京都の伝統工芸のこれから
伝統工芸とは、長年受け継がれている美術や工芸のこと。
私は仕事柄、伝統工芸関係者の方とお会いする機会が多いため、今回は京都の伝統工芸についてかたっていこうと思う。
京都には今も数多くの工芸が息づいている。
しかし、京都の街を歩くだけではそれらに触れることはできない。
工芸の多くは固く閉ざされた扉の向こうにあるからだ。
工芸とは
『ブリタニカ国際大百科事典小項目辞典』には
「高度の熟練技術を駆使して作られた美的器物またはそれを制作 する分野。応用美術、装飾美術などともいう。用途としては衣 食住のすべてにわたり、また材料・技術としては木竹工、金工、 陶磁、ガラス、玉、象牙、プラスチック、漆工、繊維、紙、印 刷などあらゆる素材を含む。 」
とある。
つまり、手作りで作られたものであり、用途のあるもの。
伝統工芸とは伝統産業とも言われる。
京都の伝統工芸の種類
調べてみると指定されている京都の伝統工芸は74種類もある(平成26年1月24日現在)
有名なものだと西陣織、京友禅、京漆器、京焼・清水焼など。
興味のある人は調べてみてほしい。
この中であなたが興味のある京都の伝統工芸はあるだろうか。
京都で伝統工芸の職人になるには
京都にはいくつか工芸を学べる学校がある。
学校で学んでから伝統工芸の道へ進む人が多いが、卒業しても就職先がほぼないのが現実である。
まずその工芸をしている職人・工房が少ないこと、公房が見つかったとしても弟子を募集していないことが大きな原因である。
例えば京都の竹工芸は弟子を募集しているところは1つしかない。
また弟子を育てたくても仕事がないため育てることができないという問題もある。
伝統工芸職人の高齢化
伝統工芸の業界は高齢化が進み、職人の多くが高齢者である。
年金と工芸の給料で生活しているため、工芸の給料が少なくても生活できてしまう。
しかし若い人は年金はもらえないので工芸の給料だけでは生活できない。
工芸の仕事も減少している中、新しい仕事もなく、若い人を弟子として育てる余裕はないのである。
京都という場所
京都といえば、他府県の人から見れば陰湿なイメージがあるのではないだろうか。
京都で工芸をしている人に京都で工芸をやることについて話を聞くことがあるのだが、多くの人が京都は閉鎖的だという。
京都の工芸は分業制なため、他会社と打ち合わせをすることがあるのだが、打ち合わせのために相手の会社へ訪れても中へは入れてもらえない。
公房の入り口で話して終わればその場で追い出されるのが普通である。
これは京都の伝統工芸の最盛期に他会社に技術を盗まれないように隠していたことから、現在でもこのような対応が一般的になっている。
しかし伝統工芸が衰退している今、閉鎖的な環境では生き残れないと私は感じる。
大学で工芸を学んだのに、工芸の世界へ入る機会がないという人をよく見る。
工房を開放的に、誰でも見学できるようなオープンな環境にし、伝統工芸に興味を持ってもらうこと、工芸をやりたいと考えている人がいればそれを受け入れる環境を作ることが大事である。
京都の工芸に明るい未来を。