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生と死の境界線
生と死の境界線は
いつも紙一重なんだ
それは小さい頃から感じていた
そして今も感じている
産まれたときは
いちばん死に近いところから誕生してきて
やがて人生を終えてそこに還るまでも
あっという間のことだと思うんだ
子どもの頃は
ずっと先だと思っていた大人に
もうなっているのだから
ずっと先だと思っている終末も
ずっと先だと思っている間に
そこにいるのだと思うのだ
大切なことは
そのときの自分が
どう思って
終末を迎えるかじゃないだろうか
もしも
その未来から振り返って
今なら間に合うことがあるのなら
細かいことは置いておいて
後先もどうにかなるのだから
その人生を選べばいいのではないか
やがて死は向こうからやってくるのだし
そこからは逃れられないのだから
今が例えば生と死の境界線に
立っていたとしても
自分から死を迎えにいくことはないさ
そうだ
ぼくはそれをしない
それをわかっていても
境界線はいつ越えてしまうかはわからないのだから
やっぱり今のぼくにできることは
今を精一杯生きること
例えばそれが
どんなに価値を感じられないような生だとしても
生きることを選び続けているだけで
それは本当にすごいことだと思うんだ
だって
生と死の境界線は
いつも紙一重なんだから
だから
生きているきみを抱きしめてあげて
生きているぼくを抱きしめてあげて
今日を生き抜いたことに
100点をあげようよ
それが
実はどんなに難しいことか
ぼくは忘れはしないから
生と死の境界線を歩くひとを
ほかのひとは
決して分かろうとはしない
だって
そのひと自身さえも
生と死の境界線を歩いていることに
気づいていないのだから
ある日とつぜん
ぼくがいなくなったなら
それでも変わらず
世界は続く
世界は回る
だからきみもぼくも
決していなくなってはいけないんだ
自分からは
だって悔しいじゃないか
ぼくらがいなくても
変わらない世界なんて
ぼくらも世界を回しているし
ぼくらも世界を続けている
ぼくはそう思っているから
だから
死の方から迎えに来るまでは
ぼくらの役目を
全うしようよ
どちらにしても
紙一重のいちにちなんだから
そんなに思い詰めることもないさ
そんなに絶望することもないさ
だって望みは絶たれることなんてないんだから
はじめからないものは絶たれはしない
はじめからないから
常にそこにあったのだ
なぜなら
望みとはきみのことであり
ぼくのことなんだ
望んだから産まれ
望みは世界に探すものではなく
望みの中でやがて死んでいく
きみこそが
ぼくこそが
望みなんだから
自分の外側に望みを見失ったとしても
心配しないで
生と死の境界線を歩く足元を
かぼそく照らす
望みの光は
産まれた瞬間から
死する瞬間まで
ぼくらの中から
導いてくれているから
今日もこうして生き抜いた
明日が来たらば
明日を生き抜く夢の中
きみとはまたここで会うだろう
そのとき
きみとぼくがまだ生きていたら
お互いに100点をあげよう
紙一重の今日と明日を生き抜いた
ぼくらのために
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