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自らの鎖国を解き放つ。世界を知ることでこれからの生き方が見えてくる一冊。『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望 - 落合陽一』【書評】
落合 陽一 著『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』
本著をひとコトで表現するならば、「未来を生きるために、今、世界がどうなっているのかを知ることは、とてつもなく重要だ」と気づかせてくれる一冊。日本に住み、テレビやインターネットから流れてくる日本語の情報で、日本の現状を見聞きしているだけじゃ想像もつかない世界がそこにはある。
圧倒的なスピードで変化していく世界。これからの未来はどこへ向かって行くのだろうか。そして、僕たちはどこへ向かって歩んで行けばいいのだろうか。未来への展望について深く考えさせられる一冊です。
SDGs、GAFAM、中国、サードウェーブの世界を俯瞰しわかりやすく解説。小・中学生から大人まで、それぞれの2030年に向けてのビジョンを作るために必要なデジタル地政学の考え方とは。地図で「世界」の行方が見えてくる!
本著では、SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の17の目標を冒頭に紹介し、それを背景に敷いた上で、テクノロジー✕地政学✕データの観点から未来を見通す内容になっている。
世界の状況がひと目でわかる地図とデータがふんだんに用いられ、理解を促してくれるのが特徴。また、イラストやグラフも効果的に使われているため、少し理解が難しいテーマでも、読者を放ったらかしにしない工夫がなされている。
2020~2050年のテクノロジーの未来年表や100年後の地球環境のシナリオ、アメリカ・中国・インドが三強になる2030年の未来。経済、環境問題、そしてSDGsの実現に向けた考察など、多方面から未来への展望を学ぶことができる。
例えば、インターネット発祥の地であるアメリカを中心に発展したアメリカン・デジタル、それと双璧をなすチャイニーズ・デジタル、伝統と文化を背景にしたヨーロピアン・デジタル。そして、インドやアフリカ諸国など、20世紀までの経済発展とはまったく異なる道筋を辿るサードウェーブ・デジタルの考察は、これからの経済を紐解く上でとても興味深かった。
また、データから導き出される推移予測において、今後の世界の人口はどうなっていくのか。環境はどう変化していくのか。それによって世界はどう姿を変えていくのか。結果として、人はどういう道を選び、何を意識して生きていかなければならないのか。
個人としての行動指針はもちろんのこと、「世界はこういう風に進んで行ったほうがいいんじゃないだろうか?」という、個人的な見方を持つために必要な知識を与えてくれる。
ただ、世界は今、新型コロナウイルスの渦中にいる。全世界を巻き込む非常事態だ。それによって、未来の展望も大きく歪められたはずだし、これからの生き方にも強制的に変化が求められる。本著の考察や未来の展望にも、大きな影響を与える事態が今、世界を飲み込んでしまっている。
とは言え、コロナがあろうがなかろうが、世界はこういう風に進んでいるという事実を知ることは重要なことだし、その流れを掴むことは決して無駄ではない。こういう流れの上にコロナという感染症が流行した、というひとつのファクトを追加して考えることができるからだ。
少なくとも本著を読了して気づいたのが、自分は世界について何も知らなかったという情けない自分の姿。全く知らなかった事実もあれば、過去のある時点のイメージのまま、知識が止まってしまっている世界の現状。それを完全にアップデートしてくれた。
また、経済が発展すればその代償として環境問題が肥大化したり、人口の増減が国の栄枯に多大な影響を及ぼすという事実。世界はひとつでつながっているし、人間が起こす行動のすべてはつながっていて、どれかひとつだけをつまみ出して考えるべきではなく、全体を俯瞰しながら物事を考えなければならないということに気づかされた。
コロナの影響で今後の世界は大きく変わっていくことは既に決定付けられている。ただ、世界のこと、地球のこと、そして我々の行動に対する考え方は、本著を読むことで学ぶことができる。すべての因果をひとつなぎで考え、自分の行動にフィードバックさせられるというわけだ。
限られた情報だけを手に鎖国状態になっていた自分の知識を解放し、これからの生き方を考えるきっかけになる一冊です。
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