[介護Tips]食事の悪習慣の改善(ケンカ腰介護)
ケンカ腰介護…… 施設では出来ないことですが、在宅・家族介護で、うまく行った事例をご紹介。数多くの事例から導かれたノウハウではなく、あくまで一事例です。
□要介護者の性格、相性
相性は悪い方です。お互いにリスペクトがない。
それから、要介護者は頑固。
□症状
・食事中に激しくむせる
・よくげっぷする
・三日に一回くらいお腹の調子が悪くなる
□推定された原因
・食事中にお茶を頻繁に飲む
(噛むのが面倒になってきた。噛まないと唾が出ないので、お茶で流し込む、そんな悪癖が身についたと思われた)
・うつむいて食べ、頻繁に啜(すす)る。
やってみればわかりますが、そんな食べ方をすれば、誰だってむせる確率が高くなります。
□対策
食事の際の姿勢を直させる
食事の際の、お茶を禁止
□結果
うまくいきました。
しかし、ふつうに云っても聞き入れて貰えませんでした。
おだやかに話すと、おだやかに聞いてくれますが、行動は少しもあらためません。その繰り返し。
そんなことが何年もつづき、症状がいよいよ悪化してきたので、「ケンカ腰介護」に移行。
あらためようとして忘れるのではありません。物忘れを責めるのは鬼です。そうではありません。「お茶を飲むことの何か悪い! いちいちそんなことまで指図されるいわれはない!」という強硬な態度なので、実力行使に至ったということです。
強い言葉で行動を改めるように云うと、相手も激しく反発。
とうとう激しく怒鳴り合うケンカのレベルに。
それを一年くらい続けたでしょうか。
ようやく矯正できました。
今は、お茶なしでも完食できるようになりました。
食事時間は倍増しましたが、ちゃんと噛んで食べているので、むせることはほとんどなくなりました。それから、ゲップも減り、お腹の調子が悪くなることは無くなりました。
「ケンカ腰」は大袈裟に云ってるのではなく、本当に修羅場です。しかも、二回や三回ではありません。五、六回目くらいになると、ダメかとも思いましたが、放置することも出来ず、続けたというのが正直なところ。
それから、うまくいった要因には、要介護者の体力の衰え、認知症の進行もあったと思います。
「茶くらい飲ませろ!」
と全力で反抗してましたが、介助して貰わないと出来ないことが増えていって、徐々に指示を受け入れるように。
施設介護では無理な荒業だと思いますが、家族介護の方で、似たケースの方は、参考になさって下さい。
※刻み食にし、ペースト食にし、トロミをつけるとか、食べさせてやるとか、そういうやり方もあれば、こういうやり方もある、という話です。
家族介護の経験のないプロのアドバイスは業務用ということがあります。
※うつ病っぽい場合とか、ケンカがマイナスにしか働かないケースはあります。しかし、ケンカで立ち直れるケースもあると云うことです。
壮絶な展開になるので、いくつか注意点。
ご近所に通報される可能性があります。
要介護者は暴力をふるい出します。不測の時代になりかねないので、ケンカというか格闘技の心得がないと、危険が伴います。
壮絶にやりあっても毎日の散歩は欠かしませんでした。ケンカの後の切り替えも大事。
仲裁に入る人がいた場合、かえってエスカレートしがち。しかし、最悪の事態にはなりません。一長一短。
嫌悪感を抱かれるた方もおられかもしれませんが、
施設介護と家族介護は違います。
また三年にもなると、さらにフェーズが変わってきます。
もちろん、うまくやれる人はいるでしょうが
生憎、ここにいるのはオレだ、みたいな。
追記
ハードなことばかり書いてしまいましたが、ケンカのほとぼりが冷めた後、不思議とやさしい時間がながれます。
思うに、要介護者の孤独、無力感が、ケンカによって、ある意味、癒されるのではないかと。しかし、そういったカンフル剤的な効果も一日ほどで消えるんですが、ケンカの繰り返しは、そういう意味では、適度なストレスの発散……以上の、必要な栄養素の補給みたいな面もありそうです。
見出し画像は featurecompass さんの作品です。
ありがとうございました。