小説を読んだ感想。(電気じかけのクジラは歌う)
「電気じかけのクジラは歌う」という小説を読んだ。
とてもおもしろく、一気読みしてしまった。
舞台はAIが個々人に合わせて音楽を作るようになった時代。
主人公は元作曲家。
自分が時間をかけて曲を作っても、それ以上のクオリティの曲が数秒で何曲も出来上がってしまうので、作曲をやめてしまった。
現代でもAIが絵を描いたり文書を書いたりできる時代だ。
人間が何分何時間もかけて1つの絵や文章を創作するのに比べ、AIなら超短時間でプロ並みのものが出来上がる。
そんな中、人間が作曲(創作)をすることに意味はあるのか、を考えさせられた。
この小説を読んで、創作は周りと比べるものじゃないと思った。
別にAIがすごいものを短時間で出せるからって、それと比較して「自分はだめだ」と思うのは違うなと思った。
創作物に良い悪いもなく、ただ多くの人に好まれるかどうかの違いだ。
ごく少数の人にしか好まれなかったとしても、それでいいじゃないか。
まぁ自分は本気で創作したことがないからそう単純に考えられるのかもしれないが。
自分自身、他人と自分を比較して落ち込みやすい性格だ。
けどこの本を読んで、自分と他人を比較しなくていいんだなと思えた。
仕事で優秀な同僚や後輩を見て、自分はだめだなと、
あやしても子供が泣き止まなくて、妻よりも努力が足りないんだなと、
いつも落ち込んでいた。
でも自分は自分、他人は他人。
当たり前のことだけど、なかなか自分の中ではそれが身になっていなかった。
一人ひとり、多くの人に好まれる部分もあれば、そうじゃない部分もある。
そんなことを改めて教えてくれた本書。
この本も(多くの人に評価されているに違いないが)、あまり万人受けしない本という可能性もある。
でも、自分の心にはとても響いた。
こうやって、自分の作品や言葉が(たとえ1人2人でも)誰かにいい影響を及ぼしてくれるなら、それで最高だと思う。
これからはそんな気持ちで生きて、子供たちにもその考えを伝えていければと思う。
重ねていうが、本書は多くの人に評価されているに違いない。