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宗教家から農家へ:今年一年の振り返り

MIKI FARM MAGAZINE 番外編で今年の振り返り。
信仰3世で元宗教家。現在は新規就農に向けて準備中。ちょっと変わった視点から、農業に触れて学んだこと感じたことを綴っています。
MIKI FARM開園に向けたドネーションを募るという意味合いで、メンバーシップを開設しています。

今年も残すところわずかとなりました。

11月からスタートしたばかりのMIKI FARM MAGAZINEですが、番外編としてこの一年を振り返ってみたいと思います。


宗教家から農家へ

──随分と思い切った転身でしたが、今年一年を過ごす中で徐々に徐々に具体的なものになってきた実感もあって、感慨深い気持ちでこの年末を過ごしています。

この春から熊本県南阿蘇村の農家さんの元での農業研修がスタートしました。実際に農業を営んでいる現場から直接学ぶ毎日はとても刺激的で、充実しています。

特に露地野菜の少量多品目栽培について学ぶために、それまで務めていた地域おこし協力隊 新規就農プロジェクトの任期を一年で切り上げて、南阿蘇村農業研修生受入協議会のお世話になっています。

協力隊の制度はとてもありがたいものでした。
農業は未経験、村内での縁もほとんどない私でも南阿蘇村での生活をスムーズにスタートできましたし、南阿蘇村で営まれる農業のことを実地に知ることができました。

農業について知っていく中で、次第に少量多品目栽培を手掛けてみたいと思うようになります。
単一の品目に絞らないで、常時複数の品目を栽培して、季節の野菜セットとしてお客様のもとに直接お届けする。直販による太くて長いつながりが私としてはとても魅力的でした。

かつては宗教家として、信仰によって紡がれる人と人のご縁の中で暮らす毎日だった訳ですが、今度は農家として、野菜で繋がるご縁に生きる毎日にしてみたい!そう考えると、少量多品目の一択でした。

とても魅力的な季節のお野菜セット直販というスタイル。私だけではなくて、多くの新規就農者が憧れ夢見る一つの営農形態で、そういう意味では結構メジャーなものです。
が、この少量多品目栽培で実際に経営が成り立つ水準で営農できる農家さんはごくわずかであることも、段々と分かってきました。

何故か。難しいから。そして、大変だから。
(そのあたりのもうちょっと詳しいところは過去のマガジンでも触れています。)

一時は多品目で農家をやっていくのは農業初心者には無理だろうとも感じられて、もっと違った形での就農を考えたこともありました。

そんな時に、またありがたい出会いがありました。

産消提携のつながりの中で

熊本県益城町に熊本いのちと土を考える会という生協組合があります。

規模としてはとても小さく、十名余りの生産者と数百名の組合員で構成されているのですが、昭和期の有機農業運動から続く「産消提携」の理念を守り続ける歴史ある団体です。

「産消提携」についてはコチラで。

このいのちと土を考える会、分かりやすく言えば、地域の少量多品目農家の寄り合いのような生協です。

多品目栽培による野菜セットで生計を立てていく上で最も難しいのは”野菜セットを切らさない”ということ。

野菜セットを組むためには常時10品目以上の野菜を周年切らさず収穫し続けることが求められます。個人の農家がそれを実現するためには多品目農家独特の技術と経験が必要になってきて、新規参入が容易でない一つの理由となっています。

野菜のセット販売は定期便がセオリー。顧客を増やしていくためには何より安定的な生産によって安心してご利用いただける信頼を築くことが重要です。
新規就農者の場合、その前提の部分がどうしてもおぼつかない訳です。

いのちと土を考える会では、この野菜セット直販を”団体戦”で行います。
個人では切らさず繋ぐことの難しい野菜セットも、熊本県一円に広がる生産者がそれぞれの環境で取り組める作柄で補い合えば、組合の野菜セットを周年供給することが可能になります。

技術的に初心者には難しい少量多品目栽培でも、この組合の生産者の皆さんの力を借りれば、私でも挑戦できるかも知れない…そんな展望が開けました。

加えて、この組合が大切にする”顔の見える関係”の深さ、近さに驚きました。

いのちと土を考える会では、週に一度の野菜ケースをご自宅に直接お届けしています。第三者を介さずに自分たちで配送まで行うのですが、生産者自らドライバーを担うことも定例化しています。

「〇〇さん、トマト美味しかったよ!」「里芋、トロトロだった〜」「大きい白菜ね!嬉しいわ!」
お客さんの生の声が、まさに顔の見える関係性の中でどんどん耳に入ってきます。

こういう農業がしたかった。会の皆さんに会ってみて、率直にそう思いました。

ニュアンスが正しく伝わるか難しいのですが、私が宗教家を務めていた教会と会員さんの関係によく似ているのです。

日々の暮らしを支え、折に触れて顔を合わせては「お元気ですか?」と、世間話の一つでも交わしながら、お互いに感謝。またよろしくお願いします─と。

それを農業として行うか、信仰として行うか。それだけの違いです。

この組合の生産者になりたい──そう思い至ってからは駆け込みでイベントに参加したり、朝の出荷仕分けに半ば勝手に押しかけお手伝いをさせてもらったり、会の生産者さんの圃場巡りをさせてもらったり。大事な会議に同席させてもらったり。

40周年を祝う記念誌
ちゃっかり表紙絵まで描かせていただきました。

つい先日のことですが、同組合の正式な生産者に加えていただけることが承認されました!

まだ何も生産できていないし、畑も定まっていないのですが(笑)ありがたい限りです。

来年はいのちと土を考える会の生産者としてのスタート。張り切っていきたいところです。

少しずつ少しずつですが、漠然とした夢でしかなかった”農業”が具体的な形になってきました。

私にとっての農業

一昨年の春から農業を学び始めて早二年になろうとしています。

有機農業を中心に、色々な農法について駆け足で学んできました。

現在進行系で、試行錯誤し続けていますが学べば学ぶほど感じるのは”自然の仕組みはみな同じ”ということです。

世の中には数多の農法があって、それぞれの切り口で栽培に取り組んでいるので、見方が違えば主張が食い違うこともしばしばあります。

「肥料は必要。」「いや、本来は要らない。」
「化学農薬反対!」「それでどうやって80億人が食べていけるの?」
「耕しなさい。」「耕しちゃいけない。」
「雑草は敵」「草は味方」

農業初心者としては一体どれがホントなの?と目が回ってしまうのですが…
色々な主張をまたいで学んで咀嚼して、自分の中に落とし込んでいく過程で気づくのは、”自然の仕組みはみな同じ”ということ。

みんな切り口が違うだけで、同じことについて話しているはずです。真っ向から主張が対立することもありますが、根っこの部分ではつながっていたりします。

「農法についての考え方は数多あれど、根本は普遍。であれば、お互いの主張をよく聞いて楽しんで、無用な壁を取り払ってより良い農業のあり方を一緒に考えて行ければ良い──。」そんなことをド素人ながら思うのですが。

ふと気づくのです。これは信仰にも通じる話だと。

「信仰についての考え方は数多あれど、根本は普遍。であれば、お互いの主張をよく聞いて楽しんで、無用な壁を取り払ってより良い信仰のあり方を一緒に考えて行ければ良い──。」

そんな思いを、私は農業に仮託しているんだなと気づきました。

だから私が取り組む農業においては、こだわりはあんまり持たないで、色んな角度から野菜づくりを見つめてみたいと思っています。

何も知らない農業初心者だからこそできる挑戦がたくさんあります。これから始まる農家としての暮らしが、楽しみです。

家族で畝作り 菌ちゃん農法に挑戦!

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