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積み重ねの上にある価値(戸越銀座商店街の配信を終えて)
ハコマチ編集後記「戸越銀座商店街」#011/#012
この場所に来ると「ありがたい」その言葉が持つ意味を痛感する。
戸越銀座商店街はよくテレビ番組のロケ地に使われたり、関東一、日本一などと呼ばれたりすることもある。
当たり前の話だが、個性を作るのは数や量ではない。それぞれの持つ歴史やイレギュラーの積み重ねであろう。
そんな積み重ねをどの商店街よりも着実にしてきたのが、戸越銀座商店街ではないだろうか。
歩行者天国の実施・バリアフリー化の徹底・ユビキタスプロジェクト
・ゆるきゃら・電柱の地中化・とごしぎんざブランド・コード決済導入
ここにあげただけでも数年に一度は新しい取り組みをいち早く実施し、着地させている。
それが、実証実験等にも選ばれたり、研究の題材として選ばれたりする循環も生み出している。
この社会で我々は選ばれ続けている。
会社から、お客様から、恋人から。
何をするときも、誰からか選ばれ、選ばれないことを繰り返す。
駅前だけではなく、商店街全体にチェーン店を入れていく選択肢はいつの時代にもあったのであろう。しかし、結果としてこの商店街は、驚くほどにチェーン店の比率を抑え込んでいるのがよく分かる。
400店舗以上が軒を連ねるこの通りで、チェーン店の数は1/4程度にとどまるのであろう。
合理化・経済性に収斂されてしまう現代において、
風情と経済性と、古さと新しさとの間にある。
それは有ることが難しく、在ることが難しい存在。
それが戸越銀座商店街なのであろう。 (K.T)