スイーツ業界も特許で差別化 しかし、特許審査はビター?
ネットサーフィンをしていると、気になるニュース記事を見つけました!
バニラの香りを引き出す特許技術 香り高いスイーツに舌鼓
記事の内容を読むと、どうやら、「バニラ」を栽培しているのは「ソルファコミュニティ」と呼ばれれる企業が、バニラの香りを引き出す発酵技術に関する特許を取得したらしいです。
ニュース記事中には、具体的な特許番号が記載されていませんでしたが、特許調査スキルを有するものであれば、特定は簡単です!
てな訳で、特定した結果
「特許7458604」
が、該当する特許ですね。
※リンクもつけているので、良かったら開いてみてください。
書誌的な情報で気になったは、先ず、本件は、「特許権者」が複数人であることですね!
以下のように、5つの団体が特許権者に名を連ねています。
だいたい、こういうニュース記事で特許番号を記載しない場合、何か特殊なことが起きている可能性が高いです!
※別に違法なことをしているとかではないですよ。
私の特許に関する記事でもよく「特許のコスト負担は大きい」ことをいっていますが、こういう小さそうな企業が特許を出す場合、共同でコストを負担することで、何とかしようということも考えられるので、今回のケースは、そういう事例なのかもしれません。
権利の持ち分がどうなっているのか個人的に気になりますが、シンプルに1/5なのか、それともどこかの団体が多いのか、、
だいたい、こういうのは費用負担した割合で決まることが多いです。その情報が無いので、分かりようもないですが、言えることは、この特許で1団体だけが儲かる構図ではないことが分かります。
なお、株の投資をするときは、こういう権利者の数を考えると、良いと思います。小さい会社は、特許を取得するとリリース情報を出すことが多いですが、実は、その特許の利益を独り占めできる状態ではないこともありますので、しっかり特許庁のデータベースで特許番号を特定して、権利者情報を確認しましょう。
他にも本件は、PCT(国際出願、要は外国でも権利を取る気がある)をしていたり、早期審査制度(素早く権利を取る技)を利用していたり、結構、特殊な出願手続きを利用しています。
そこから分かることは、出願人の人たちは、この特許に対して本気だということです。
特許で一番大事といっても過言ではない特許になった請求項を確認すると、
請求項1のメインクレームは、「ローズウッド製容器」を太字にしましたが(特許のデータベースの原文だと下線が引かれている)、ここが、重要なポイントになります。
この特許出願は、審査の過程で特許庁の審査官に「拒絶理由通知通知」を受けており、元の出願の請求項を修正しています。その修正箇所を示すのが、この業界だと下線部を指します。
なお、修正前の元の出願時の請求項は、
修正前はの請求項1では、「ローズウッド製容器」になった箇所は、「芳香を有する木材及び/又は芳香を有する木材由来の精油の雰囲気下」であることが分かります。
修正後は、「ローズウッド製容器」で具体的になっているのが分かりますね。その前は、「芳香を有する木材」なので。最初の出願のチャレンジとしては、木材をローズウッドに限定せずに取りたいという気持ちはよく分かります。
しかし、審査官は、そのような「漠然とした広い表現」にOKを出さず、拒絶理由を出したということです。
いってしまえば、このバニラビーンズの特許は、ローズウッド製容器を使わなければ、回避(特許侵害にならない)できる特許です。
私は、このバニラビーンズ業界に詳しくないので、このローズウッド製容器に限定されることが、どれだけの意味なのか分かりませんが、この特許のニュースを見て、凄いと思った人は、このローズウッド製容器が、業界的にベストな解決手段なのかどうかを見極めて評価することをおススメします。
※芳香を有する木材のままで権利が取れていたら、凄い広いと思います。匂いが無い木材は殆どないと思いますので。
以上が、特許ニュースから分析した記事なります。
特許の情報をちゃんと調べると面白いことが色々分かりますので、気になった方は、今後も特許の情報を気にしてください。
また、私の記事が、その助力になれば幸いです。