見出し画像

卒業の歌声ふたたび、変なおじさんの帰還

明けましておめでとうございます

 2023年初投稿なので。たまにしか書かないのに書くと長いでおなじみ、曽木君です。今年もよろしくお願いします。

2023年ここまで


 投稿をサボっていたのは、飽きたからではなくて。
 大きなことがいくつもあって、腰を据えて書こうと思っている間に書くべきことだけが積りに積もって追いつかなくなった、というのが正確なところです。忙しいのはありがたいこと。待っていた人がいるとは思いませんが、お許しくださいませ。
2023年ここまでにこんなことがありました…

・ウクライナ支援チャリティーコンサート第10回Japan Chamber Choir神戸公演に出演


 師である松原千振先生が主宰・指揮のJCCが3年振りに公演。一部分のみオンステでしたがメンバーとして私も妻も歌ってきました。参加できて本当によかった。この合唱団の一員であることは、私たち夫婦にとっては大きな支えであり励みであり、そして誇りなのです。ありがとうございました。

・男声アンサンブル「だいやめ」ステージデビュー


 昨年、鹿児島市でご活躍の先生方と結成した「だいやめ」が、「松龍コンサート〜合唱大好き中高生の結集〜」にてアトラクション的に演奏、ステージデビューを果たしました。中高生の瑞々しい歌声が次々響く中で登場した中高年?カルテット。異物感もなんのその、渾身のバーバーショップで盛り上がりに一役は買ったようでした。

・コールたにきた、3年振りのステージ


 谷山北公民館のシニア混声グループ「コールたにきた」が、市の公民館音楽祭にて3年半振りにステージに立ちました。講座から立ち上がった初心者の多いグループということもあってか、コロナと同時に退団・休団も続出。非常に苦しんだところから踏ん張りつづけ、ようやく辿り着いた機会でした。みんなよく頑張った。


とうに、あきらめていた


 2月の初頭、一本の電話がありました。
 「曽木先生、お久しぶりです。」から始まったその電話は、とてもとても嬉しいご相談でした。
 鹿児島市立中郡小学校から合唱指導のご依頼。中郡小とはご縁があって、以前約6年に渡って卒業式のための6年生合唱、そして在校生代表5年生合唱の指導を任せて頂いていたのです。あの2020年初頭もそうでした。それが、新型コロナ流行とともに学校から歌声が消え、同時に私が伺うことも無くなり、そのまま自然消滅のようになっていたのでした。
 正直なところ、もうご縁はないのだろうと諦めていました。学校の方針は先生方のご異動とともに移り変わるものですし、お世話になった先生方のご異動もいくつか耳にしましたし、ましてコロナの終息が見えない中でわざわざ外部の私が呼ばれることは無かろう、と。

 そんな中で頂いたお電話。
「卒業式で合唱できることになったんです!」
「またご指導お願いしたいんです!」
 光が差すような感覚、止まっていた時計が動き出すような感覚って、こういうことを言うのでしょうね。
 このご依頼、受けないわけがありません。

定番にして名曲

 歌うのは5年生が「大空がむかえる朝」、6年生が「旅立ちの日に」。どちらも卒業式の定番にして名曲。
 私に与えられた機会はそれぞれ45分×2回。十分な時間ではありませんが、学校が捻出してくださった時間の中でいかに効果的なことを為すか、腕の見せ所。

懸念と現実を前に、為すべきこと


 レッスン前お会いした先生方が口々に仰ったのは「子どもたち、なかなか(大きな)声が出ないんです…」。
 そりゃそうです。この3年間、みんなどれだけ静かに過ごしてきたか。子どもたちの発声が豊かに育っているはずはないのです。そしてそれは、間違っても子どもたちのせいではない。もちろん先生方のせいでもない。見知らぬウイルスから身を守るためにみんなで知恵を集めて闘ってきただけ。そして私がすべきことは、これまでの反省や検証ではなく、目の前にいる子どもたちに、声を出すことの喜びを、声を重ね歌うことの喜びを伝え知ってもらうこと。シンプルにして大役。

心理的ブレーキ

 初めましての子どもたちの歌声を聞いて、そのか細い声に驚いた…かというと、全くそんなことはありませんでした。これはシンプルに「思い切った『声の使い方』を知らない・その経験がないだけだな」と感じました。声という素材には何にも問題はない。そのことよりも厄介に感じたのは、この3年間の黙◯◯生活の定着で「『声を出すことへの心理的なブレーキ』が予想以上にかかっていること」でした。これをどうやって解除するか、与えられた時間で、子どもたちの心身を解放して声を自由にすることができるかどうか、低くないハードルがあることを確認したのでした。

子どもたちを超えてゆけ!

 小学生や中学生の合唱指導をさせて頂く際に、これまでの経験から大切にしている教訓があります。それは「指導者が、子どもたちのテンションをひょいと超えて対峙すること」。合唱部でない学校・学年合唱になると特に「ホントは合唱なんて好きじゃないけど渋々参加している子ども」も当然います。私が運動会嫌いだったのと同じですね。合唱好きな子が、やる気のない子の姿勢を許せなくてイライラしちゃうケースだってありますよね(いわゆる「ちょっと男子ー!」的なアレ)。
 でもみんなでやるのが学校・学年合唱だから。特に、卒業式だもの。みんなが居ることにそもそも大きな価値があるわけです。

 合唱が好きな子も嫌いな子も、言われるままに体育館に来てみたら…初対面の巻き毛のおじさんが、真面目な話をしたかと思ったら急に笑かしたり、体操のおじさんかと思ったら指揮振り始めたり、急に歌うからびっくりしたじゃん…とか喜怒哀楽豊かに(情緒不安定?)いろんな方法でグイグイ引っ張ってくる。あれよあれよと歌ってみたらすごく疲れたけど、なんか胸が熱い気がする…。
 …みたいになってくれたらいいな、と。
 合唱が苦手な子も、「今日はよく分からないけど変なおじさんが来ました。みんなで合唱しました。卒業式ではもっと上手に歌えるようになりたいです。」と日記に書いちゃうくらいあったらいいなと。体育館の中で誰よりも合唱に熱い、変なおじさんでありたいなと思っているのであります。 

レッスンを終えて


 全レッスンを終えて、中郡小の皆さんのお役に立てたかどうか、私自身は反省も多く成功の実感もありませんが、少なくともあの日あの場で最も合唱に熱い「変なおじさん」では有っただろう自信はあります。ある意味での衝撃体験が、子どもたちの心身を揺さぶり声と音楽を解放していればうれしいです。
 きっと大丈夫。素晴らしい合唱が響くよ。
 少し早いけど、6年生、卒業おめでとう。
 5年生は、また来年ね。
 中郡小学校のみなさん、嬉しい機会を与えてくださりありがとうございました。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?