【ビジネス書を読む時間がない若手金融会社員・就活生向け!】財務分析(2/6)(負債の部)
前回は、資産の部における財務分析について記載しました
本日は、負債の部における分析方法について、整理したいと思います
有利子負債の水準検証(有利子負債比率、有利子負債月商比、デットキャパシティレシオ)
債務返済能力の検証(EBITDA倍率、DSCR)
1. 有利子負債の水準検証
有利子負債比率
有利子負債比率は、「有利子負債/総資本×100(%)」で表されます
総資本における有利子負債の割合を示す指標であり、大きくなればなるほど負債に依存した財務状況であると捉えられます
過大借入は、支払利息の増加や月間返済額の増加をもたらし、資金繰りに悪影響を与える可能性があるため、注視が必要です
有利子負債月商比
有利子負債月商比は、「有利子負債/平均月商(カ月)」で表されます
売上水準に対する有利子負債の割合を示す指標であり、平均月商2ヶ月分が一つの基準(上限)となります
但し、業界や会社のステージによって望ましい水準或いは適正な水準が異なるため、お客様との対話のなかで望ましい水準を見つけていきます
デットキャパシティレシオ
デットキャパシティレシオは、「有利子負債/キャパシティ資産(現預金+有価証券+有形固定資産)×100(%)」で表されます
キャパシティ資産(売却による現金化や担保提供が可能な資産)に対する有利子負債の割合を示す指標であり、小さければ小さいほど追加借入余力があると捉えることができます
銀行として、財務状況によっては有担保融資を交渉する必要があるため、本指標を頭の中に入れておくことが大切です
2. 債務返済能力の検証
EBITDA倍率
EBITDA倍率は、「有利子負債/EBITDA(営業利益+受取配当金+減価償却費=税引前利払前償却前利益:事業の収益力を示す指標であり、キャッシュフローに近似した指標)(倍)」で表されます
EBITDAに対する有利子負債の割合を示しており、小さければ小さいほど債務返済能力は高いと言えます
業界平均等との比較による分析が重要です
DSCR(Debt Service Coverage Ratio)
DSCRは、「FCF(営業CF+投資CF)/(有利子負債+支払利息)」で表されます
元利金に対する、利払前の手元キャッシュフローの割合を示しており、1以上であることが求められます
1未満である場合は、当該年度は手元キャッシュフローで元利金を賄えていない(追加出資がなければ現預金に切り崩しが発生)状態だったということを示しており、1.3以上で優良と判断されることが多いです
コーポレートファイナンスだけではなく、プロジェクトファイナンスでもよく使用される指標であり、業界平均等との横並びで分析を行うことが大切です
いかがでしたでしょうか
負債の部における分析方法について記載しました
次回は、純資産の部の分析方法について記載したいと思います、お楽しみに!