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フリマの絵つけ師[AI絵本]

むかしむかし、震災よりももっと昔、

神戸三宮、センター街だったか元町だったかで、
なんとなく立ち寄った輸入雑貨屋さん

そこにあった小さな人形にすごく惹かれて、
小さなものですから三千円くらいだったかと思いますが、貧乏学生には厳しいものがあり、それとどうせなら、そこにあった8体くらい全部が欲しいとか思って、結局、買いそびれてしまったんですが、

どうやらその「情報」は消えることなく、
宇宙のどこかに保存されていたようです。

AIで画像生成やってたら、出てきたんですよ~ 
たぶん同じ作家。

そんなことあり得ない?

ですよね。でも可能性はあると思うんです。
あれの原型を拵えた作家さんはおそらくもう故人。

だったらね、あっちの世界にいるわけで、
向こうは何でもありなんです。

ま、こんなこといってると情緒がないんで、
ふらっと立ち寄ったフリーマーケットで、
とても雰囲気が似たものをつくって人がいた、
ということにしましょう。

人形じゃなく、陶器片への絵付けでしたが……

歳は若い。でも学生とは雰囲気が違う。
準備段階じゃなく、もう本番のスタートを切ってる感じ。
今は売れてなくても本気の作家。

手を抜いて安く売れば、
そこそこ売れると思うんですけど、
彼女はそれをしない。小さいのが数万円から。

モノづくり知ってる人なら高いとは思いませんよ。
手を読めば、一週間くらいかけて作ったものだとか、
想像がつきますからね。でも、フリーマーケットで
無名の若者の小物の数万円は、なかなか通りません。
どっかのギャラリストにプロデュースしてもらって、
しかるべきギャラリーで三倍くらいの値段にした方が
まだ売れるかもしれない。

でも、そうなればこっちとは別世界。
素寒貧に出来ることは、
売り場のサクラになること。
サクラになってあげてるフリして、
作品をゆっくり眺めさせてもらうこと。
目にしっかり焼き付けて、焼き付けて、

焼き付けて、焼き付けて、

そしたら夢の中で、
生きて出てきてくれるかな……

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