あのとき選択できたわけ。
これまでの人生で、自分にとって大きな選択、決断が
できたときっていつだろうかと思い返してみる。
進学、就職、結婚…
大きな決断=だいたいこの辺りが思い浮かんだけど、
私が心の底から本気で
「絶対に実行してやる!!!」
と決断したのは、この3つの中のどれでもなく、
なんと沖縄の離島へのひとり旅だった。
あの頃の自分はとてつもなく追い込まれていた。
私が勤務している部署のスタッフが、
短期間で全員入れ替わってしまったのだ。
まずは先輩が別部署に異動になる。
その後同期が産休に入る。
すると後輩が予定より1ヶ月も早く退職する。
とどめに上司が変わり、それによって私の長期休暇も予定より2ヶ月延長。
※私の仕事はサービス業の為、年に一度好きなタイミングで長期休暇を取得できる。
そんなことある?これはいったい何の苦行ですか?
なんて絶望に浸る暇もなく、日々を生きるだけで
本当に精一杯の毎日だった。
そんな毎日を送っていると、自ずと心に余裕がなくなり、自分でも気付かない内にすっごい〈やなヤツ〉に
なっている。
段々と自分本位になり、「どうして私ばっかり。」
という思考に陥ってしまい、挙句の果てには
自分の無力さは棚に上げて、周りや環境が悪いと決めつけてしまう。
その頃、時を同じくして、私のパートナーの職場も
繁忙期を迎えていた。
次から次へとやってくる仕事に忙殺される私達は、長年の付き合いに甘え、お互いに思いやる余裕もなくなってしまい、なんと私の誕生日目前で破局。
もう本当に限界だった。
大人になって初めて親の前でわんわん泣いた。
何もかも「もう知らん!」と全てを放り投げて逃げ出したかった。
が、そんなことができる度胸もなく、、、
次の日も渋々仕事に向かう私。えらい。
同じようなシーンを少女漫画で読んだ時、みんな
「仕事をしてる時の方が彼のことを考えなくていいからマシだわ。」って感じのことを漫画の世界の女性達は
言ってたけど、あれ本当です。
沈むとこまで沈み切って、迫り来るドス黒い感情をなんとか宥めながら毎日を乗り切り、ひたすら長期休暇を待った。
そんなに長い期間じゃないのに、とんでもなく長く感じた。
そんな私の唯一の楽しみは、長期休暇での旅行計画だった。
行き先は決めていた。
沖縄にある小さな離島、小浜島。
とにかく、あの明るくて美しい青い海が見たかった。
波や木々が揺れる自然の音を聴きながら、好きな本を時間を気にすることなく読んで、一刻も早く心を休ませたかった。
実はパートナーとは、別れてからほんの1ヶ月程で
よりを戻すことになった。
どういう経緯でだとか、離れてる期間が短いだとか、周りからのツッコミは色々とあったが、ここでは詳しい経緯を話すと長くなるのでまた別の機会にでも。
せっかくよりを戻したので、一緒に小浜島に旅行しようと誘ってみたけど、今はそんなにお金に余裕がないと断られてしまった。
そりゃそうだ。
彼は一人暮らし、私は実家暮らし。
趣味、娯楽に充てることができる金額は全然違う。
今の私なら「じゃあまた2人で行ける機会に楽しみをとっておこう」ぐらいは言えるかもしれない。
けれど、よりを戻したとはいえ、まだまだ余裕がなく自分本位な私は違った。
年に一度しかない長期休暇で、旅行に行けるチャンスなんて滅多にないのに、どうして一緒に行ってくれないの!なんて自分勝手な気持ちしか見えていなかった。
「じゃあ1人で行くわ!!」
電話越しに彼にそう言いきった。
その後の彼の反応は正直なところ覚えていない。
でも、もっと落ち着いてからでもいいんじゃない?とかなんとか言われたような気はする。
そしてその彼の反応に非常に腹が立ったので、
(こちとらもういい加減限界なんですわ!!)
と、もうそこまで来てる言葉をなんとか飲み込んで、その場で航空券とホテルを予約したのを覚えている。
何度も開いた某リゾートホテルのサイトを開き、
何度も見ていた部屋の予約ボタンを押し、個人情報を入力していく。
その間電話は繋いだまま。しかし一言も喋らず。
いや、喋ったかもしれないけど覚えていない。
そのまま航空券とバス、石垣島から乗る船の時間を全て黙々と調べ、こちらも予約を完了させる。
よし、予約してやった!!
ここまできてようやく口を開く。
「予約できたわ。来月沖縄行ってくる。」
今思うと、彼は恐らく良い気はしなかっただろうな。
良い気どころか、ひょっとしたら悲しんでいたかもしれない。
けれど、私はこの小浜島への旅行を先延ばしにせず、
あの時にひとりでも行く選択をして本当に良かったと思っている。
誰に気を遣うこともなく、会話もせず、思うままに好きに過ごす。
美しい景色を見て、自然の音を聴いて、美味しいごはんを食べて、ようやく心に滞在していたドス黒い感情が少し薄めの灰色ぐらいになったような気がした。
真っ白になるまでは、きっと一ヶ月ぐらいは滞在しないといけないだろうな。
社会人になってから、どうも自分らしい選択をすることが減ったような気がしていた。
周りの意見、お客様のニーズ、会社にとってのメリット…
仕事をしていると、自分の意見よりも優先すべき事が沢山あるのだから、仕方がないことなのかもしれないし、それも間違いだとは思わない。
けれど、この沖縄へのひとり旅を選択したことは、いつの間にか忘れていた大事なことを思い出すきっかけとなったので、私にとっては間違いなく大正解。
これから先の人生も、自分の気持ちを大事にする選択肢を選べるような自分でありたいと強く思う。
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