情シス主導で「気持ち良いDX」を成功に導くための現場巻き込み大作戦
たまにはDXをテーマに書いてみましょうか
(正直、DXと言う言葉は使いたくないけど)
DXと言っても、システムや事業戦略寄りの堅苦しい話を書くつもりはない。いや、書けない。
なので今回は、人が中心のDXとか、アナログっぽさが残る現場が気持ち良いDXってなんだろう?と言う視点からスタートします!
▶︎パリは気持ち良い街?「超アナログ人徳パワープレイ」の話
人が中心のDX、アナログっぽさが残る現場が気持ち良いDX
このテーマを書こうと思ったきっかけは、
岸田奈美さんのこのエッセイを読んだから。
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このエッセイ、簡単にまとめると、、
著者の岸田奈美さんがパリオリンピック観戦でで訪れたパリ。車いすのお母さんとともに体験した出来事を描いているが、そこでバリアフリー環境がイケてない現実に直面しつつも、地元のダンディーなオジさんや警官たちの親切な対応【🟰人徳パワープレイ】に気持ち良いサポートを受けたエピソードがユーモラスに語られている。
特に印象的だったのは凱旋門でのエピソード。車イスでは横断出来ない道を警官が「よっしゃ、ちょい待ちな」的なノリで即座に道路(公道)を封鎖、日本では考えれない行動で見事に道の向こう側の凱旋門に辿り着けた、と言うのだ。
パリの歩道は石畳でガッタガタ
車椅子ユーザーは単独で凱旋門への道を渡れない
オシャレな店に入ろうにもスロープはない
ここだけを読むと、パリは車椅子ユーザに優しくない街と言う印象をもたれでも仕方ない。
ところがパリは、そういったシステムやハード面の課題を、人のサポートと言う超アナログスキルでカバーしちゃうという、情シスからすると「荒技を使ってユーザーを気持ち良くさせた」的なことになっているのだ。
さて、日本はどうだっけ?
店内入口にスロープがあれば◎
車椅子用の専用駐車スペースがあれば◎
段差がない歩道があれば◎
ピクトグラム風の案内標識があれば◎
でも、それだけで良いの?
スロープから店に入ると面倒くさそうに見る人車椅子用スペースに堂々と停まる普通車
バリアフリーの歩道に溢れるママチャリ
作ったらオシマイ
設置したらオシマイ
になってないかい?
そこには、もはやダンディーなオジさんや警官たちの親切な対応【🟰人徳パワープレイ】はないのだ。
※岸田さんのnoteでは、パリのガタガタ石畳歩道や、凱旋門前ポリスの人徳パワープレイの様子が動画で観れます
▶︎ニッポンのDXの話をしよう
さて、バリアフリーについて話しをしたい訳ではないので、DXに話を戻そう。
何を隠そう、うちの会社も今まさにDXを押し進めており、仕事の仕方やビジネスのあり方を変えるためのシステム刷新の真っ只中にいる。
しかしだ、
ふと、一連の取り組みを振り返ってみると、システムの入れ替えや導入ばかりに力を注いでしまっている気がしてならない。
確かにシステム刷新をすることで、縦割りの仕事の仕方を見直し、業務とシステムの全体最適化を進めるのもDXの大切な目的である。
だが、それだけで良いのか?
なんか、味気ないのよ…
こんなことが忘れられている気がしてならない
使う人にとって気持ち良く気分がアガる
使う人が主体的に動き成長する
その先にいる顧客もきっと嬉しい
正直、自分はヨーロッパ企業のDX事例を知らないし、ニッポンのDXが全てクソだと言うつもりもない。
それでも、システム刷新について社内から聞こえてくる話や、ユーザー企業とベンダーが揉めてます的なニュースを見るたびに、ニッポンの企業風土や文化にあったDXのコンセプトや進め方があるのではないか?
そんなことを考えてしまうのです。
▶︎人やアナログを排除したシステムに「気持ち良さ」はない
DXのシステム刷新で良くある考え方
業務フローを見直す
ムダや個別最適を排除した標準業務プロセスやルールを決める
そのルール通りに業務が進行するようシステムを構築する
ERPや会計システムなど、企業経営や基幹業務に関わるシステムはこの考えに基づいて構築される。
しかしその一方で、現場が使うシステムにこのポリシーをそのまま適用してしまうとどうなるか?
現場から生まれる工夫や改善といった要素が排除されてしまう恐れがある
さらに、DXの推進部門が押し付けたシステムを「使わされる」意識が芽生えてしまうと
「俺達の意見は反映されないんだ、チェッ!」
となってしまい、デジタルを使った業務改善に対して現場のモチベーションを下げてしまいかねない。
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例えば、外資ベンダーが成功事例だと謳って導入した最新のWebマーケティングシステム
そのシステムは、お客様の悩みを聞きながらきめ細かな提案をする泥臭い営業スタイルを否定してはいないか?
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例えば、現場に対して大量の入力項目をパソコンで入力させるような基幹システムのオプション機能
両手が塞がった状態で作業をする整備士が使えないから、仕方なく紙にかいてパソコンで転記してたりするようなムダを発生させてないか?
DXの看板を掲げて華々しくデビューしたシステムは、果たして現場にとって「気持ち良い」ものなのか?
▶︎現場が気持ち良いDXは「現場巻き込み大作戦」から
自分は情シスであり、現場の気持ち良さをちゃんと理解しているわけではないが、試行錯誤した中でどんな取組みや行動が現場に刺さったかを少しだが経験させて貰った。
そこで学んだ「現場が気持ち良いDXの進め方」をまとめてみた。
現場と対話をしながら、一緒に仕組みやルールを作り上げることが、
現場にとって気持ち良いDXを生み出す
もっと具体的に説明すると…
情シスが現場と対話をしながら一緒に改善を進めて仕組みやルールを作り上げるには、段階を踏んだり、部門に対して色々なアプローチを意識的に仕掛けて、巻き込んでいく必要がある。
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①現場との距離感を縮める
まず、両者が対等な立場になることが前提
情シスは、現場部門の下請けでもないし、上から目線のご意見番になってもいけない。
さらに、業務改善するぞ!と言って、現場に勝手にズカズカ入り込み掻き回しても迷惑なだけだ。そこで、、
作戦1️⃣
面倒なことを変わりにやってあげる作戦
自分の場合、ソフトやパソコンの管理や購入時の事務手続きを代わりにやったり、稟議書の下書きを書いたりした。
ついでに管理台帳を作ってポータルサイトで共有する仕組みも作った。先ずは自分が出来る範囲でGive&Takeする作戦。Giveが先!
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②現場部門の理解を取り付ける
担当者同士で話が盛り上がっても、部門長やキーマンの理解がないと闇に葬り去られる潰されてしまう。
特にJTCでは、この理由で失敗しているケースが多いと思う。ノリと勢いだけでは突破出来ないのがJTCなのだ。そこで、、
作戦2️⃣
大義名分を作る作戦
現場の業務改善を進めるにあたり、大義名分があるとスムーズに進む。
自分は現場部門と話をする前に必ずその部門の今年度の方針(重点施策)を読んでから話し合いの場に行くことにしている。そして、その中の改善テーマの困り事を聞うたら、そこを一緒にやりましょう!と提案するのだ。
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③デジタルに詳しいキーマンを見つける
さあ関係構築も出来たし、キーマンも抑えた!
ヨシ、進めるぜ!
あれ?
現場にデジタル分かる人いない…
え?あとは宜しくって…
うう、丸投げ?
このパターンもJTCあるある。そうならないために、次の作戦を発動した。
作戦3️⃣
社内勉強会でキーマン発掘大作戦
現場部門と一緒に業務改善を始めたら、現場の推進役がいなくて情シスに丸投げ…なんてことになる前に、勉強会を開いて種まきをしておくことが大切。
テーマは簡単で汎用性の高い内容をやれば良い
例えば、、
チームで使える情報共有のやり方
Webを活用した新しい会議のやり方
Teamsで報連相しよう
間接業務を削減しよう
みたいな感じ。技術的な敷居も低くして、Microsoft365やkintoneといった利用者がちょっとだけ頑張れば出来るレベルに設定する。
こんな勉強会を半年間、オンラインで毎週やり続けたら、興味を持って自らの意思で参加して来た人が合計150人集まった。
ポイントは、半年は継続してやり続けること!
▶︎情シスはゴールに向かって突き進め
では、そのために情シスは何をすべきなのか?
おうッ!
やるべきことが山ほどあるではないか!
情シス部門がやるべきことがこんなにたくさんあるのに、一方で未だに「ひとり情シス」などの旧態依然とした脆弱な体制しか組めない企業が多いことが問題だ。
情シス不要論があるが、それには社員のITリテラシーを一定以上底上げしてからの話。まだまだニッポン企業には情シスが必要だ。
でも目指すゴールの姿と、現実のギャップが大きすぎて戸惑いや不安を抱えているのが、今野情シスの現状の姿なんだと思う。
現状に加えて上記の役割や機能そして人材が必要だ。求められるスキルが違うので、システムやインフラの開発運用チームとは別チームで推進していく必要がある。
もちろん、外部の知見も入れながら。
長い道のりだけど、やらないといけないことは間違いない。
▶︎終わりに
情シス🟰会社のパソコンのお守り、便利屋さん
この長年積み上げた情シスのイメージを脱却しなければ、明るい未来はない。
さらに情シスは、この課題を【自責】と捉えて自ら変わろうとしないといけないと思う。
経営の理解がない
体制と予算が足りない
俺の提案はいつも通らない
先ずはこの情シスの
「3大ネガティブワード」
を封鎖しよう
情シスが現場と一体となって推進する「気持ち良いDX」
それはいざとなったらパリ市民のような【人徳パワープレイ】で気持ち良く乗り越えちゃうようなアナログ的な要素を残したシステム。
そんな人間クサイ組織やシステムも良くないですか?
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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