[ト説]下も捨てたもんじゃない
今回のお話のベースも引き続き映画『マトリックス』の世界観です。
世界は、コンピューターシステムが作り出した仮想現実で、そのことに気づいている人間は、ごく一部ということですが、その一部と云うのが上位の者たちだけではない。下位にも気づく者たちがいる……。
上位のほうは、わかりますね。
優秀だから気づく、というよりも、自分たちが日頃、大衆を操作しているんで「仕掛け」の発想がある。もしかしたら、自分たちも誰かに操られているんでは? と思うわけです。
そう思って、この世界を見つめ直すと、世界の仕組みも次々に起こる事件も、ああ、ぜんぶ設定であり、シナリオっぽいと。
じゃあ、食べるのに精一杯な「最低のヤツら」の中に、どうして気づくものが現れるのか?
底辺の経験がある人なら、察しがつくかと思いますが、やることなすこと、あまりに酷い結果ばかりなので、
「こんなのイカサマだ!」となるわけですよ
むろん、世間からは笑われます。「何を負け惜しみを云ってるんだ。そんなの自己責任に決まってるだろ!」と相手にもされない。
でもね。演劇の監督になったつもりで、考えてください。
優秀な役者にエリートの役をやらせて、下手くそな役者に貧乏人や落伍者の役をやらせて、それでいい舞台になると思いますか?
そうじゃないですよね。ナンバー2かナンバー3くらいの役者に底辺の役をやらせることで、ぐっと舞台が引き締まる。
オマエも準主役級だと云いたいのか?
滅相もない。でも、誤解を招く云い方でした。
優秀でも巡りあわせで下に落ちてる人間はドラマの華にはなるけれども、例外的。もっと一般的な例を挙げなければいませんでした。
スカンピンだと、シラけるんですよ。シラフの「シラ」です。普通の人々が愉しむ場所やイベントが羨ましいとも思わなくなる。その冷めた感覚が、「覚める」に似るんじゃないでしょうか。
世界のカラクリ…… バカですから、難しいことはわかりませんが、なんとなく空々しさが透けて見えてくる。
これ、愚痴とか自嘲じゃないですよ。
むしろ、喜んでるんです。底辺が感じてることが、エリートの見ている景色に近いものがあると云われて…… いや、その云い方は卑屈ですね。
底辺って、結構、穴場だったみたいです。マトリックスの外が覗ける~
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これだけだとトンデモらしくないので、最後に少しカッコづけ。
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見出し画像は echica111 さんの作品です。
ありがとうございました。