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コーダ あいのうた 


コーダ あいのうた シアンへダー監督 2021年

 音楽室でのシーン、歌をうたっている時の気持ちを問われ、うまく言葉が出てこないルビーは思わず手話を使って表現してしまう。その手話を見て先生は手話を言語として理解できないはずなのに感じ取って、音楽大学への進学へ最大限尽力しようと決意する。もう少し言葉を尽くすと、先生は手話をしたことへのアプローチに感動したのではなく、手話の内容そのものをその仕草から確かに受け取ったように見えた。

 歌のオーディションのシーン。家族がバルコニー席から見ているとわかったルビーは思わず歌いなが手話をしてしまう。結果的にオーディションに受かり、音楽大学への切符を手にする。

 この手話にたいする考え方がこの映画を象徴している。ルビーを縛り付けときに憎むべき対象でさえあった手話が彼女の人生を切り開いた。自己の苦しみとは一体何なのかについて、映画は無数の答えを今までも見せてくれたけれど、コーダはひだまりのように優しい答えを見せてくれた。

 音楽の素敵さも特筆すべきだし、娘を持つ父としては、ラスト前父との夜のシーンは泣けて泣けてしかたなかった。お兄ちゃんもかっこよかったし、お母さんの眼差しもやさしかった。

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