フリーのライターがカフェっぽい店をオープンするまでの記録①
これはフリーの編集者&ライターであるわたくし辻康太郎が、都内で飲食店をオープンするまでの記録である。
ちなみに私は普段こんな感じの記事を書いている。
さて、現時点での店舗の希望条件は以下のとおり。
●東京都23区西部(世田谷区、渋谷区、目黒区)
●カフェとして営業できる内装
●駅から徒歩5分以内
●家賃10万円以下
初期費用のための予算はほぼゼロ。オープンのために数百万円が必要といわれる飲食店だが、果たしてこの企みは成立するのか。
これから飲食店をやってみたいと考えている方などは、参考になるかわからないがぜひ読んでみてほしい。少なからずタメになる情報がこの中に落ちていると思う。
この連載が全何回になるかは不明である。それでは、シロウトが飲食店をオープンするまでの道のりをお楽しみあれ。
***
3日ほどまえ、マットレスの上に寝転がっていたら天啓を得た。
「……? なんかよくわからんが、飲食店をやってみるべきか?」
急にそんな気分になった。
急いでネット検索をする。「飲食店 オープン」。いろいろ見てみるが、内装工事など含めトータルで数百万円かかるとのこと。
いやいや、今の自分にそんな余裕はまったくない。そもそも謎の思いつきだったので、諦めるか…。そう思ったが、なんとなくもう少し調べてみる。
すると「シェアレストラン」というサイトを見つけた。
これは吉野家が運営している、飲食店のオーナーと飲食店を始めたい利用者をマッチングするサービス。サイトは見やすく、月あたりの利用料が大きく記載されていてわかりやすかった。
シェアレストランのウェブサイトでいろいろ物件を見ていくと、事前に想定していた利用料よりもかなり安かった。
たとえば週1回昼帯の利用で、月3万円。週4回昼帯の利用で、月6万円など。
飲食店の家賃といえば月数十万円がザラだと思っていたので、私はこの時点でかなり驚いた。
しかもそれらの店舗には、表参道や渋谷エリアなども含まれているのだ。これなら、自分も飲食店を始められるかもしれない。
そう思った私はシェアレストランのサイトの検索窓に希望とする地名を打ち込み、理想の店舗を探してみることにした。
早速いいのあるじゃん!
画面をスクロールしていくと、よさげな物件を見つけた。条件は以下のとおり。
●渋谷駅徒歩7分
●40席ほど
●築2年のビル内にあるバー
●週1回昼帯の利用で月6万
おお、これはいいんじゃないか?
渋谷であれば、インバウンド含めお客さんがわんさか入るだろう。月4回営業なので1回につき1万5000円売り上げれば、とりあえず家賃は払える。昼帯とはいえ土曜であれば酒が出るとして、客単価3000円と仮定する。そしたら1日に5人くればいいんだから、団体客が1発来ればでフィニッシュ…。
そんな甘い考えの数字が頭の中を巡る。
ちなみに伝えておくと、この吉野家が運営するシェアレストランというサービスの利用料には、光熱費が含まれている。なにかトラブルがあった際の保険料もインクルード。そして、敷金礼金仲介手数料もなし。
つまりサービス利用料が月6万と書いてあったら、文字通りその毎月金額を支払えばいいのだ。とてもわかりやすくていいと思った。
さて、話を戻そう。いい感じの渋谷の物件を見つけたわたしは、早速内見を申し込んだ。するとすぐに運営からメールが来た。内容としては以下の感じだ。
●内見申し込みありがとう
●早速だけどこの日時でどう?
●OKだったら経歴書とメニュー案用意しといて
おお、話が早い!日時は問題なかったので、内見が早くも1件確定した。その幸先のよさに、私はかなりワクワクしていた。吉野家、やるじゃん。いいサービス運営してるじゃん。ありがたいじゃん。そんな気持ちで、簡単な経歴書とメニュー案を用意してみることにした。
アップルストアのすぐ近く
内見申し込みから2日後。私は渋谷のアップルストアのそばにあるビルの前にいた。ここで吉野家の人と待ち合わせ、内見をするのだ。
いざ顔を合わせ、挨拶をする。いちおう社会人なので名刺交換。自己紹介をし、申し込んだ経緯をビルの前で簡単にさせてもらう。
吉野家の人はとても感じがよかった。このシェアレストランというサービスには現在1000ほどの飲食店が関わっているそうだが、なんとなくその理由がわかった。人当たりのいい営業がいると、関係人口が増えるのも納得である。
いざ、中に入ることに。きれいなビルをエレベーターで上がる。ドアが開くと、そこはいい感じのバーだった。かなり広い。結婚式の2次会をやってもよさそうな広さだ。ここで夜の時間帯はバーを運営しているらしい。
まずはオーナーに挨拶をし、改めて申し込んだ経緯を伝える。経歴書とメニュー案を渡し、いろいろと説明する。
オーナーもこれまた人当たりがよく、丁寧に私の話を聞いてくれた。正直、慣れるためという意味も含めての最初の内見だったので、この店に決める気はあまりない。しかしオーナーが親身な感じで聞いてくれるから、きちんと説明しないのは悪い。
そんな感じで15分ほど、私の薄めのビジネスプランをオーナーに伝えた。その後店内の冷蔵庫や製氷器の場所などを教えてもらい、実際に使うとしたらこういう設備があります、というような説明を受け、私と吉野家の人は店を後にした。
ビルから出て、2人で駅へと向かう。内見の感触について意見をもらい、私も思ったことを吉野家の人に伝えた。オーナーはいい人だったが、ちょっと店が思っていたテイストと違うかも。立地や値段は魅力的だが、もう少し見てみたい、と。
私としてはせっかくならこのサービスを使って、自分の店をオープンしたい。まずは初期費用&リスク低めでチャレンジしてみたい。
そんな思いが強くなったので、帰宅後にまた物件を探して内見を申し込んだ。今度は下北沢から歩いて10分ほどのところにあるバー。同じく昼帯の利用だ。利用料は週7で使えて月6万円である。これはいいと思った。
そして明日、私はその物件を見てくることに。写真で見た感じや条件面はかなりいいので、もし現地で見てよさそうならその場で利用を申し込んでみようと思う。
その結果はまたここで報告するので、ここまで読んでくれた方はぜひお楽しみに。オープンしたらぜひ来てみてくれ!
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現時点で考えている店についての情報をメモしておく。
これがオープンまで同じものでいくのか、途中で変更するのか。自分でもわからないが、備忘録として記載したい。
ちなみに店内で提供する飲食物&備品は、「NYが舞台の映画に出てくるもの」という縛りにする。たとえば『クレイマークレイマー』に出てくるフレンチトースト、などなど。
これは私がNYに留学経験があるので好きだからなのと、店のコンセプトが他人とおしゃべりする場所、なので会話のかっかけとなるモノは多い方がいいと考えたからである。
●店名
PUBLIC CHAT CLUB(パブリックチャットクラブ)
●由来
公の場で、気軽に雑談ができて、クラブ(部活)的な雰囲気を味わえる店にしたいため。
●コンセプト
人は他者としゃべることで喜びや楽しさを感じる。
「あそこに行けば誰かと喋れる」「いつものあの人と喋れる」
「知らないおもしろい人に会えそう」「おもしろい店主と喋れる」
そんな場所があることで、人の生活はより楽しくなる。
人の毎日を楽しくするための場所を提供する。
●この店の本質的な価値
1人のお客さんにとって・・・
店にいる誰かとおしゃべりできる = さみしい気持ちを埋められる。
●2人以上のお客さんにとって・・・
会話がはずむ空間 = 人とより仲良くなることができる
●メニュー
コーヒー hot / ice 550円
ミルクコーヒー hot / ice 650円
ジントニック 600円
クラフトビール 1000円
ワイン 700円
映画に出てくるサンドイッチ 800円
映画に出てくるおつまみ 600円