主婦歴10年の目分量
ズッキーニもピーマンも中途半端に残っていたので、夕食はキーマカレーにする。酸っぱいリンゴと、冷凍庫の中で眠っていた彩りの良いミックスベジタブルも加える。
今日はレシピを見ない。レシピを目で追っている時間がもったいない。だから適当に味付けをする。カレー粉、にんにく、しょうが、ケチャップ、醤油、ソース、コンソメ、スパイス…。ルーを使わなくてもそれっぽい材料を組み合わせれば、キーマカレーができてしまうことを、料理を作り続けているうちに主婦の体が覚えてしまった。
絵の具みたいだな。どの色と、どの色をどれくらい組み合わせれば、どんな色ができる…というのが、絵を描き続けていると、なんとなく想像がつく。で、たまに組み合わせを変えてみると、驚きの発見があったりもする。料理も同じ。フライパンってパレットだ。
最近、滝沢カレンの『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)というレシピ本を読んだ。レシピ本の常識を覆したレシピ本。大さじ1とか、1カップとか詳しい分量の説明はなし。弱火で1分とかそういうのもなかったような。
全ての力を失いヘトヘトな姿を真上からご覧ください。
ごま油を一筆で「ら」を書く意識で
大切さはいつだって玉ねぎが握っています。
飾っているのか飾っていないのかわからないけれど、滝沢カレン自身の言葉で書かれたレシピ本。引用したい言葉が多すぎる。料理って自由で良いんだな、美味しく食べられればそれでいいんだな…と改めて気がつかされるきっかけとなった本。
子どもの頃、『こまったさんシリーズ』『わかったさんシリーズ』(寺村輝夫/あかね書房)を読んでいたのを思い出した。こまったさん、わかったさんが不思議な出来事に巻き込まれるうちに、料理やお菓子作りのかぎを学んでいくお話。
子どもの頃は、物語を読んでいただけで、本に出てきた料理を作ろうとは思わなかったけど、なんとなく「自分にも作れるんじゃないか」って感覚になった。幼い私が抱いたその感覚は『カレンの台所』にも共通していると思う。
発狂したくなるような、三ヶ月にも及ぶ息子の休校中、料理の楽しさを思い出させてくれる『カレンの台所』に出会えて良かったと思う。