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【楽天3位】徳島インディゴソックス「中込陽翔」のてびき!



中込陽翔 プロフィール

ふりがな:なかごみ はると
背番号:29
出身:山梨県
生年月日:2002年1月23日
身長:175cm
体重:77kg
投/打:右/右
経歴:山梨学院高(甲)ー山梨学院大

サイド気味の変則スリークォーターで、常にセットポジションから投じる最速150km/h右腕。ルーキーの中で唯一開幕戦のマウンドに上がり、中継ぎとして登場。見事無失点デビューを果たし、シーズン終了後までその勢いは衰えることなくリーグ屈指の好投手として好成績を残した。プレイヤータイプとしては読売ジャイアンツ・大勢投手や千葉ロッテマリーンズ・横山陸人投手をイメージする。近年、増えてきたサイドハンドのリリーフだ。

高校は2023年にセンバツで山梨県勢初優勝を果たした山梨学院高校へと進学。入学後は1年秋からベンチ入りし、2年生までは捕手も経験していたという器用さも自慢。更には3年時に出場したセンバツでエースナンバー「1」を背負い、甲子園のマウンドに上がった。

大学は山梨学院大学へ進学。2021年春のリーグ戦にて、この年中日ドラゴンズから1位指名を受けたブライト健太選手を4打数1安打に抑えるなど、現NPB選手に対しても十分な成績を残した。また、阪神タイガース・桐敷拓馬投手やオリックス・バファローズ・曽谷龍平投手との投げ合いも経験した。さらに高校・大学の同級生である宮崎一樹選手が2023年に北海道日本ハムファイターズからドラフト指名を受けた。そんな宮崎選手の姿を見て野球を続けることを決意し、運命の一年をインディゴに賭けた。

そんな彼の持ち味の1つが闘志あふれるピッチングである。マウンド上で雄叫びをあげながらガッツポーズをする姿から「中込はガチ」という言葉が誕生し、インディゴのYouTubeにも彼のガッツポーズ集が投稿されている。

またチーム内随一のストイックさも兼ね備えており、鍛え上げられた彼の肉体は体格が良い選手が揃うインディゴの中でもひと際引き立っている。そんな彼の姿を見て慕う選手も多く、ウエイトトレーニングの指導役も担っている。

基本成績

今季の中込の成績をまとめたものがこちら。リーグトップの43試合に登板し、中継ぎながら8勝をあげ最多勝を獲得した。さらに、ホールドもリーグ1位の11ホールドを記録。防御率1.97もリーグ3位、奪三振数もリーグ4位と様々な指標でランキング上位に食い込んだ。

注目すべきポイントは2つ「奪三振率が高い」「与四死球が少ない」ということである。奪三振率11.68は5イニング以上投げた投手の中ではリーグ2位の数字である。238人と対戦して与四球はわずか7個、BB%にすると2.9%と驚異的な数字となり、もちろんリーグトップの数字だ。中込を信頼してマウンドに送り出せる理由がこの2つに詰まっている。

条件別成績

さらに中込のピッチングを対戦打者の左右別、塁状況別に分類したものがこちら。右のサイドスローの投手は左打者に苦しみがちだが、左右別に見てみると打率は大きく変わらない。ここはシーズン序盤から課題として取り組んだものであり、後で詳しく述べたい。

塁状況別のデータを見てみると、得点圏でもしっかりと三振を奪えていることがわかる。ゴロやフライすら打たせたくない場面でも三振を狙って取れるようなピッチャーはチームにとって欠かせない戦力となる。

球種別スタッツ

SwStr% = 空振り数/全投球数 (一般的な「空振り率」)
Whiff% = 空振り数/スイングした投球数
スポナビより独自集計

中込の投球を球種別に分類するとこのようになる。ストレートの投球割合が60%を超える割合を占めており、力のある直球が投球を支えていたことがわかる。特に空振り率であるSwstr%は13.2%とリーグ2位の数字を残した。ストレート最速150km/hと特別なスピードが出るわけではないが、サイドスロー特有の角度や高めのコースへの使い方など特徴を理解し、活かしたピッチングを心掛けた結果である。

そのストレートと共にピッチングを支えたのが、被打率1割台と打者を苦しめたスライダーだ。これもサイドスローから投げることで上から投げる投手よりも大きく変化していくという特徴を理解して、武器として使ってきた。空振りが奪え、打ち返してもヒットにできなかったスライダーだ。

さらに左右別に中込のボールを見てみよう。

対右打者

右打者に対しては外角でストレートとスライダーの出し入れを徹底することで抑えてきた。特にストレートのストライク率は70%を超えており、自慢の直球で打者を押し込むピッチングができていたことがわかる。打者がストレートに振り負けないつもりでいると、今度はスライダーで交わされるのだ。

対左打者

左打者に対しても右打者と同じようにストレートを軸とした組み立てにはなるが、スライダーだけではなく、フォークやシンカーといった「落ちるボール」も駆使していく。フォークは被打率.125とヒットを打たれておらず、さらに精度が上がってくれば武器としてより威力を発揮するだろう。データ上での投球数は多くないが、シンカーもいい高さで打者から逃げるように変化しており、ぜひ磨いてほしい球種だ。

中込に新たに投げ始めたシンカーについて、手応えを聞いてみるとこのように答えてくれた。「シンカーを投げる投手が少ないので、左打者対策で投げ始めました。打者に投げるまではあまり自信のあるボールではなかったのですが、練習して試合で打者に投げる度に精度もキレも良くなってきていって、後期はシンカーでたくさん空振りやストライクをとれました。まだまだ改善するところはあると思うのでいろいろ試行錯誤しながら見たことないシンカーを投げたいです。」

球速帯

中込の投球を球速別にまとめたものがこちらだ。145km/h〜150㎞/hのストレート(青)が多くあり、平均球速は今後もっと上がってくるだろう。変化球はスライダー(赤)が120km/h〜133km/hで山になっており、130km/h〜140km/hのところにフォーク(緑)シンカー(黄)カットボール(紫)といった球種が固まっている。NPBでの指導を受けて、どのボールを武器としてどれくらいの割合で投げることになるのか、非常に興味深い投手だ。

☆飛躍のきっかけ

徳島でどのように選手が進化・成長を遂げたのか、注目ポイントを取り上げたい。

条件別成績のところで述べたように、右サイドスローの投手は「左打者をどう抑えるか」がどうしても課題となる。中込も同じ壁に当たった。中込の前期の成績を見てみると、右打者は被打率.195に抑え込んでいたものの、左打者に対しては被打率.338と打ち込まれた。ただ、後期は左打者との対戦は1割台に抑え込んだ。

後期で取り組んだことが、まさに左打者への投球を分析した時に見たように「落ちるボールの習得」だった。左打者への投球割合を前期と後期に分けるとこのようになる。

前期はストレート、スライダーがともに空振りは奪えていたものの、被打率3割台と安打も打たれていた。フォークもストライク率が40%を切っており、制球できていないボールだった。

後期はスライダーで打ち取るケースが増えただけでなく、フォークの制球向上やシンカーなどの新たな球種に挑戦することで引き出しを増やした。新たな球種のほとんどは2ストライクに追い込んだ余裕のあるカウントで試したもの。ストレートとスライダーでカウントを作れる中込だからこそ「実戦の中で試す」という経験ができたのだ。

フォークやシンカーといった「落ちるボール」をしっかりと操れるようになれば、ゆくゆくは左打者対策だけでなく、右打者への攻め方への幅も広がってくる。まだまだ進化の最中だ。

中込に対左打者への攻め方について、前期と後期でどのように考えていたのか聞いてみた。「後期は左打者にはスライダーを少し減らしてストレート、シンカー中心の組み立てを多めにしました。前期は右打者も左打者も外中心の配球でしたが、後期からは右打者、左打者関係なくインコースも多く使って、外の変化球をより生かす配球に変えました。そうすることによって打者を抑える幅がかなり広がった印象があります。」と答えてくれた。スポナビの球種判定と実際に投げていた球種が異なっていることがあるため、データ上の数字としてはそう多くないが、試合映像を通しての印象もまさにこの通りだ。

☆1軍へのカギ

平均球速を上げて、熱い気持ちで「火消しの消防士」となれ!

闘志をむき出しにして投げて、抑えて、吠えた姿を1年間で何度も見てきた。同級生が一足先に指名されたNPBに行くため、徳島で腕を下げてフォルムチェンジし、どうすれば求められる投手になれるか追い求めた。徳島では特に左打者をどう抑えるかを課題として取り組んだが、NPBで最初にやるべきことはまず右打者を封じることだ。そこから信頼を勝ち取り、1イニングを任せられるようになっていきたい。球速を引き上げ、変化球の精度を高め、左右の出し入れや緩急の奥行きを使いたい。チームのピンチに颯爽と現れ、気迫あふれる投球でチームに勝利を呼び込む日が来ることが今から待ち遠しい。

成績&データ、分析ほか 
中俊輔(@SNaka99400680


【球団よりお知らせ】
徳島インディゴソックスでは2020年シーズンより
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学生インターンの皆さんと共に行ってまいりました。

来シーズンもチームを一緒に盛り上げてくださる学生を募集いたします。
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