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COLUMN コラム

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そのエリアのことを熟知している、東京ビエンナーレを開催する各エリアのご意見番エリアディレクターによるコラムです。
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#東京

途中を伝える。芸術祭とコミュニケーション

編集部より 「達成」「到達」と同じくらいに、「途中」がもつ可能性を大切にすること。それは、芸術祭に限らず、私たちの日々の生き方にも活かしたい視点です。この記事では「東京ビエンナーレ2023」でコミュニケーション領域の責任者を務めた並河進のことばをご紹介します。その視点は、彼が総合ディレクターの一人となった今年の「東京ビエンナーレ2025」にもつながるはずです。 ※本記事は『東京ビエンナーレ2023 記録集』から転載ご紹介しています。 東京ビエンナーレ2023をどう伝えるか

日本有数のビジネスとカルチャーのまち 「大丸有」をアート散歩しませんか?

まちを歩くことは、たとえ気ままな散歩のようなものでも、その土地の歴史・文化や、そこに息づく価値観・空気感にふれることのできる体験でしょう。東京ビエンナーレはまちなか各所を会場とし、市民参加型であることからも、作品だけでなくこうした体験を常に大切にしています。ここではそんな「まち歩き」について、アートをキーワードにした話題をご紹介します。 今回は、東京ビエンナーレの開催を通じたご縁から生まれた取り組みである「大手町・丸の内・有楽町アートマップ」のご紹介です。 編集・文:内田

COLUMN:縄文からの歴史が層になって見える都市、東京の魅力/吉見俊哉(社会学者)

東京ビエンナーレでは「見なれぬ景色へ」というテーマを掲げ、東京という都市に眠る記憶をもう一度浮かび上がらせようとしています。私は昨年、東京ビエンナーレと同じような考え方で、『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』(集英社文庫)という書籍を上梓しました。この本では、東京の街を歩きながら地史、歴史に潜り込み都市全体を考察しているのですが、今回の東京ビエンナーレが対象とするエリアと同じ部分が多いので、少し紹介させてもらいます。 東京は非常にいびつな発展の仕方をしてきた世界でも珍しい都

COLUMN:東京オリンピックのオルタナティブとしての東京ビエンナーレ/吉見俊哉(社会学者)

私は普段、社会学者として大学で教えていますが、市民委員会の委員として東京ビエンナーレにも関わっています。総合ディレクターの中村政人さんとは東京都心北部のまちづくりを目指す「東京文化資源会議」(https://tcha.jp/)で長年ご一緒しています。東京の未来、日本の都市の文化的未来について議論を重ねており、目指すところを共有している同志だと感じています。また、東京ビエンナーレが展開されるエリアと東京文化資源会議の対象とするエリアは非常に重なる。それについては後ほどご紹介した