【阪神育成1巡目指名】最速159km/h右腕 工藤泰成投手にインタビュー!
今回は阪神タイガースから育成1巡目指名を受けた工藤泰成投手にインタビューを行いました!
最速159km/hのストレートとキレのある変化球を武器に今シーズンは最多勝のタイトルを獲得。昨年惜しくも指名漏れを経験し、今年にかける思いは人一倍大きかった工藤投手に徳島での1年間や今後の意気込みについて伺いました。ぜひ最後までご覧ください!
※このインタビューは10月27日に行われたものです。
1.独立リーグという選択
_野球を始めたきっかけは何ですか?
工藤 きっかけは父です。父が野球好きで幼稚園とかの時からボールに触れていました。その流れで野球部にも入りました。中学を卒業した時点で野球を辞めようと思ったのですが、父に三年間試合に出れなくてもいいから明桜高校で野球やってみなって言われました。僕も明桜高校の野球部のレベルが高いのは知っていて、試合に出れるかなという心配であんまり気が進まなかったんですけど、試合に出れなくてもいいからって言われて、野球を続けることにしました。
_その後大学に進み今年インディゴソックスに入団をしたわけですが、インディゴソックスを選んだ理由を教えてください。
工藤 2023年のドラフト会議で徳島から6人指名されたのをリアルタイムで見ていて、NPBに1番近い球団だなというのはありました。また、大学の同期で今年インディゴソックスに一緒に入団した荒木から独立リーグの中でもインディゴソックスは練習環境や施設が良いという話を聞きドラフト後にすぐ電話しました。
_社会人野球など他の選択肢は考えなかったのですか?
工藤 育成指名でもNPBに行きたいという気持ちがあったので独立リーグに行こうと決めていました。
_インディゴソックスに入団して驚いたことはありますか?
工藤 投手の球速がみんな速いことに驚きました。150km/hのボールをみんな当たり前のように投げていて「負けられないな」という気持ちが湧きました。
2.徳島での成長
_今シーズンを振り返ってみていかがでしたか?
工藤 後期シーズンが全体的に良かったなと思っていて、逆にダメだったのが前期シーズンですね。前期は中々自分の思うような結果が残せなかったのですが、後期は課題を試合の中で改善していくことができたと思っています。
_後期になってから成績が良くなった理由はなんだと思いますか?
工藤 何か特別なことをしたわけではないです。いつも通りのことをしていたんですけど、そのいつも通りの中でも自分の中で課題としてあった落ち球を多く投げたりしました。試合の中で課題を克服していくしかないので、試合の中でどれだけ感覚を良くするかっていうのを心がけていました。
_徳島に来てから技術面やメンタル面で成長したと思う部分はありますか?
工藤 徳島に来てからは本当に大きく変わったなと思っています。特にフィジカル面では本当に大きく変わったなと思っています。ウェイトトレーニングは大学の頃もしていましたが徳島に来てからさらに自分を追い込めるようになりました。そこから筋肉量も増え、球速も上がったと思っています。
メンタル面に関しては、大学野球は春季リーグが終わったから秋季リーグまで時間があるのでそこで緩みが生まれたりもしましたが、独立リーグは大学野球とは違い3月から9月まで通しでシーズンがあるので気が緩まないようにしていました。そういう意味で成長したと思います。
_今シーズンは阪神タイガースファーム戦や読売ジャイアンツ3軍戦、そしてトリドール杯チャンピオンシップなど重要な試合で先発を任されることも多かったと思いますが、どんな気持ちでこれらの試合に挑んでいましたか?
工藤 もちろん自分の中では大事な試合ってわかってるんですけど、だからといってもっとこれをこうしようとかはなくていつも通り同じルーティンで同じ気持ちで入るようにしていました。
_ルーティンはどんなものですか?
工藤 細かく言うとたくさんあるんですが、例えば試合三日前からはこれを食べるだったり、試合前日のトレーニングだったりっていうのを色々ルーティンにしています。
_球速に対するこだわりはありますか?
工藤 速いに越したことはないと思うんですけど、速さよりは質だと思っています。前期はスピードばかりを求めてやってきたんですが、後期からは球速というより投球フォームのバランスだったり様々な数字のバランスに意識を置いたら球の質も上がり結果的に球速も上がりました。
_トレーニングについてもう少し教えてください。
工藤 入団当初はウェイトトレーニングのBIG3(ベンチプレス・スクワット・デッドリフト3つの総称、インディゴソックスでは合計500kgをノルマとしている)が480kgぐらいだったのですが7月くらいには600kgまで上がりました。
_他の選手からトレーニングで影響を受けたことはありますか?
工藤 中込からは大きな影響を受けました。初めて会った時に体の大きさに驚きました。僕もトレーニングが大事というのは、大学時代からわかっていたので自分から中込にアドバイスをもらいにいきました。食事についても教えてもらって今もそれを継続しています。中込からはすぐに辞めると思われていたそうです。笑
_トレーニングは大変ではないですか?
工藤 やればやるだけ結果が出るので楽しいです。食事も大変ではないです。トレーニングも含め中込には本当にいろんなことを教えてもらってとても感謝していますし、人としてもとても尊敬しています。それぐらい中込からは影響を受けました。
_普段選手同士ではどんな話をされるのですか?
工藤 僕は中込や川口さんとご飯に行くことが多いのですが、ほとんど野球のことしか話さないです。野球のことを本当に熱く語りあっています。ドラフトが終わってから中込と川口さんとご飯に行きましたが、思わず泣いてしまうくらい熱く語り合いました。今まで仲間でもありライバルでもあったので、だからこそここまでやってこれたのだと思っています。
3.運命のドラフト当日
_ドラフト前日や当日の心境はいかがでしたか?
工藤 前日はソワソワしてうまく寝付けなかったのですが、睡眠導入BGMを聞いたら5秒で寝れました。笑
ドラフト当日は前の日寝るのが少し遅かったのでゆっくり起きて、それ以外はいつも通り練習をしてという感じでした。当日はむしろいつもよりも集中できたと思います。
_指名を待っている時の心境はいかがでしたか?
工藤 支配下で行く気しかなかったので、加藤と中込が3巡目で指名されてからが本当に長かったです。結局そのまま支配下の指名が終わって、内心は焦ってましたね。
_今年一年間の取り組みを振り返ると指名される手応えはありましたか?
工藤 大学の頃からスカウトの方に見ていただいていて、その時の自分と今の自分を比較されることが多かったので、大学の頃とは明らかに違うというのは自分でも感じていたのでそこは自信になっていました。
_支配下指名と育成指名の間の心境はいかがでしたか?
工藤 トイレに行ったのですが、そこでとても焦りを感じていました。昨年指名漏れした時の感覚が蘇り「今年も漏れるのか?」みたいなところは正直ありました。ただ周りに自分と同じように指名を待っている仲間がいたのでネガティブな発言はしないようにしていました。支配下指名されなかったのはショックでしたが、僕はすぐに直感で割り切るタイプなので育成指名されたら絶対すぐ支配下になろうと思いました。もし指名がなくてもプラスに捉えて来年絶対に支配下でNPBに行こうと思っていました。
_そんな中、阪神タイガースから育成1巡目で指名された瞬間の心境はいかがでしたか?
工藤 ほっとしました。ただ育成指名された瞬間から最短で支配下登録されようと思ったので頑張ろうっていう気持ちしかなかったです。
_1月の新入団会見では「自覚と覚悟」を掲げていましたが、NPB入りが決まって改めて心境を教えてください。
工藤 改めて「自覚と覚悟」を持って頑張ろうと感じました。NPBの選手としてこれまで以上にその気持ちは忘れずに持っておこうと思います。
_指名されて周りの反応はいかがでしたか?
工藤 もうみんな自分の想像以上に喜んでくれて、当日はアップルウォッチをしていたのですが、通知が鳴り止まなかったです。他にも大学の後輩たちがビデオメッセージを送ってくれたりもして、それは本当に嬉しかったです。そこで本当にいろんな方に感謝しなきゃいけないなっていうのを感じました。
_ご家族の反応はいかがでしたか?
工藤 指名後に家族のグループメッセージに「指名されました。ありがとうございます。」と伝えました。ドラフトが終わってから父親と電話したんですけど父の声がすごい枯れていました。笑
すごい叫んで喜んでくれたのだと思います。
_お父様とはどんな話をしましたか?
工藤 父からは「これからがスタートだし、指名されなかった選手たちの分までお前は頑張らなきゃいけないんだ」と言われました。そういう言葉をかけられて本当にその通りだなと思いました。また、これまで支えてくれた全ての人への感謝を何かに変えて見せないといけないなと思ったので、NPBの1軍でプレーしている姿を見せたいと思います。
4.そして舞台は甲子園へ
_阪神タイガースの印象はいかがですか?
工藤 とにかくファンの方の応援がとても熱いイメージがあります。感情のこもった応援が特徴的だと思います。またファームに力を入れてる球団なのでそこも楽しみですし、監督も新たに藤川球児監督が就任されて楽しみな気持ちが大きいです。
_6月に阪神タイガースファームと試合がありましたが、その時の印象は何かありま
すか?
工藤 6月の試合は先発で投げさせていただいて、阪神ファンの方もたくさん来ていただきました。徳島まで応援に来てくれる熱いファンがとても多いのだと感じました。
_阪神タイガースは独立リーグ出身の投手も多いと思いますが、独立出身の先輩投手から吸収したいものはありますか?
工藤 良いところは全部吸収していきたいなと思っています。石井大智投手がトレーニングが好きっていうのを聞いたので、一緒に合同トレーニングしたいです。また、独立リーグとNPBで試合日程やボールなど違うところもあるのでそういうところも先輩からどんどん吸収していこうと思っています。
_先発・中継ぎ・抑えの中でどれがやりたいですか?
工藤 こだわりはないです。任されたポジションを全うするだけだと思っています。担当のスカウトの方にも今徳島で一番腕が振れているし、シーズンを投げ切る体力もあるということで評価していただいたので、そういうところを活かしながら頑張りたいと思います。せっかくそういう評価をしていただいたので、ポジションのこだわりはないですしやるしかないという気持ちです。
_参考にしているNPBの投手は誰ですか?
工藤 埼玉西武ライオンズの平良海馬投手です。フィジカルの面でとても参考にしています。他にもいろんな投手を参考にしています。野球の試合を見るのが好きなのでその中で配球や投球スタイルを見たり、試合では見れない球の握りはYouTubeで調べて参考にしたりしています。
_これからの目標を教えてください。
工藤 まずはできるだけ最短で支配下登録されることです。その先は息の長い選手になりたいと思っています。その中でタイトルを取ったり、日本一になりたいと思っています。直近だと新人王が1番取りたいタイトルです。
_ドラフト指名後の記者会見で能見篤史氏の名前を挙げていましたよね?
工藤 僕が小さい頃から活躍していた選手でずっと心の中で憧れを持っていました。投球スタイルや左右は違いますが長く活躍された投手ですし、1投手としてとても尊敬しています。あのクールビューティーな雰囲気にも憧れます。
_入団後楽しみにしていることはありますか?
工藤 新人合同自主トレが1番楽しみです。どれだけ自分が評価してもらえるのかがとても楽しみです。
_同期入団の選手で話してみたい選手はいますか?
工藤 高知ファイティングドッグスから指名された嶋村麟士朗選手とは話をしてみたいです。シーズン中は話すことができなかったので、自分の球がどう見えていたかを聞いてみたいです。
_入団してからの不安は何かありますか?
工藤 ないです。寮の生活にも慣れていますし、今は支配下登録に向けてやるしかないと思っています。むしろ楽しみの方が大きいです。
_セ・リーグの打者で対戦したい選手はいますか?
工藤 村上宗隆選手(東京ヤクルト)や岡本和真選手(読売)など日本を代表する打者とデータをしっかり活かしながら対戦したいです。
_阪神タイガースのファンの方へコメントをお願いします!
工藤 阪神タイガースから育成1巡目で指名を受けました工藤泰成です。アピールポイントはストレートの出力の高さとフォークなのでそこに注目してみていただけると嬉しいです。1日でも早く支配下登録されるように頑張ります。応援よろしくお願いします!
_藤川新監督へ何かメッセージがあればお願いします!
工藤 小さい頃から藤川監督の投球を見てストレートにこだわりたいと思っていました。NPBでもストレートにこだわってでやっていきたいと思っているのでご指導のほどよろしくお願いいたします。
5.初めての徳島
_初めての徳島の印象はいかがでしたか?
工藤 住みやすい県でした。あとは中込と剣山に登ったのがとても思い出に残っています。剣山には筑後遠征の帰りに中込とノリで行きました。笑
元々行きたいねという話はしていたのでようやく行けました。帰りのリフトから見る景色は本当に綺麗でしたし、気持ちよかったです。
_地元でも山に登るんですか?
工藤 実は剣山しか登山したことないんです。笑
元々僕は休みの日家に引き篭もるタイプだったのですが、中込に影響されて毎日外に出ないと落ちつかないようになりました。
_徳島で美味しかった食べ物はありますか?
工藤 海鮮が美味しいですね。あとは徳島ラーメンが美味しかったです。近所のお店で行きたいお店もあります。まだ行きつけのお店はできていないので徳島にいるうちにいろんなお店に行きたいです。
_趣味は何ですか?
工藤 趣味は登山とサウナです。ただ登山は剣山に行った1回しか登ったことがないです。笑
今度日本百名山である愛媛県の石鎚山にも登る予定なのでそれを楽しみにしています。サウナは中込や川口さんと行くことが多かったです。気分転換にも使っていました。あとはインディゴ内の同級生で集まって麻雀をしたりもします。
_入団してから登場曲で使いたい曲は何かありますか?
工藤 まだ決めてないです。新しい曲も渋い曲も幅広く聴くのでその中から決めていきたいと思っています。
_シーズン中ファンの方から頂いた差し入れで嬉しかったものはなんですか?
工藤 プロテインが一番嬉しかったです。僕は先発だったのでベンチにいる機会は少なかったのですが、そんな中でも差し入れをいただいてとても感謝しています。
_お気に入りのプロテインはありますか?
工藤 元阪神タイガースの糸井嘉男氏がアンバサダーを務めるVITASを飲んでいます。今はブルーベリー味を飲んでいますがとても美味しいです。ブルーベリー味のプロテインはなかなかないですしお気に入りです。
_今年1年間のモチベーションにつながったものはなんですか?
工藤 NPBに行くっていう気持ちがやっぱり一番のモチベーションでしたね。あとは高校時代の先輩である山口航輝選手(千葉ロッテ)や曽谷龍平投手(オリックス)の活躍を見て、同じ土俵でプレーしたいなっていうモチベーションがありました。
また、インディゴのファンの方の声援も大きなモチベーションでした。毎日毎日来てくれるファンの方がいるし、時間がない中でも来てくれる方もいて本当に感謝しています。ありがとうございました。
_先輩2人の活躍は意識していましたか?
工藤 とても意識していました。毎回試合も映像やスポナビでチェックして自分も早く同じ舞台に立てるように頑張りましたし、2人が活躍すると僕も嬉しかったです。曽谷さんからはドラフトが終わってから連絡をいただいて今度ご飯に行こうと思っています。
_最後に1年間応援してくれた徳島インディゴソックスのファンの方に向けてもコメントをお願いします!
工藤 徳島インディゴソックスのファンの皆さん、1年間応援ありがとうございました。皆さんの応援のおかげでここまで来ることができました。1年という短い期間でしたが皆さんの温かさに支えられて幸せでした。これからも応援よろしくお願いします!
_ありがとうございました!
おすすめ記事
最後までお読みいただきありがとうございました!工藤投手についてもっと詳しく知りたいという方はこちら↓の記事もおすすめです!
リモートインターンについてはこちらをご参照ください。
プロフィール
取材・執筆 進邦和馬