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南北相法(後篇/巻ノ二)

水野南北居士 著

《血色の部 論弁》

《観相の時、その血色をよく観ようと思うならば、「潮汐」をとらえて、観なさい。そうすれば心気が安定しているため、自然と観やすくなる》

そもそも、人体の気血があるという事は、まるで天地に潮汐があるに等しい。ゆえに、人の気血は潮の進退(≒差し引き)に応じて盈虚(えいきょ、=満ち欠け)がある。つまり、潮が差し盈(みち)る時は、人の気血もまた盈る。よって、その時に観れば血色は自然と浮かび現れ、知りやすい。また、観相者も己の身体の気血が以上の如く充満(みちみち)る時に観相に臨めば、心気が健全ゆえに、自然と観やすい。潮が退(しりぞ)く時は、心気は陰に入り、気血もまた沈み退いて知り難くなる。観相者も以上の如く、心神が陰に入る時に観相しようとすれば心が進まぬゆえに、観定め難い。気血が衰え常に血色が悪い人であっても、天地の潮が差し盈る時は、血色も自然と浮かび現れやすく、好ましく観えるものである。常に血色が好ましく観える人であっても、以上に準じて判断しなさい。だが、太陰の人においては、引き潮(=退潮)の時には血色が良くなり、満ち潮(=進潮、差し潮)の時には血色衰える。
*血色は陰であり、満潮に観難く引潮に観易い。逆に気色は陽であり、満潮に観易く引潮に観難い。

《男女の官に紫色(ししょく)が現れる時は、子を産む(図1参照)》

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↑図1

そもそも陰陽が和合すれば、子孫を生じるものである。また、男女の官は面部(=顔面)の天地陰陽の中間に位置し、三陰三陽の官である。ゆえに、男女の官と名付けられ、子孫の官とされた。ところで、紫色には二種類ある。青色と赤色が合して紫色となる時は、青色は木、赤色は火であり、木生火の相生の色となる。つまり、これは、子孫の官に相生の色が現れるゆえ、子を生ずる、と言う。また、赤色と黒色が合して紫色となる時は、赤色は父の色、太陽の色であり、黒色は母の色、太陰の色である。この場合も陰陽の色が合して子孫の官に現れるゆえ、子を生ず、と言う。しかし、赤色と黒色が合して紫色となる場合は、赤色は火、黒色は水の色であり、水剋火の相剋となり、相生する事が出来ない。ゆえに、必ず難産となる。また、前談の如く、青色と赤色が合して紫色となる場合は、木生火の相生となるゆえ、安産となる。

《たとえ貧賤であったとしても、すでに夫が定まっている女は、自然と官禄の血色が良い。逆に、富貴であったとしても、未だ夫が定まらない女は、自然と官禄の血色が悪い(図2参照)》

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