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素数ミステリを数えるのだ!――マルク・ラーベ『17の鍵』『19号室』刊行応援記事

こんにちは翻訳班のKMです。

みなさん、素数そすう、数えてますか。

針と糸で密室を作ろうにも手が震えてしまうとき。アリバイ工作の電車移動中に冷や汗が止まらないとき。名探偵の尋問に顔がこわばるとき。いつも緊張をほぐしてくれるのが素数です。2、3、5、7、11、13……。しかし完全犯罪を目指すには、ただの素数よりも素数ミステリを数えたほうがよいとは思いませんか。以下、ほんの一例ですが、ご機嫌なナンバーのご紹介です。

2:『二人で探偵を』『二つの密室』など
   ……双子ものもよし。

3:『三本の緑の小壜』『時計は三時に止まる』など
   ……〈三毛猫ホームズ〉の作品数に慄きます。

5:『五匹の赤い鰊』『五つの時計』など
   ……「五条悟」はミステリでしょうか。

7:『ダイヤル7をまわす時』『七つの棺』など
   ……「数字の中で、7だけが孤独なのよ」。

11:『11枚のとらんぷ』『11文字の檻』など
   ……サッカーミステリにも例があるはず。

13:『ミス・マープルと13の謎』『殺人喜劇の13人』など
   ……血のついたホッケーマスクが想起されます。

そしてこのたび、続く「17」と「19」の素数ミステリに新星が現れました。マルク・ラーベ『17の鍵』『19号室』(酒寄進一訳/創元推理文庫)です! ※『19号室』は2月28日発売です。

装画:チカツタケオ/装幀:大岡喜直(next door design)

『17の鍵』あらすじ
早朝のベルリン大聖堂で殺人事件が発生。丸天井の下に、女性牧師の死体が吊り下げられていた。現場に駆けつけたトム・バビロン刑事は、信じがたいものを目撃する。被害者の首には、カバーに「17」と刻まれた鍵がかけられていた。かつて、トムが少年の頃に川で見つけた死体のそばにあったのと同じ鍵が、なぜ今、ここに現れたのか? 圧倒的スピードで疾走するドイツ・ミステリ!

17の鍵-マルク・ラーベ/酒寄進一訳|東京創元社
装画:チカツタケオ/装幀:大岡喜直(next door design)

『19号室』あらすじ ※2月28日発売※
ベルリン国際映画祭の開会式場に悲鳴が響き渡った。予定外の、女性が殺される瞬間を撮った映像が上映されたのだ。女性は市長の娘で女優の卵。映像はあまりにリアルで、目出し帽の人物が上映を強要したという。トム・バビロン刑事は捜査を始めるが、相棒の臨床心理士ジータは、映像内の壁に残されていた「19」に、自分との共通点を見つけて戦慄する。『17の鍵』につづく第2弾!

19号室-マルク・ラーベ/酒寄進一訳|東京創元社

面白さ格別、疾走感抜群のドイツ・ミステリです。読めば名探偵の尋問も風のように受け流せるでしょう。それから『17の鍵』と同月刊行の素数スパイアクション『エージェント17』を読むもよし。17、19に続く「23」の素数ミステリ『乗客ナンバー23の消失』を読むもよし。

素数ミステリを数えるのだ!