乳がん患者が、ヴィナイヤク・プラサード著『悪いがん治療』を読んだ感想
ヴィナイヤク・プラサード著『悪いがん治療』という本を知っていますか?私は抗がん剤治療を始める前、いろんながんにまつわる本を読みました。
この本を読み、がん治療について改めて深く考えさせられました。がん治療は多くの人にとって命に直結する問題であり、医師の判断やガイドラインに従うことが通常の道とされています。しかし、本書を読むことで、すべてのがん治療が正しいとは限らないという現実が浮かび上がり、がん治療の選択肢や効果に対する疑念を抱かざるを得なくなりました。
現代がん治療のガイドラインは本当に正しいのか
プラサード氏の主張の中心には、現代のがん治療において、科学的根拠に基づかない治療がいかに多く行われているかという問題があります。特に、治療効果が不確かなまま医薬品や治療法が市場に出回る現状は、患者にとって大きなリスクを伴います。医療業界の複雑な構造や、製薬会社の商業的利益が患者の利益に優先される場合があるという厳しい指摘には、目を開かされる思いでした。
がん治療のガイドラインは、科学的根拠に基づいて作成されていると信じられています。しかし、プラサード氏はその前提にも疑問を呈しています。臨床試験やエビデンスに基づいているとされる治療法であっても、必ずしもすべての患者に有効であるとは限らず、場合によっては害を及ぼす可能性すらあるのです。例えば、ある抗がん剤が特定のがんに対して有効だという結果が出たとしても、その効果は全患者に当てはまるものではなく、副作用によって生活の質が大きく損なわれることも少なくありません。
私自身、思った以上の副作用でトイレへも行けなかった抗がん剤治療
私自身、乳がんと診断され、抗がん剤治療を受けました。その時、私はすでにこの本を読んでいたため、抗がん剤治療に対して、不信感を持っていました。しかし現代医療を受けるにあたり、主治医との関係は切れないと感じている私。あとどうしても抗がん剤治療を受けて欲しいという家族や私の大切な人たちの意見もあり、受けることにしました。自分の意見に従っていいんだよと言ってくれる人もいましたが、しない、という選択をするのはなかなか難しい選択でした。でも、一番少ない量で行うものを選びました。
抗がん剤をした日の夜は、うなされるくらいの吐き気に襲われ、うわ言で彼の名前を叫んでいました。
1週間ずっと気持ち悪い感じ。ずっと二日酔いの気持ち悪さが残っている感じでした。
吐き気だけではなく、歩くだけで動悸がしてトイレへ立っていくのも重労働になったり、精神的にも肉体的にも非常に辛い思いをしました。もちろん、抗がん剤は私の命を救うために重要な治療法だったかもしれません。でも、本当に果たしてそれが本当に最善の選択だったのかという疑問が沸き起こりました。
途中でやめてしまいたい、という気持ちも大きく、動悸が出る原因がステロイドにあるかもしれない、とのことで、3回目と4回目は10パーセント抗がん剤の量を減らしてもらいました。
がん治療においては、治療が「効果的」であることを示すエビデンスの質が重要です。しかし、エビデンスそのものが不完全であったり、商業的な理由で歪められたりしている場合があるという現実は、非常に不安を感じさせます。また、患者に提供される情報が限られていることも大きな問題です。私自身、治療を始める前にすべての選択肢を十分に理解していたとは言えません。医師に従うしかない状況の中で、治療の内容やそのリスクについて自ら判断することは難しかったのです。
日本で抗がん剤治療を行う際の問題点はあるのか
日本におけるがん治療ガイドラインも、当然ながら科学的根拠に基づいて策定されています。しかし、それが本当にすべての患者にとって「正しい」ものなのかという疑問を抱くようになりました。日本では、医療に対する信頼が非常に高く、医師の言葉や治療方針に疑問を持つことは少ないかもしれません。しかし、プラサード氏が指摘するように、エビデンスに基づいているとされる治療法であっても、それが必ずしも患者一人ひとりにとって最適であるわけではないのです。ただただ、医師はデータを見て、ガイドラインに沿って判断してるんです。
治療を選択するという、私たち患者の役割とは
私たちがん患者は、医師の指導やガイドラインに従うことが最善であると信じていることが多いですが、『悪いがん治療』はその考え方に対して一石を投じるものです。がん治療には常に新しい研究や臨床試験が行われており、今後も治療法やガイドラインは変わっていくでしょう。だからこそ、患者自身も情報に敏感になり、可能な限り自分で治療の選択肢について考える姿勢が求められるのではないでしょうか。
私の経験を踏まえて言えることは、がん治療の選択肢について十分な理解と納得の上で治療を進めることが大切だということです。もし私が、抗がん剤以外の選択肢についてもう少し知識を持っていたら、あるいは治療のリスクと効果についてより深く考える機会があったなら、また違った選択をしていたかもしれません。『悪いがん治療』は、がん治療の複雑さや、すべての治療が必ずしも正しいわけではないという現実を痛感させる一冊です。
本書を読んだ後、私は医療に対してより批判的に考えるようになりました。がん治療に関する情報は日々更新されており、その一つひとつが本当に科学的に正しいのか、そして自分にとって最適な選択肢なのかを見極めることが必要です。特に、日本の医療システムやガイドラインについても、無批判に従うのではなく、患者自身が積極的に情報を収集し、治療の選択肢を検討する姿勢が求められていると感じます。
最後に、がん治療は非常に個別的な問題であり、患者それぞれの状況によって最適な治療法は異なります。プラサード氏の指摘するように、がん治療のガイドラインやエビデンスに対する疑問を持つことは重要ですが、それと同時に自分自身の体験や状況に応じて、最善の治療法を模索する姿勢も忘れてはならないと強く感じました。
私は西洋医学だけではなく、現在中医学やサプリにも頼っています。