうと思えるから、それがリハビリにもなる。今ね唐揚げを5番でかけたんだけど、4番でもいいわとか今日は3番にしてみよ、今日は2番にしてみようってできるんです。そうすると柔らかさも変わって自分の噛むリハビリにもなるんですね。

冨田:確かに!いいですね。

冨田・建木:本日はありがとうございました。


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