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「パテハラ」を乗り越えるには

特許業務がある会社に入社すると、高確率で若手の頃に

「パテハラ(特許業務のハラスメント)」

にあいます!

日本の特許の文章は、日本語であるはずなのに、めちゃくちゃ読みづらいです。


漢語と古文とも違う、独特の言語体系で表現されます。
弁理士・知財部員が、英知の結晶で生み出す、良い権利を取るための、文章技術が一般人の言語感覚と大きく乖離しているからです。

※しかし、本当に優秀な弁理士・知財部員の文章は、割と読みやすいです。ぶっちゃっけ、実力がない中途半端な弁理士・知財部員が、難しく表現して特許庁の審査官を騙そうとしている文章が一番読みにくいです

特許だと「スマートフォン」は、「情報処理装置」になり、「コピー機」は「画像形成装置」になります。

固有名詞は、まだ連想できるから助かりますが、その「スマートフォン」や「コピー機」に搭載されている「機能」を表現すると、

~する~制御部、…する…制御部、のような意味不明な言葉遣い(業界的には、機能表現と呼びます。)で表現します。

スマートフォンのタッチパネルのアイコンを表示している機能を表現すると、

アイコン画像を情報処理装置の表示部に表示する表示制御部、

となります。

こういう読みづらい、書類を、平然と2週間くらいで1000件読んでねとか来ます!
しかも、開発中の自社製品に侵害しないか検討しながら読んでね!という、侵害の一次検討もセットで来ます。

やってらんないですよね、、、

どうやってこの苦行を乗り越えるのか、、

もうね、

特許は「図面」

なんですよ!

特許の出願書類には、図面が記載されていますが、ここだけで、「ちゃんと読むべき特許か否か」を判断します。

実例で私自身の特許「特許6052459」を使うと、

請求項は、

【請求項1】
撮影手段で複数の機器を撮影することで得られた各機器の画像に基づいて各機器を識別する識別手段と、
前記複数の機器に紐付き表示手段に表示された複数の画像をユーザが重ね合わせることで新たな画像を前記表示手段に表示させ、前記複数の機器が有する機能を利用する連携機能の情報を前記表示手段に表示させる制御手段と、
を有する情報処理装置。

特許6052459の請求項1を抜粋

これを図をぱらぱらめくって読むと、図10に請求項の文言に相当しそうな図面が出てきました

特許6052459の図10を抜粋

何となく意味わかりますよね?
スマートフォンの画面に、コピー機とPCが映っていて、これが矢印の方向に移動すると、連携機能の候補ってやつが表示されると。

請求項を良く読むと、矢印はおそらく重ね合わせを意味していそうだな。
単に画面にコピー機の画像とPCの画像が映っているのではなく、スマートフォンのカメラで撮影した画像が映っているなと。

ここまで分かれば請求項の理解はばっちりだと思います!

分かりやすい図が書かれていないのでは?
という疑問を持っている方もいるでしょう。
もちろん、分かりやすい図が全くない特許出願書類も0ではないです。
しかし、限りなく少ないです。
なぜなら、特許出願書類の図面は、特許の審査の過程で利用したり、分割出願のネタ探しなど、色々使うことがあるので、ここをチープにすることは、知財部員は好まないので、丁寧な図が仕上がります

特許はこのように、左脳(文字の読解力)・右脳(図面のイメージ力)をバランスよく使って特許を理解しましょう!

特許は言葉だけで理解しようとすると、ドツボにハマりますので、、特許はイメージです!イメージで分からないところを言葉で補いましょう、という感じで最初は良いのかなと思います。

パテハラにあっても、挫けず特許と向き合い頑張りましょう!

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