見出し画像

【新年特別企画】2025年 東京創元社 SF&ファンタジイ ラインナップのご案内

あけましておめでとうございます。

今年の干支は巳(ヘビ)

昨年2024年は東京創元社の創立70周年に当たる年でした。さまざまな刊行物や催しを通して記念イヤーを盛り上げましたが、今年2025年もそんな昨年にもひけを取らない充実のラインナップを用意しております。それら刊行予定の書籍を、2日にわたりお知らせします。

元日の「翻訳ミステリ」「文芸」「ノンフィクション」のラインナップにつづき、本日は「SF」「ファンタジイ」の予定をご案内いたします。

本年も東京創元社は読者の皆さまに良質な作品をご紹介してまいります。ご愛読のほど、なにとぞよろしくお願いいたします。
(日本語タイトルは一部を除き仮題です)



創元日本SF叢書・単行本・創元SF文庫の日本SF注目作

■山本弘(やまもと・ひろし)『時の果てのフェブラリー』
(創元SF文庫、1月刊)
地球の六箇所に突如、謎の重力異常地帯が発生し、人類は危機に陥る。人々の運命は超能力者の少女フェブラリーに託された。未完の続編「宇宙の中心のウェンズデイ」を併録。山本弘にこの一冊ありと語られるハードSFがついに復刊!

■久永実木彦(ひさなが・みきひこ)『わたしたちの怪獣』
(創元SF文庫、2月刊)

単行本版書影

妹が父を殺した日、東京湾に怪獣が出現した。姉は妹を守るために、怪獣が暴れる東京へ父の死体を棄てにいく――第55回星雲賞日本短編部門を受賞した表題作を含む全四編。(文庫化)

■林譲治(はやし・じょうじ)『惑星カザンの桜』
(創元SF文庫、2月刊)
地球から一万光年離れた惑星カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へ送り込んだ調査チーム750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 第二次調査隊は厳戒態勢のもと、ついに惑星の地表へ降り立つが――現代宇宙SFの旗手が描く、緊迫のファースト・コンタクトSF。

■松崎有理(まつざき・ゆうり)『イヴの末裔たちの明日』
(創元SF文庫、3月刊)

単行本版書影

刑務所からタイムマシンで脱獄せよ! 英雄になるため妖怪討伐に行く若者の運命は。 『シュレーディンガーの少女』の松崎有理が贈る、運命の分かれ道での決断を描く短編集。(文庫化)

■赤野工作(あかの・こうさく)『遊戯と臨界 赤野工作ゲームSF傑作選』
(創元日本SF叢書、3月刊)
月面に待つ敵プレイヤーとの、ラグ1.3秒での格闘ゲーム対決。ユーザーの記憶を操作し、「遊ぶと呪われる」と噂されてきたゲームへの挑戦。放射能を用いて麻雀のイカサマを行ったというヤクザが、自らを追う刑事に宛てしたためた懺悔――「あまりにもゲームを愛しすぎた人々」を題材に、『ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム』で注目を集めた異才が描きだす、至高のゲームSF11編。

■『紙魚の手帖 vol.24 Genesis』
(A5判並製、8月刊)
2018年から2022年まで単行本で刊行された書下ろしアンソロジーシリーズ《Genesis》が東京創元社の総合文芸誌紙魚しみ手帖てちょうに合流! 8月発売号をまるごとSFで彩る。創元SF短編賞受賞作、注目作家による書き下ろし短編、最新翻訳短編のほか、SF文学賞紹介記事、SFブックレビュー拡大版も。

■笹本祐一(ささもと・ゆういち)『星の航海者2 遥かな惑星』
(創元SF文庫、夏刊行)
恒星間記録員のメイアは、約200年ぶりに訪れたくじら座τタウ星の惑星ディープブルーで、開拓第6世代の惑星記録員ミランダと出会う。ミランダは宇宙勤務を忌避していたが……。著者の真骨頂たる宇宙SFシリーズ第2弾!

■斧田小夜(おのだ・さよ)『飲鴆止渇いんちんしかつ
(創元日本SF叢書、秋刊行)
ちんとは猛毒を持つ伝説の巨鳥。鴆が飛ぶと国が滅ぶという。民主化運動が頂点に達した揺碧国ようびこくに鴆は忽然と現れ、運動の鎮圧に出動した軍人たちともども広場の人民を殺戮した。そして10年、体制は入れかわり、国は急激な発展を遂げたが……。第10回創元SF短編賞優秀賞受賞作をはじめ、不思議な生き物を主題にした作品集。

■溝渕久美子(みぞぶち・くみこ)『神の豚』
(創元日本SF叢書、秋刊行)
感染症の蔓延で食用動物がいなくなった近未来の台湾。ある日、実家で一人暮らしする長兄が子豚に変わってしまったと、次兄から末の20代の妹に連絡があった。彼女は台北での勤めをやめて実家に戻り、このかわいい豚を隠して暮らすことに――。失われゆく食文化の再建を清々しい筆致で描く、第12回創元SF短編賞優秀賞受賞作をはじめとする、待望の第一作品集。

■八島游舷(やしま・ゆうげん)『天駆せよ法勝寺』
(創元日本SF叢書)
九重塔型の宇宙船が、佛理学の力によって恒星間を駆ける――大胆な世界設定で話題を呼んだ、第9回創元SF短編賞受賞作「天駆せよ法勝寺」。作中に登場する宇宙僧コスモンクたちの若かりし日の活躍を中心に据え、法勝寺発進に至るまでのドラマを描ききった長編版がついに刊行。さらに奥行きとアイデア密度を増した、「ぶつパンク」の世界がその全貌を現す。

■阿部登龍(あべ・とりゅう)『竜と沈黙する銀河』
(創元日本SF叢書)
生体印刷技術が普及した2035年。〈竜の女王〉の影を追い、査察官ザーフィラは故国へ向かう――「竜が実在する近未来の地球」と女性バディの活躍を力強い筆致で描きだし、第14回創元SF短編賞に輝いた同題作品に、主人公らの新たな戦いを描く第二部を加えた長編版。冒険SFの新時代を切りひらく野心作がここに。

■宮澤伊織(みやざわ・いおり)『ときときチャンネル2』
(創元日本SF叢書)
生活費の足しにするため、同居人であるマッドサイエンティストの多田羅未貴たたらみきの発明を紹介するチャンネルを立ち上げた十時とときさくら。宇宙を飲んで、時間を飼って、家から出られなくなりつつ、どうにかチャンネル登録500人を突破!! さて次の配信内容は……? 全宇宙が待っていた続編登場です!

■柞刈湯葉(いすかり・ゆば)『記憶人シィーの最後の記憶』
(創元日本SF叢書)
現生人類が滅びさったのち、〈別種〉と呼ばれる遺伝子改変者のみが暮らす未来の地球。人の営みの全てを後世へ手渡すべく、完全な記憶を与えられた少年シィーは、喋る黒猫エルとともに旅を続けていた――『横浜駅SF』『まず牛を球とします。』の柞刈湯葉の最新長編にして、『旅のラゴス』『ヨコハマ買い出し紀行』の系譜に連なる、ポストアポカリプス×ロードノベルの新たな傑作!

■秋田禎信(あきた・よしのぶ)『ノーマンズ・ソサエティー』
(創元日本SF叢書)
記憶をリセットする技術が発達し、不都合があればすぐに以前の人格と記憶を捨て、新たな人間に生まれ変わることが常識となった、近未来の社会。なぜか何回リセットしても、お互いに関する記憶を夢で思い出してしまう少年《スコップ》と彼が恋する少女《小声》は、廃棄処置される直前、街の外から来た男・レールローダーの手引きで脱出する。しかし、ふたりに追っ手がかかる。なぜ、廃棄される子供にすぎないのに命を狙われるのか?彼らが見る夢の意味とは? 〈魔術士オーフェン〉の著者が描くSF長編。

創元海外SF叢書・単行本・創元SF文庫の海外SF注目作

■ロブ・ハート『パラドクス・ホテル』(創元SF文庫、3月刊)
The Paradox Hotel (2022) by Rob Hart/茂木健 訳

原書書影

過去へのタイムトラベルが実現した世界。時間犯罪取締局の元調査官ジャニュアリーは、タイムトラベラー特有の病気である時間離脱症アンスタックを患って退職し、今はアインシュタイン時空港タイムポートに併設されたパラドクス・ホテルの警備主任をしている。アンスタックの症状で未来や過去を幻視してしまう彼女は、ホテル内でまだ殺されていない男の他殺体を目撃し、さらに自らが銃殺されるシーンも幻視して、調査を開始する。おりしも時空港買収の入札のためホテルに集まった4人の大富豪を狙った事件が次々に発生する中、ホテル内で時間の流れがおかしくなるなどの異常事態まで発生し……

■ペン・シェパード『非在の街』(創元海外SF叢書、4月刊)
The Cartographers (2022) by Peng Shepard/安原和見 訳

原書書影

元地図学者見習いのネルは、NY公共図書館の高名な地図学者である父の死を知らされる。彼はなぜか、なんの変哲もない古い道路地図を大切に隠していた。だが、価値がないはずのその地図の複製は、あらゆる所蔵機関で紛失・盗難されていた。父の死の翌日に図書館を襲い、煙のように消えた殺人犯の狙いもこの地図らしい。ネルは地図の秘密を探っていく。その地図は、隠された奇妙な世界への招待状だった。新鋭が放つ傑作幻想小説。ミソピーイク賞候補作。

■アレックス・ホワイト『超機動音響兵器ヴァンガード』(創元SF文庫、5月刊)
August Kitko and Mechas from Space (2022) by Alex White/金子浩 訳

原書書影

西暦2657年、地球人類は滅亡の危機に瀕していた。深宇宙から突如あらわれた巨大ロボット・ヴァンガードたちにより、各植民惑星やコロニーは殺戮され、太陽系統合防衛軍最後の希望だった秘密兵器もあっけなく破壊されたのだ。ついに地球に降り立ったヴァンガードを前にして、ジャズピアニストのガスはギタリストのアーデントとともに、人生最後のジャムセッションを敢行する。するとその音楽がもう一体の別のヴァンガードと響きあい、ガスはヴァンガードの搭乗者として強制的に取りこまれる。こうして、人類を救うための戦いがはじまった――

■ラヴァンヤ・ラクシュミナラヤン『アナログ/ヴァーチャル』(創元SF文庫、6月刊)
The Ten Percent Thief (2020, 2023) by Lavanya Lakshminarayan/新井なゆり 訳

原書(US版)書影

資源枯渇と気候変動で荒廃した世界のなかで、国家は消滅し、あらゆる都市が自活を余儀なくされた。やがてそのなかから生まれた〝ベル機構〟の主導により、かつてのベンガルールの街は徹底的に能力主義的な技術統治体制がしかれ、〝頂点都市〟となって繁栄を極める。この街では生産性に基づき、上位2割と中間7割のヴァーチャル民、下位1割のアナログ民に分断された厳格な階級社会が成立している。そんな世界においても、レジスタンスの胎動が生まれていた……インド発、ローカス賞・クラーク賞ファイナリストの近未来SF!

■アレステア・レナルズ『裏返しの世界』(創元SF文庫、7月刊行)
Eversion (2022) by Alastair Reynolds/中原尚哉 訳

原書書影

19世紀、医師サイラス・コードが乗船する帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸へ極地探検に向かっていた。目的地のフィヨルドには、古代に建設されたとおぼしき謎の大建築物が存在するという。ついに現地に到達したサイラスたちは、ライバル船エウロパ号の末路を目撃する。そのとき、思いがけない事態が起こる……しかし、サイラスが不吉な夢から目覚めると、座乗する蒸気船デメテル号は南米パタゴニアへ向かう探検行の途上にあった……いったいなにが起こっているのか? いっぽう、木星近傍の宇宙空間では……ローカス賞、ドラゴン賞候補作。

■レイ・ネイラー『絶滅の牙』(創元SF文庫、秋刊行)
The Tusks of Extinction (2024) by Ray Nayler/金子浩 訳

原書書影

近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学により復活したマンモスの保護区が成立していた。かつて象を保護する生物学者であったダミラは、その意識だけを一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区にはマンモスを狙う密猟者の息子であるスヴャトスラフや、大金を積んでマンモス狩りの合法的権利を得た富豪の夫アンソニーらが集まっていた。彼らはマンモスを巡る戦いの中で、それぞれの葛藤と向き合う……

■エドワード・ブライアント『シナバー』(創元SF文庫)
Cinnabar (1976) by Edward Bryant/市田泉 訳

原書書影

砂漠の果て、大海に臨む崖の上に位置する遠未来の都市シナバー。超技術が保証する快楽と倦怠に身を委ねる市民たちの都は、機械知性体によって管理されている。倫理を超越した発明品でシナバーを賑わす科学者オブレゴン、母性と知性を強化された巨大猫ジェイド・ブルー、奔放な美女トルマリン・ヘイズら奇矯なシナバーの住人が、永遠の倦怠の中で出会った人びとと出来事を描く。J・G・バラード〈ヴァーミリオン・サンズ〉に触発されて書かれた幻の傑作SF連作集、本邦初訳。

■フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男 フレドリック・ブラウンSF短編全集』(創元SF文庫)
From These Ashes (2000) by Fredric Brown/安原和見 訳

単行本版(第1巻)書影

奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手。1963年には『未来世界から来た男』で創元SF文庫(当時は創元推理文庫SFマーク)の記念すべき第1弾を飾ったフレドリック・ブラウン。その多岐にわたる活躍の中から、111編のSF短編すべてを収めた新訳決定版全集、待望の文庫化(全5巻)スタート!

単行本・創元推理文庫(F)の国内ファンタジイ・ホラー注目作

■廣嶋玲子(ひろしま・れいこ)『行方知れずの仲人屋』
(創元推理文庫F、1月刊)
妖怪をさらうやつらの手から力弱い妖怪達を護るために四人の大妖の妖力を集めて作った貴重な結晶を、仲人屋の十郎が奪って行方をくらました。なぜ自分に何も言ってくれなかったのか? あせびは信頼していた恋人の裏切りに打ちのめされ家にこもってしまう。一方月夜公配下の烏天狗たちも必死で十郎の行方を捜していたが、なかなか見つからない。一方千吉は師匠朔ノ宮のもとで、千里眼の術の修行をしていた。大人気シリーズ第5弾!

■鈴森琴(すずもり・こと)『聖剣アルスルと傷の王』
(創元推理文庫F、2月刊)
英雄アルスルの評判を聞きつけたネズミ人外の地動王は、アルスルを家来に迎えるため、三匹の大臣を遣わした。もし王の病を癒すことができたら、かつて城郭都市エンブラから奪った花の大図書館を与えるというのだ。大図書館を奪還すべく向かったアルスルと鍵の騎士団。そこで走訃王の角から鍛えた自らの剣に翻弄されるアルスルは、同じく人外兵器を操る若き公爵と出会う。変わり者の英雄アルスルの戦いと成長を描くシリーズ第3弾。

■庵野ゆき(あんの・ゆき)『竜の医師団3』
(創元推理文庫F、3月刊)
カランバスに新たな竜が飛来……と思ったのも束の間、なんとその竜は卵をディドウスの巣に置いて去ってしまった。みんなが呆気にとられているあいだに卵はひび割れ、中から赤ん坊の竜が顔を出した。なんとディドウスは托卵されたのだ! 予想もしない事態に老竜もカランバスの医師団も大慌て。なにせカランバスの医師団は幼竜については素人同然。この事態に竜の目をもつリョウと天才レオも巻きこまれ……。大人気シリーズ第3弾。

■庵野ゆき(あんの・ゆき)『竜の医師団4』
(創元推理文庫F、4月刊)
カランバスの元元首にして陰の主治医ニーナ師率いる〈医療交流団〉一行が、竜医療先進国イズルへ赴いた。目的は幼竜チューダの翼の治療法を聞き出すこと。そう簡単に教えてくれるとは思えないので、餌もちゃんと用意してある。竜の細胞を移植した目をもつリョウの存在だ。そのため成績優秀なレオやリリと一緒にリョウも同行したのだ。〈竜舞う国〉イズルは、沢山の竜が訪れる豊穣の地。そこでリョウは治療のためにイズルに降りた竜〈青のアルワン〉を見た。医療と人のあり方を問う、異世界本格医療ファンタジイ。

■東雅夫(ひがし・まさお)編〈怪奇幻想アンソロジー〉
(創元推理文庫F、夏以降)
怪奇幻想ジャンルを代表する「死人のたたり」「妖怪大戦争」「愛しき怪物たち」のテーマごと、現在では読むことが難しい作家・作品や幻の名作群を中心に集めたアンソロジー。

■乾石智子(いぬいし・ともこ)『オーリエラントの魔道師短編集』
(創元推理文庫F、秋刊行)
「夜色表紙」と呼ばれる、夜の写本師が書いた冊子に導かれた人々の運命を描く連作短編集、〈オーリエラントの魔道師〉シリーズ最新刊。

■菅野雪虫(すがの・ゆきむし)『星天の兄弟』
(創元推理文庫F、秋刊行)
ある王国の田舎町に、高潔な学者が住んでいた。学者には母親のちがう息子が二人おり、兄は賢く弟は美しくて評判だった。あるとき、王国の第二王子が学者の評判を聞きつけ、自分の家庭教師にと招いた。王子は聡明で学者も喜んで教えたのだが、王子に父王に対する反乱を企んでいるとの疑いがかけられ、学者も捕らえられてしまう。幼い兄弟の運命はその日を境に一変する。〈天山の巫女ソニン〉シリーズで人気の著者のファンタジイ文庫化。

■深沢仁(ふかざわ・じん)『英国幻視の少年たち』
(四六判上製/全3巻、2025年後半刊行)
「家に帰りたいのなら、服を裏返しに着てくれないか」妖精によって道に迷わされたとき、それがもっとも簡単で効果的な対策だと、小柄な赤毛の青年は俺に言った——英国ウィッツバリーに留学した皆川海は、自宅に現れた妖精を追い出すために海の叔母が呼びつけた英国特別幻想取締報告局のランス・ファーロングと出会う。同じ大学に通い、ともに幻想的生命体を見る能力を有するふたりの青年が〝幻想事件ファンタズニック〟と向き合ってゆく姿を描いた傑作ファンタジイ。『眠れない夜にみる夢は』『ふたりの窓の外』の著者の初期代表作を全3巻の四六判単行本に纏め、各巻に新作短編および書籍未収録の掌編を追加したファン垂涎の愛蔵版。彼らに、また会えます!

■上條一輝(かみじょう・かずき)『あしや超常現象調査2』
(四六判並製)
あしや超常現象調査の晴子と越野は、古い一軒家でポルターガイストに悩まされる人物の依頼を受ける。世界で起こったポルターガイスト現象から法則性を導き出したり、破天荒な対策を編み出したりして超常現象に立ち向かう二人。やがて現象は落ち着いた……と思った矢先に、依頼人が失踪してしまう。さらに晴子と越野の周囲までも奇怪な現象に蝕まれ始め――。数々の作家から絶賛を受け、発売後即重版し話題を呼んだ『深淵のテレパス』に続く、〈あしや超常現象調査〉シリーズ第2弾!

単行本・創元推理文庫(F)の海外ファンタジイ注目作

■アンドレス・バルバ『きらめく共和国』(創元推理文庫、1月刊)
República luminosa (2017) by Andrés Barba/宇野和美 訳

文庫版書影

緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町に、理解不能な言葉を話す9歳から13歳の子どもたちの集団がどこからともなく現れた。その存在は徐々に大人たちの日常に罅を入れていき、数ヶ月後、32人の子どもは一斉に命を落とした――。現代スペインを代表する作家が描く、子どものかわいらしさと暴力性、野生と文明、保護と支配。一読忘れがたき恐るべき寓話ぐうわ、待望の文庫化。

■フローレンス・パリー・ハイド『ツリーホーン、どんどん小さくなる』エドワード・ゴーリー絵(四六判上製、1月刊)
The Shrinking of Treehorn (1971) by Frorence Parry Heide/Drawing by Edward Gorey/三辺律子 訳

原書書影

さいしょはクローゼットの棚に手が届かなかった。つぎに服がぶかぶかになった。「思うんだけど、ぼくは縮んでるんじゃないかな」でも、おとうさんもおかあさんもあまり気にしていないみたい。お医者さんはそんな病気はないって言うし、学校の先生も解決してくれない。まだまだ縮み続けて……。英国児童文学の人気作家フローレンス・パリー・ハイドとイラストレーター、エドワード・ゴーリーがタッグを組んだナンセンスで可愛い物語。

■フローレンス・パリー・ハイド『ツリーホーンのたからもの』エドワード・ゴーリー絵(四六判上製、3月刊)
Treehorn's Treasure (1981) by Frorence Parry Heide/Drawing by Edward Gorey/三辺律子 訳
ツリーホーンはマンガを14冊持っていて、それぞれ19回ずつ読んでいた。おこづかいをもらえたら、新しいのを買うんだ。でもおとうさんは貯金しろっていう。ただ貯めたって意味がないのに……。おとうさんは「金のなる木はない」っていうけど、庭に出てみたら、はっぱが1ドル札になっていた! 英国児童文学の人気作家フローレンス・パリー・ハイドとイラストレーター、エドワード・ゴーリーがタッグを組んだナンセンスで可愛い物語。

■フローレンス・パリー・ハイド『ツリーホーンのねがい』エドワード・ゴーリー絵(四六判上製、5月刊)
Treehorn's Wish (1984) by Frorence Parry Heide/Drawing by Edward Gorey/三辺律子 訳
ツリーホーンの誕生日、でもおとうさんもおかあさんも忙しそう。庭でひろったつぼをみがいたら、おじさんが出てきた。これって、おかあさんが待っている水道の検針員さん? それとも精霊? どうしても誕生日ケーキがほしいツリーホーンはおじさんにケーキをおねがいしてみたけど……。ゴーリーのイラスト40点。英国児童文学の人気作家フローレンス・パリー・ハイドのとぼけた味が可愛い物語。

■R・F・クァン『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』上下(四六判上製、2月刊)
Babel, Or the Necessity of Violence: An Arcane History of the Oxford Translators' Revolution (2022) by R. F. Kuang/古沢嘉通 訳

原書書影

銀と、ふたつの言語における単語の意味のずれから生じる翻訳の魔法によって、大英帝国が世界の覇権を握る19世紀。英語とは大きく異なる言語を求めて広東から連れてこられた中国人少年ロビンは、オックスフォード大学の王立翻訳研究所、通称バベルの新入生となり、言語のエキスパートになるための厳しい訓練を受ける。だが一方で、学内には大英帝国に叛旗を翻す秘密結社があった。言葉の力を巡る本格ファンタジイ。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作。

■ルーシー・ウッド『渚のうた』(四六判仮フランス装、春刊行)
The Sing of the Shore(2018)by Lucy Wood/木下淳子 訳

原書書影

大西洋とイングランドの陸地が出会う場所――コーンウォールのみぎわでは、現実と幻想もまた出会い、混ざりあい、忘れがたき物語が生まれていく……海と水辺がテーマの幻想譚13編を収録。サマセット・モーム賞受賞作『潜水鐘に乗って』に続く、気鋭ウッドの第二短編集。

■ロイス・マクマスター・ビジョルド『魔術師ペンリックと暗殺者』(創元推理文庫F、夏刊行)
The Assassins of Thasalon/Knot of Shadow(2021)by Lois McMaster Bujold/鍛治靖子 訳

The Assassins of Thasalon 原書書影

ペンリックの妻ニキスと義兄アデリスの故郷セドニアで皇帝が崩御し、9歳の幼い王子が即位した。その後先帝の弟やその息子などが続いて死亡し、かつて将軍であったアデリスを殺害しようと目論んだ大臣の手に権力が集中しそうになっていた。先帝の娘ですでに成人して結婚もしている王女からアデリスに帰国して欲しいとの使者が届く。魔をつかう魔術師がからんでいるらしいことから、ペンリックはセドニアに向かう。〈魔術師ペンリック〉シリーズ第4弾。

■トラヴィス・バルドリー『本屋と骨灰』(創元推理文庫F、夏刊行)
Bookshops & Bonedust(2023)by Travis Baldree/原島文世 訳

原書書影

オークやエルフやドワーフなどが存在する世界が舞台。賞金稼ぎの女傭兵のオーク、ヴィヴは、仕事中に負った怪我を癒やすために滞在したある街で、潰れかけた書店を建て直すべく大奮闘。ついでにこれまでろくにしたこともなかった読書の魅力に目覚めてゆく。今回も街の美味しいベーカリーのパンやビスケットが食欲をそそる、『伝説とカフェラテ』の前日譚となるコージーファンタジイ。

■SF・サイード『タイガー』(四六判上製、夏刊行)
Tyger (2022) by SF. Said/杉田七重 訳

原書書影

パラレルワールドの英国、生粋のロンドンっ子なのに両親が移民であるためにみんなから疎まれている少年アダムは、ある日強盗に襲われる。暗い路地裏に引っ張り込まれたアダムを救ったのは、絶滅したはずのトラだった。助けてくれた感謝の印に、トラの肩に刺さっている矢を抜いてやると、トラは自分が無限の世界からやってきた不滅の神の化身だと告げる……。ウィリアム・ブレイク、フィリップ・プルマン、アラビアンナイトにインスパイアされた独特な物語世界。

■エドワード・ケアリー『イーディス・ホラー』(四六判上製、夏刊行)
Edith Holler (2023) by Edward Carey/古屋美登里 訳

原書書影

語り手の「わたし」はノリッジの町に住む12歳の少女、イーディス。病弱で家の外に出られないので、毎日ベッドから外を見ている。イーディスが住んでいるのは曾祖父の名声で有名になったホラー劇場。イーディスの父で劇場主のエドガーが、4回目の再婚した相手は、悪徳商人として知られるアッティングの娘だった。劇場の資金援助のための結婚。イーディスは継母になじめずにいた。実はイーディスは劇場と結びついていて、彼女が一度でも出たら劇場は崩壊すると言われていた。ところが、継母はなんとかしてイーディスを外に連れ出そうとする。父と継母の結婚で部屋を奪われ、地下の台所のそばに追いやられるイーディス。なんと父も行方不明になってしまったのだ。著者による挿絵多数。

■スチュアート・ウィルソン『113代目の図書館司書助手』(四六判上製、冬刊行)
The 113th Assistant Librarian (2024) by Stuart Wilson/児玉敦子 訳

原書書影

図書館司書ヒエロニムスが彼を新しいアシスタントに抜擢したことで、オリバーの運命は思わぬ方向へ転がる。初日にヒエロニムスから図書館の隠された危険について不可解な警告を受けるが、図書館の危険性をもっと伝えようとしていた矢先、ヒエロニムスは心臓発作で亡くなってしまう。仕方なくほやほやの見習いであるオリバーが責任者となり、次々とやってくる本の借り手と格闘することに。魔道士たちは呪文書を必要とし、歴史家たちは真実を追求し、科学者たちは分類システムについて議論する。オリバーの唯一の仲間は9匹の図書館猫だが、猫たちは助けるのと同じくらいしょっちゅう邪魔をしてくる。さらにカミソリの歯を持つ本の虫と戦ったり、ステンドグラスから出現する騎士を退治したりしながらも、オリバーは図書館の秩序を保とうと奮闘するが……。

...and more


このほかにもさまざまな書籍を紹介していきますのでどうぞお楽しみに。2025年の東京創元社もよろしくお願いいたします。

よろしくお願いしますニャ(くらり)