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[幻聴ラヂヲ]ヨボー劇場 第二幕

今日も聞こえてきたどこかの星の怪電波

今回は、ヨボーヤクの被害を取材するジャーナリストの話のようでした……

 ついに、ヨボーヤクで深刻な被害を受けた患者に対して、安楽死が実施された!

 これがどれだけ深刻な問題なのか、整理してみる。

 まず、障害の内容
 報告書には「ヨボーヤク症候群…… うつ病、心的外傷後ストレス障害、不安障害、人格障害」とある。
「ヨボーヤク症候群」というのは、「患者が、ヨボーヤクのせいでこうなったと云ってきた場合に、それはヨボーヤクによるフクサヨーではありません。あなたの気のせいです。被害妄想です」と医者が判断した場合につける診断名だ。だから、精神疾患の症状が列挙されている。
 循環器やら消化器やら呼吸器やら皮膚に深刻な異常があっても、それとこれとは別。たまたま同じ時期に発症したが関連はありません。医者がそう判断した場合に使われるのが「ヨボーヤク症候群」
 今回はその問題には深入りしないが、精神疾患者の場合には、意志の確認がきわめて重要になる。苦しいときに、死にたい、殺してくれ、と叫ぶのは衝動であって「意志」ではないからだ。
 ちなみに、薬で症状が落ち着いたときに書いた申請書ならいいのか?
 実は、症状が落ち着ついた時にこそ、自死が起こりがちなのだ。苦しい最中にはまともな行動が難しいので、症状が落ち着ついた時に、今がチャンスだとばかりに行動を起こすケースが少なくない。心神喪失の状態は、症状の山だけでなく谷でも起きることがある。したがって、もしそれが事故や犯罪に関係することであれば、複数の鑑定がなされるほど判断が難しい。密室で行うことなど断じて許さるものではない。

 第二の問題は、コストが理由になっていること。
 今回の安楽死の判定理由には、「医療費の公的負担の問題」が上げられているのだ。要するに「今後、税金を納める見込みがなく、コストばかりかかる人には、死んでもらったほうが社会のためだ」という論理。
 いわゆる「優生思想」というやつだが、そのように考える人は昔も今も一定数いる。ある意味、相当、根強い感覚で、建前を振りかざして抑えつけるだけでは、かえって見えにくいところで実行される。
 先年、福祉施設で職員が、障碍者を大量に殺傷するという陰惨極まりない事件が起こったが、それは信念に基づいた行動だった。犯人は、重度の障害者は社会に多大な迷惑をかけている存在だと思い込んでいた。
 今回の安楽死の判定委員にも、優生思想が蔓延していた可能性がある。むろん偶然、優性思想の持ち主が集まるわけがなく、任命者が優生思想の持ち主で、己の意にかなった人選をしたのだろう。
 優生思想の持ち主を福祉の担当者に任命すれば、支出が膨らむだろうか? それとも削減できそうか? ということだ。安楽死の判断基準に、社会的コストを上げるなど、尋常な感覚ではない。

 第三の問題は、客観的な根拠が希薄ということ。
 死後の検視では「生理学的診断を特定できるような「病理学的所見」はなかった」とのこと。安楽死の判定に関わる数人の判断で、合法的に人を殺せてしまう。裁判における死刑判決とまったく比較にならない杜撰さで、人命に関する感覚が欠如していると云わざるを得ない。

 今回、事実上、義務づけられていたヨボーヤクについて、フクサヨーの被害を訴える声はすでに多く上がっている。また因果関係の研究報告も多数、発表されている。特効薬でも登場しない限り、被害は今後、ますます拡大していくに違いない。

 疑い深い人は、「どうせ頃合いを見計らって、特効薬を売りつけるつもりだろう」と詮索していたが、どうやらその推測は外れそうだ。

 今回の件で明らかになったシナリオは、こうである。

 ヨボーヤクを疑わない体調不良者については、既存の対症療法薬によってお茶を濁し続ける。

「具合が悪くなったのはヨボーヤクのせいだ!」と訴える者については、「精神疾患(ヨボーヤク症候群)」と診断し、騒ぎ立てれば精神病院に「強制入院」、それでも「ヨボーヤクのせいだ」と云い続ければ、回復の見込みなしとして「安楽死」……

 これがお芝居なら、予想だにしない展開に、さすがプロ! と、舌をまくところだが、これはフィクションでも悪夢でもない…… 

 この星にも、暗い未来を想像したディストピア小説がいくつもありますが、ここまで酷い話は聞いたことがありません。想像を絶する展開。
 しかし、この星でもあり得ないことではないと思います。
 AIによって少数の者が世界システムを動かせる状況が整いつつあるから。もし仮に、その少数の者が「優生思想」の持ち主であれば……。

 どうすればいい? 個人などあまりに微力ですが、もしやれることがあるとすれば、関心を持ち続けることではないでしょうか。なるべく話題にし、声を上げ続けること!

「最近、亡くなる人が増えてる気がしない?」

「そうね。癌だって、見つかった時には末期。
 そんな急性が増えてるそうよ」

「若い人の心疾患とか、昔はなかったでしょ?」

「食中毒が増えてるのも 免役が落ちてるからだというし」

「ヘルペスだってそうよ。あれ弱ると発症するんでしょ?」

「じゃあ、やっぱりヨボー拙守、うっといたほうがいいわね」

「今度、新世代のが出たらしいわよ。しかも国産ですって
 しかも、費用は同じ。いい話でしょ?」

「あら、もっとお得な話があるわよ。テストに申し込むのよ。
 そしたら、反対にお金がもらえるんだから!」

ね? テレビを真に受けて仲の良い友達だけで話すのは、かなり危険。
なるべくたくさんの人と話し合った方がいいかと。


見出し画像は kiaoraさんの作品です。
ありがとうございました。


 

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