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こんな弁理士・特許事務所には仕事を依頼してはいけない ~7つの重要ポイント~

長く特許業界にいると、弁理士の良し悪しが直ぐ分かります。

特許出願明細書を書く弁理士の実力のばらつきは大きいです。

どんな仕事もそうですが、資格を取れることと仕事ができることはイコールになりません。

もちろん、私も他人をとやかく言う程、完璧な人間ではございません。
なので、日々、精進している身です。

この記事は、

特許出願依頼を殆どしたことがない、スタートアップ/中小企業の経営者・知財部員・発明者といった初心者が、お金を無駄にしないための知恵を伝えたい

という意図になります。

以下にダメなポイントを列挙します。

  1. 発明者との面談前に発明周辺知識の予習をしない

  2. クライアント企業のサービスに興味がない

  3. 特許査定さえ取れれば良いと思っている

  4. 納期を守らない(仕事が遅い)

  5. 明細書に記載する実施例・図面を簡略化しようとする

  6. 請求項の表現が冗長・実施例のベタ打ち

  7. 言われたことしかしない

こう見ると、普通に社会人として当たり前の部分もあります。

1.発明者との面談前に発明周辺知識の予習をしない

・発明者が作成して事前に送っているその資料だけで全てを書いている訳が無いので(書くと膨大になる。情報量過多で発明のポイントが伝わらなくなる。)、言わずもがな周辺知識の勉強はして欲しいです。優秀な弁理士さんほど、勉強していますね。

2.クライアント企業のサービスに興味がない

・おもちゃの会社の特許を書いて欲しいのに、おもちゃに興味がない。そんなのは、困りますね。例えば、ロボットのおもちゃをみたら、「ガンダムやザク、エヴァンゲリオンに、似てますね!」くらいは言えるようになった方が良いと思います。そうした方が、発明者も気分が乗って、色んなアイディアが出るものです。

3.特許査定さえ取れれば良いと思っている

・特許出願をして特許査定を取るのは、最低限の仕事です。この特許がどれだけ「事業に使える権利範囲で権利化」できているかが大事です。簡単に審査官の指摘を反映して狭い権利範囲で権利化しないで欲しいですね。

4.納期を守らない(仕事が遅い)

特許は、先願主義です。即ち、スピード勝負です。先に誰かが発明して特許出願されたら負けです。特許出願書類で、2ケ月以上時間を掛ける人は意味不明です。基本は1ケ月、理想は、2週間で明細書書いて欲しいなと思います。

5.明細書に記載する実施例・図面を簡略化しようとする

・請求項がどれだけ凄くても、それをサポートする実施例・図面がないとダメです。また、世の中のトレンドは変化しやすいので、色んな変化に耐えうる実施例・図面を書いておくことが将来、役に立つ特許の土台になります。

6.請求項の表現が冗長・実施例のベタ打ち

・請求項を小難しい表現で長く書く弁理士の方がいますが、シンプルに読みやす言葉で表現して欲しいです。権利解釈の疑義が生じますので。誰が読んでも一意定まる文章を先ずは書きましょう。
※応用技としては、多義に読ませる技もありますが、先ずは基本に従い一意に定まる文章を極めた方が良いです。
・また、請求項は実施例を束ねる「発明の概念を記載するのが請求項」ですので、実施例のまんまを表現するのは辞めましょう。ちゃんと概念化して束ねることをしましょう。

7.言われたことしかしない

インプット=アウトプットは、機械なので、機会を超える仕事をして欲しいですね。これからの時代は、AIとの戦いです。このような付加価値のない仕事を生み出す人は淘汰されます。言われたことは当然して欲しいですが、プラスアルファが自然と生み出されるのが人が働く価値ではないですかね。
※この意見は厳しいかもしれませんが、企業内で働く知財部員・発明者も当然それを求められて働いています。

上記の通り7つのポイントを列挙しました。
結構当たりまえの、社会人の心がけのようなものも含まれますが、そうなるのも仕方ないかなと思います。別に特許の仕事も普通のオフィスワークの一つでしかないので、仕事の基本は一緒になります。
即ち、特許の仕事ができないということは、普通のオフィスワークの仕事も出来ていないということに繋がります。
特許の仕事だから〇〇という言い訳をしない方が、成長すると思います。

それでは、特許業界の皆様、お互い頑張って行きましょう!


                             執筆/得地

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