「3秒ルール」のウソ・ホント、博士が解き明かす!
<登場人物紹介>
飯田橋博士 無類の読書とスポーツ観戦好き。猫を飼っていて、奥さんがちょっと怖い。
トウマ 博士のもとでお手伝いのようなことをしている大学生。
「3秒ルール」ってなに?
トウマ「あっ!うわっ、ミスドのドーナツ落としちゃった…」
博士「おいトウマ、そのドーナツを拾って食べるのは待て」
トウマ「え、博士?いや、大丈夫ですよ、3秒ルールっていうじゃないですか」
博士「3秒ルールじゃと?その古典的迷信を口にするとは、まだまだ若いのう」
どこまで信じていい?
トウマ「え、迷信なんですか?たった3秒なら菌がつかないって聞いたことありますけど」
博士「うむ、確かに耳にすることは多いのう。米国では5秒ルールとも言うが、科学的な裏付けは乏しいのじゃ」
トウマ「じゃあ、あれは嘘?」
博士「完全に嘘とは言えぬが、少し科学の力を借りて詳しく見てみるかの」
トウマ「なんか不安になってきた…」
科学で見る3秒ルールの正体
博士「まず、米ラトガーズ大学の食品科学者、ドナルド・シャフナー氏らの研究じゃ。2016年に発表された論文によれば、地面に落ちた食品は瞬時に細菌が付着するそうじゃ」
トウマ「真剣に研究している人がいるのが驚きです…。でも、じゃあ3秒以内でもセーフじゃないんですか?」
博士「残念ながら、時間に関係なく落ちた瞬間から細菌がついているんじゃよ」
トウマ「嘘だー!僕、今まで何回パンとかお菓子とか…」
博士「まあまあ、話は続くぞ」
トウマ「聞きたくないけど… お願いします…」
細菌が付きやすい、付きにくい条件もある
博士「実は時間よりも、食品の性質や落とした場所が重要じゃ」
トウマ「食品の性質?」
博士「例えばスイカのような水分が多いものは、パンのように乾燥した食品よりも多くの細菌がつきやすい」
トウマ「確かに、スイカが落ちたらもう食べたくないかも…」
博士「さらに、タイルやステンレスのような硬い表面よりも、じゅうたんの方が細菌の付着は少ない場合もある」
トウマ「え、じゅうたんの方が安心なんですか?」
博士「意外じゃろう?じゅうたんは細菌ごと液体を吸い込む性質があるから、表面の菌が減る場合があるんじゃ」
トウマ「じゃあ博士、今度から僕はじゅうたんに食べ物を置いて食事することにします!それなら落とす心配がないですよね」
博士「…いや、それはやめておけ」
実際のリスクは?
博士「つまり重要なのは、落ちた場所の状態や環境じゃ。病院の床や、鶏肉の汁がこぼれてた可能性がある場所は避けたほうがよい」
トウマ「なるほど、でも普通の家の床なら大丈夫ってことですか?」
博士「ほとんどの場合、免疫が正常なら多少の菌で健康を害することは少ないと言われておる」
トウマ「じゃあ、僕が床に落としたポテチはセーフ?」
博士「まあ、ポテチくらいならそうじゃろう。ただし、常に床や台所を清潔に保つのが基本じゃ」
トウマ「掃除が大事なんですね…」
3秒ルールは心理的なもの?
博士「結局のところ、3秒ルールの価値は科学よりも心理学的な側面が強いじゃろう」
トウマ「心理学?」
博士「例えば、誰かが『3秒ルール!』と言って食べ物を拾うと、ちょっと笑いが生まれるじゃろ?」
トウマ「あー、それ、僕もやったことあります」
博士「ルールがあると、落ちたものを食べる行為に正当性を持たせられる。いわば言い訳じゃ」
トウマ「そう聞くと、ちょっと納得…」
博士「まとめると、食べ物を拾って食べるかどうかは自己責任じゃが、床に細菌はいると考えたほうがいいじゃろう」
トウマ「でも、博士の家の猫がしょっちゅう床に落ちたものを食べてるけど、元気そうですよね」
博士「うむ、ミーとクロの免疫力はすごいのう… そうじゃ、お主も猫になればいくらでも落ちたものを食べられるぞい」
トウマ「いや、僕は人間で大丈夫です!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!博士とトウマくんに話してもらいたいテーマがあれば、ぜひコメントでお知らせ下さいね。