うつ、自閉症、パーキンソン病も腸内細菌?"腸は考えている"
前回の"お腹の調子について"に引き続き、腸のお話をしていきましょう。
研究では、男性は下痢になりやすく、女性は便秘になりやすいというデータがあります。それはどうも"排便を促すホルモン"が男女で違うからではないか?と考えられています。
排便を促すホルモンの違い
男性は、便が溜まったり、お腹の調子が悪くなると、それが脳に伝わりドーパミンとセロトニンが出て排便を促進します。
ですから、男性の場合はどちらかというと、お腹の調子が悪くなると、ギリギリでトイレに駆け込むことになるのです。
女性は、セロトニンは出ますがドーパミンはあまり出ず、その代わりにGABAというのが出ることが分かっています。
GABAは排便を抑制する働きがあり、セロトニンは排便を促進させます。この2つの物質が互いに打ち消し合ってしまうので、便がうまく出ないのではないか?と考えられているのです。
例えば、過便性腸症候群の男性は、下痢タイプで、女性は便秘タイプになりやすいことが分かっていますが、それもドーパミン、セロトニン、GABAなどが関係していると考えられています。
腸は考えている
上記のような研究から、腸は脳と大きく関係していて、脳からの指令が腸へ、腸からの指令が脳へ、というような相互作用をしているわけです。
少し面白い考えかもしれませんが、"腸は非常に賢こい"とも言えます。なぜなら、腸の神経細胞は大脳と同じくらいあるからです。
それを単純に捉えると、腸は大脳の指令がなくても、自分で考えていると言えます。
もちろん、脳からの指令もありますが、お腹の調子が悪くなって便秘や下痢をするのは、腸の神経細胞が、それなりに考えてやっていることなのです。
ですから、脳が「早く出して!」と司令を出しても、腸が「まだまだ!」と頑張ってしまえば便秘が解消されませんし、脳が「下痢と腹痛を止めて!」と言っても、腸が「もっと出そう!」と司令が拮抗してしまえば、なかなかお腹の調子が解決しないという状況になります。
脳と腸が仲良くする方法としては、腸内細菌を食事でコントロールするというのが良いと思います。
うつ、自閉症、パーキンソン病
最近は、うつの原因も腸内細菌と関係しているのではないか?というものがあったり、食べ物の好みやダイエットは、腸内細菌を変化させれば良いという研究も進んでいます。
他にも、最近の研究で、妊娠しているお母さんが感染症にかかり、腸に感染症の細菌が繁殖すると、セグメント細菌という腸内細菌が感染症の細菌をやっつけようとします。
これは生物の防御反応で、免疫的に感染症の細菌をやっつけるサイトカインという物質を出します。
このサイトカインが、お母さんの胎盤を通して胎児の中に入ると、胎児がある程度成長している場合、脳に作用して自閉症気味の人にするのではないか?と言われています。
これも、"腸内の細菌叢と脳の関係が重要"だということを示す研究ですが、パーキンソン病も腸内細菌が原因じゃないか?という説がありますので、そのうち色々な神経症状や疾患が腸内細菌が原因だということが分かるかもしれません。
おわりに
私の知りうる限り、戦前くらいの日本の民間療法や江戸時代の頃の治療法には、お腹の中を綺麗にしたり、腸の状態を良くする食べ物の話がたくさん出てきます。
西洋医学では、腸内環境の治療法はまだ確立されていませんが、古くからの日本の医療と最新の研究などを上手く組み合わせれば、そうとう重篤な精神疾患や病を治すことが可能であると私は考えています。
「専門医」と聞くと、なんだかプロフェッショナルな感じがしますが、脳のことは脳のお医者さん、お腹の調子は腸のお医者さんで分業しているだけのことです。
今回の話のように病というものは、例えば"脳と腸"の2つが密接に関係しているようなことがたくさんあります。(2つどころじゃないです)
ですから、お腹が痛い=お腹
というような発想ではなく、なるべく多くの要素と可能性を総合的に考えてやっていく必要があります。
この考え方は、どのような分野にも当てはまると思います。みなさんのお仕事や趣味、人間関係や人生も、このような考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか?
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