失われる思考と会話について【思考停止・思考途絶】
思考途絶(Thought Blocking)とは、思考や会話が突然停止する現象を言います。これが起きると、その人は自分が何を言っているのか、何を考えているのかを忘れてしまうのです。
慢性的な思考途絶は、統合失調症や気分・不安障害などのメンタルヘルス障害の可能性があります。
思考途絶の種類
思考途絶は、いくつかのカテゴリーに分類ができます。皆さんも、以下のうちどれかを経験した事があるかもしれません。
ストレスや激しい感情は、思考途絶の頻度と強度を増加させる傾向があります。また、統合失調症の場合、思考途絶は陽性・陰性症状のうち陰性症状として知られています。
・ポジティブな思考途絶
思考や会話の途中で短い一時停止をし、その後、元の思考や会話を続けられる状態となります。
・ランダムな思考途絶
バラバラにまとまりのない会話や思考をおこなってしまう状態です。あるテーマについて話していると、突然まったく関係の無い話をしてしまうなどがあります。
・繰り返しの思考途絶
何かしらの考えや言葉が、頭の中をぐるぐると巡ってしまい、会話や思考を中断し続ける状態となります。
思考途絶の原因
思考途絶の原因は、完全に特定されていませんが、共通点として気分・不安障害と相関していることが分かっています。他にも、トラウマ記憶、強いストレス、感情的な疲労などによって思考途絶のリスクは高まります。
思考途絶は、以下によって引き起こされる可能性があります。
・統合失調症
統合失調症に特徴的なのは、陽性症状と陰性症状の存在です。陽性症状は、良い状態の時にはなかった症状が表れることを指し、陰性症状は、良い状態の時にあったものが失われる症状を指します。
統合失調症における思考途絶のパターンは、主に"ランダムな思考途絶"で、これによりコミュニケーション能力や、社会的な機能の減少に繋がるため陰性症状と考えられています。
統合失調症を他の精神疾患と含めると、現実との接触を失ったり、幻覚や幻聴、妄想などに思考途絶が絡むこともあります
・双極性障害
双極性障害には、うつ症状と躁症状のエピソードを経験するという特徴があります。
双極性障害にとっての思考途絶は、思考の妨害や脱線、一貫性のない会話や思考など"ランダムな思考途絶"のパターンがコミュニケーションの問題につながる可能性があります。
・極度の不安・不安障害
極度の不安や不安障害を持つ人は、まれに思考途絶を発症する場合があります。
圧倒されるような思考途絶は、"ポジティブな思考途絶"のパターンを示し、これにより思考な会話が停止してしまうこともあります。
・思考途絶の他に考えられる原因
・極度のストレス
・自己枯渇(心の疲労)
・集中力の欠如
・脳腫瘍
・せん妄(急な脳機能の低下)
・脳、脊髄、末梢神経、脊柱などの状態
思考途絶をサポートするには
まず、思考途絶を起こしている人は、"意図的にそれをおこなっているわけではない"ということを、しっかりと認識しておきましょう。
人は思考途絶が発生すると、ほとんどの場合、さっきまで何を言っていたのか、なぜそれを言っていたのかを思い出すことができません。
サポートをする上で最も重要なことは、冷静に中立を保つことと、会話や思考を優しく元に戻してあげることです。
決して、優劣を決めつけて相手を責めたり、「あなたが悪い」などと指摘をしないことが重要です。
トラウマによる思考途絶
トラウマや、つらい経験、記憶によって思考途絶を起こしてしまう場合は、専門家によるサポートを受けるのも選択肢のひとつです。
トラウマ記憶による思考途絶は、個人とその周囲を巻き込んで混乱を呼び、個人を過去に縛り付け、未来に対する展望や、明るさ、希望を失う危険性があります。
思考途絶に関連する症状(統合失調症、双極性障害、不安障害など)は、より詳しい知識を持った専門家とのやりとりで大きく改善する可能性があり、非常に有効な行動と言えるでしょう。