「電車とベンチャーの話」外国語の発音は難しい!
日本語を教えている生徒さんの国籍は様々ですが、今回は中国人の生徒さんの珍しい間違いについてお話したいと思います。日本在住9年目でとても日本語が上手な生徒さんなので、ニュースや教育の話など、難しいトピックについてお話しすることもあります。この日はお仕事のお話をしていました。
「~~の時は~~で、電車の時は~~。」と全く話の流れに合わないところで、「電車」という単語が聞こえてきました。「電車ですか?」と聞き返すと、「電車です」と答えます。その時、「ベンチャー」と言いたいのでは?と気づきました。
皆さん、「電車」という下から上に上がるアクセント型で、「ベンチャー」と言ってみてください。びっくりする位、「電車」に聞こえます。2つ共母音が同じだから、(densha, bencha共にenという母音と最後のaの母音が同じです)アクセントを間違えたことで、「電車」にそっくりな発音になります。この時は、「ベンチャーは、上から下に音が下がります。」とお伝えして、生徒さんが何回か発音を練習して、やっと正しいベンチャーの発音に直りました。
日本語は英語や中国語と比較して、母音は5つと子音は9つと少ないため、仮に「laku」と発音されても、「raku」と発音されても「多分らく(楽)のことだろうな」と推測できます。今回は音が合っていても、アクセントが大きく違ったことで、全く違う単語に聞こえるという「空耳アワー」のようなことが起こってしまいました。(空耳アワーご存じない人もいらっしゃるでしょうね。外国語がこのように聞こえますというテロップを読むと、もう日本語にしか聞こえなくなるという、あれです。)
ちなみに、中国語でも英語でも「l」と「r」の発音を明確に区別するため、発音がしっかりできていない場合は、聞き返されてしまいます。また、中国語では4声といって発音+4種類のアクセントがあるため、この4声を間違えると全く違う単語になってしまうというトラップがあり、とても難しくもあり、面白くもあります。
この中国人の生徒さんは上級者のため、文法でも文章でも大きなミスはしないですが、それでも日本語のボキャブラリーは難しいと言っています。時々知らない単語が出てくると、漢字で書きながら説明できるので、便利なこともあります。これからも頑張って勉強していただきたいなぁと思っています。