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22/1260 『お人好し』が報われる社会へ

目次:
『お人好し』という言葉のニュアンス
お人好しは損をする?
実は『お人好し天国』のアメリカ
ブレないお人好しは最強
集団の力
戦略としてのお人好し
本当の強さ
お人好しが活躍する時代が来ている



 ほんとにこれはもう、ここ20年くらいずっと思ってて。

 純粋で優しい心根の人、いわゆる『いい人』とか『お人好し』って、今の世の中で生きにくさを感じていることが多いんじゃないでしょうか? 思いがけなく裏切られる、利用される。そのことに後で気づいて、傷つく。その結果人間不信になり、人知れず苦しみ続ける。でも、誰かに愚痴をこぼすのも悪いし、何よりそんな自分が嫌だ、なんて。

 または、なぜか勝手に大人しいと認定されて雑な扱われ方をしたり、ひどい場合は、コツコツ築きあげてきた人間関係やキャリアをさらわれてしまったり。

 こんなことが続くと、いい人でいる意味って一体何???と思ってしまいますよね。けれど、だからと言って仕返ししたり、ましてや貶めるために嘘をつくとか、人としてどうよ?と思うようなことを自分はしたくないし。

 なーんて、人ごとみたいに書いてみましたが、はい、もれなく私もそうでした(笑)というと、「全然違うやん」とツッコまれそうですが、少なくともそういう側面もあった、ということで。ここから先は『お人好し』『いい人』さんで、なおかつそんな自分を持て余している人限定で読んでもらえたら、と思います。

『お人好し』という言葉のニュアンス

お人好しという言葉、Web版広辞苑には

あまり善良すぎて人にあなどられやすいこと。また、そういう人。

とあります。あなどられやすい って、すでにネガティブ感が。実際のところは、諸々の理由から、あえてあなどられることを選んでいる、というのもあると思うのですが。

こんなのもありました↓

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いいですね、これ。周りにはこう思われる可能性があるってことも、投稿者のよこPさん目線で教えてくれてます。

甘い 幼い 優柔不断 温室育ち 鈍い 未熟 頼りない 弱い 鈍い 

それにしても、人に気を遣って相手に良くして、こんな評価なんて。ふう。
報われませんよね? 私はこれを読んでいるだけで、ちょっとムカついてきました。「世の中のお人好しをなめんじゃねーよ!」って。  
あらら、私の中のパーツが活性化しています。もっともだと同意しつつも、少しリラックスしてもらいましょう。記事を続けますね。


お人好しは損をする?

 一般的に『お人良し』は、利用されたり奪われたりする、という負の側面がフォーカスされがちです。それ見たことか、と。甘いんだよ、と。ただ世間の冷笑の中には、単にバカにするというよりは、そうなって欲しくない心配からの声もありそうですが。

 お人好しって、なぜ批判されたり、見下されたりするのか。それはずばり、弱いと思われてしまう からではないでしょうか。相手につけ入られそうな時、単に断ればいいものを、それをせずに自らを与えてしまう、そして、普通の人が見えるもの、例えば相手の狡さとかが、お人好しには見えていないという、危なっかしさもありますね。弱さは、それを目撃する人達の心を揺らします。つまり、安心できないのです。ただでさえ、ストレスの多い毎日。余計なことでハラハラしたくないですからね、みんな。

でも。

もしもですよ、周りも本人も、そのお人好し具合を安心して見ていられたら、どうでしょう? 


実は『お人好し天国』のアメリカ

 話は変わって、わたしの住んでいるアメリカでは、お人好しかも、と思う人が割と多くいます。

 例えば、誰に知られるともなく、冬は近所のお年寄りのドライブウェイを雪かきしてあげるという10代の男の子や、恵まれない子ども達へのサポートを、お金も時間もたっぷりかけて邁進する専業主婦達。自腹で大量のえさを買い、何年も野良猫達にえさをあげ続ける男性。知り合いのおばあちゃんは、ホームレスのお昼ご飯を作って配ったり、日常生活用品を買ってあげたり、あと移民家族の子ども達のお守りを買って出たり。もちろんボランティアでやってます。
 (ボーイ)スカウト関係者、コミュニティ運営、捨て犬猫の保護、ただで食料がもらえるフードパントリー、などなどなど、ひしめいています。石を投げれば慈善団体に当たる、みたいな。というのは大袈裟ですが。

もちろん現実社会は厳しいです。なんせ弱肉強食、富める者・強い者が偉くてで弱い人や貧乏人はダメという、何だかうがった集合意識がある超資本主義アメリカですから。

 ただ、究極に利己的な生き方をする人々がいる一方で、良いことや献身的なことも、思う存分できる国でもあるのです。一旦行動を始めると、協力してくれる人が現れやすいのもアメリカ。太っ腹な寄付も日常茶飯事。学校や教会、病院などでもボランティアは根付いているし、寄付をすることがステイタスとなるくらい、非常にポジティブに受け取られています。

で、そのボランティア大国のアメリカと、日本との大きな違い、何だと思いますか? 私は、力強い何かに見守られている感があるかどうか、だと思います。例えば、善を信じてアクションを起こすことを厭わない地域の人々に。それから数は減っているとはいえ、いまだ数多く存在する教会や寺院に。そして、大いなる意志とか『神さま』と呼ばれる存在に。

ブレないお人好しは最強

 もちろん日本でも、『お天道様が見てる』という表現があるし、それに日本のいざというときの助け合い、例えば災害時は最強だったりします。細やかな気遣いのできる人が多いので、お人好しだって、地域の高齢者の皆さんのように、もしかしたら周りの人たちに温かく見守れているかも知れません。でもそこに、何かが足りない。パンチのある何かが。もっと安心できる何かが。

 残酷なほど貧富の差が激しいアメリカに来て、その中のたくましく優しい世界も体験して、見つけた答え。それは、愛や善を信じる力、そしてそれを表現する力 です。ああ宗教ねー、と思ったそこのあなた。正しい 笑。なんですが、宗教的には神さまと呼ばれるもの、別の言葉ではに大変価値が置かれている。これがあるのとないのとでは、大違いなんです。それを表現したときの開放感、受け取ったときの安心感を知ると、外野の評価をそこまで気にせずに、自分が信じる道を進んでいける。すべてを失っても、決して失わない何かがあると信じられる。その結果、産業でもスポーツでも、すごい成果が出てるじゃないですか? 

 人種や貧富の差、医療教育の不平等など、問題が山積みのアメリカですが、少なくとも、善意に基づいた信念を堂々と主張できるし、それを馬鹿にする輩がいればたしなめたり、がんばる姿に金銭的にもサポートする人がワラワラ出てくる。ある意味、お人好しにとってこんなに住みやすい国はないとさえ、と思います。


集団の力

 お人好しの数が多く、そこに守られている感覚があると、集団の中で人々はより自由に、善を表現できるようになります。例えばちょっとした贈り物やカード。高価でなくていいし、お返しをする必要もありません。お互い温かいが気持ちになり、明日への活力を得えられれば、目的達成。匿名で親切をする、なんていうのも。裏を返せば、それだけ厳しい社会ということでもあるのでしょうが。それでも、思い切り力を出し切って派手に失敗して、許しや愛やサポートをもらってまた立ち上がり、できる時には助ける側になる。そんな社会の方が、実はずっと生きやすいのではないでしょうか。
 がんばる人を見れば応援したくなり、失敗した人を見れば放っておけない、そんなあなたは、生きやすい社会のために必要な重要な存在です。本当はもっともっと価値を認められるべき。


戦略としてのお人好し

 なので、どうか自信を持ってください。『人を善意に解釈する』のは、あなたの大切な才能です。今の日本社会では、せっかくの才能がうまく生かされていないだけなのです。なぜかというと、皆が『空気』を読むことに気を取られすぎて、本来見えるはずのものが見えにくくなっているからです。空気自体が濁っている場合、特に大切なものが見えにくくなります。

本当の強さ

 相手を思いやって行動できること。同時に、自分自身のニーズにもきちんと耳を傾けて、双方を慮って調和のとれた行動ができること。つまり、他人に対してだけでなく、どんな自分に対しても、たとえ情けなかったり、みじめで認めたくない自分にでも、思いやりを向け続けること。それが、成熟した本当の強さだと、わたしは思います。2千年の昔に、キリストやブッダによって広められた慈愛なのです、ベタですけど。というわけで、お人好しの皆さんは、すでにゴールまでラスト1マイル。ほら、後は自分の中の人たちに愛を、善意を向けていくだけだから。

お人好しが活躍する時代が来ている

 現在のインターネット社会の功罪は色々言われてますが、一つ良い点をあげると、情報が急速に拡散、低価格化していることと、言葉の壁が限りなく低くなってきていることです。数年前に数十万円の価値のあった情報はもはやただ同然だし、AI自動翻訳で、外国語の記事も簡単に読めるようになりました。あなたがそれらを使いこなすとき、家にいながらにして、善意の経験値をあげることができるのです。その上、元々持っている才能を磨き、行動につなげることで人々に安心を与えることができます。社会を多くの人々が望んでいる方向へ優しく引っ張っていけるのが、あなたのような人なのです。
 最近急速に広まりつつある、私がとても信頼している内的家族システム(IFS)という手法では、人の心の様々な側面を善意に解釈することこそが、根源的な癒しをもたらす非常に大切な要素として認識されています。まず、あなたが癒される。癒されると、元々の優しさに生き生きとした力強さが加わります。(というか、元々持っていたものにアクセスしやすくなる。)そして、あなたのお人好しを戦略的に使うことで、今度は周りが癒やされていきます。その結果、より柔軟に、皆にとって生きやすい日本社会になっていく可能性が大いにあるのです。真面目な話です。


 あなたのこと応援してますよ、心から。そして私自身も、これから一人でも一つでも多く、心の傷を癒すことに、残りの人生を費やしていきます。いつかお人好し同盟とか、なんかそんなのを作って、集団で幅を利かせながら、我が物顔で生き生きとお人好しでいられる、そんな日々をいつかご一緒できるよう、願っています。



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