転勤とハンカチとコンパス
転勤1ヶ月前になり、持っていく荷物を減らして身軽になろうということで夫と断捨離をすることに。
もともと独身時代から何度か断捨離はしたことがあったし、今の家に引っ越しするときにも減らしてきたつもりなのに。
それでも、2年も使ってなかったらもういいかと別れを告げる物ある。
引き出しの奥から1度も日の目を見なかった洋服を捨てた。
夏服、冬服。
ゴムが伸びたパジャマ。
痩せようと思って買ったトレーニングウェア←
書類などの紙類も整理した。
仕事関係、お金関係など、大事そうに思えて溜め込んでしまった物などを見極めながら不要なものは処分。
転職のときに撮った証明写真が出てきたときは加工なしの自分の写真に耐えられず「また使うかも」などの効率はいっさい考えず、なるべく見ないようにして他の物に挟んで捨てた。
次に趣味で集めた物。
会社員時代、仕事柄いつもネイルを塗って綺麗にしていた。
セルフでジェルネイルができるように道具一式を持っていて、仕事を辞めてから半年くらいまでネイルに凝っていた。
だけど、だんだん見せる人がいなくなってやめてしまった。
爪に塗布するジェルやジェルを固めるLEDライト、筆、プッシャー、ニッパーなど。
もうずっと使っていないので、ジェル自体も古くなってしまっただろう。
ネイルをしていることであんなにテンションが上がって、自分の女子力が上がった気になる趣味だったのに。
時間とともに興味が無くなっていくことに少し寂しさもある。
グッバイ、私の思い出。
サンキュー、私の青春時代。
物を捨てることに罪悪感がないわけではない。
私も人の子。
片付けられない両親の子である。
もともとは部屋の掃除、片付けができない性格だった。
だから、部屋にはいつも物が溢れていた。
片付けられないというより、片付け方を知らなかったと言ってもいい。
なぜなら、実家も片付けられない家だからだ。
私は両親も片付けられないという、生粋の片付けできない人間のサラブレッドだった。
実家の片付けをめぐって両親と一悶着あったこともある。
興味があったら【夫を実家に連れて行きたくない】という話も読んでみて欲しい。
そんな私が断捨離をするようになったのは、夫との転勤生活が始まってからと言いたい所だが違う。
片付けられない私が断捨離できるようになったのは"こんまり"こと近藤麻理恵さんの本を読んでからだ。
ずっと部屋を片付けたいでも出来ない、と悩んでいて色んな片付け本などを読み漁り、それでもなかなか片付けができなかった。
そんな時私にしっくりきたのが"こんまり"だった。
女子ひとり旅で海外旅行の帰りの飛行機の中でこんまりさんの本を読んでいた。
旅行の余韻でまだまだ行動力が余っていたのか、帰ってきたその夜に断捨離を決行するくらいなぜかやる気が溢れた。
もし途中で断捨離に飽きたら、片付けきらなかった沢山の物が溢れかえった部屋で寝なくてはいけないのになぜか手を出してしまった。
「ま、最悪ゴミの上で寝ればいいか」と開き直れたのは元サラブレッドの名残がある。
結局、断捨離は深夜に全て終わりゴミ袋7つとリサイクルに出すものを詰めた大きな段ボール2箱を出した。
私は厳選された洋服やお気に入りのものだけになった部屋で、なんとも言えない爽快感に浸り「なんだ意外と生活できそうじゃん」と晴れて片付けられない族を脱出することができた。
そんな断捨離経験のある私にも捨てられない物があった。
昔おばあちゃんが買ってくれたハンカチと、小学生時代のコンパス。
おばあちゃんが買ってくれたハンカチ
確か小学生のときに祖母が東京の叔父夫婦の家に遊びに行った時にお土産で買ってきてくれたハンカチだったはず。
昔のハンカチって今よりひと回り小さかったことがわかる。
小さいし使いすぎてよく水を吸い込むから、すぐびしょびしょになってしまう。
だけど、今はもう亡くなってしまったおばあちゃんが買ってきてくれたっけなと思うと捨てられない。
小学生時代のコンパス
これも小学生当時のもの。
お道具箱に入っていたコンパス。
大人になってもう使う機会もないんだけど捨てられない。
なぜなら裏に母の字で私の名前が書いてあるから。
小学生の頃って持ち物すべてに自分の名前を書くでしょ。
他にも名前の書いてあるものはあったと思うんだけど、なぜかコンパスだけ手元に残っていた。
旧姓の私の名前。
母の字。
小さい頃の思い出。
転勤で実家から離れてしまった寂しい気持ち。
そんな思いが溢れてこの使う機会のないコンパスが捨てられなかった。
もし捨ててしまったら、今後このコンパスはお金じゃ買えない。
コンパスが古いとかじゃなくて、母の字をみて感じる気持ちや思い出はもう手に入らないから。
きっと次に転勤するときも、このハンカチとコンパスは持っていく。
毎回転勤で引っ越しの荷物をまとめる時に、またこの気持ちを思い出すと思う。
自分がおばあちゃんになっても捨てずに取っておくだろう。
引っ越しが終わって落ち着くと、しばらく存在を忘れてしまうくせに。
また次回、引っ越しするその時に会おう。
そんな気持ちで持っていく荷物の箱にしまった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?