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仮払い後のキャンセル依頼。進捗分の請求と、メンタル復活法【ランサーズ失敗談】

クラウドソーシングサービスの「ランサーズ」で、残念ながらトラブルが起きてしまいました。他の方の参考になるように記録します。

前提として、私はフリーランスでグラフィックデザインとイラストの制作を行っています。ランサーズでも基本的にその分野を受注しており、今回の話はポスターデザインのプロジェクト案件となります。

どんなトラブルが起きたのか

経緯

ご相談を受けて、内容のすり合わせ・お見積り・スケジュールの提示。

仮払いを確認。短納期だったこともあり、急いで作業開始。

進行中、メールで直接取引のお誘いがあったので、丁重にお断りする。

「関連会社よりデザイナーの指定があった」とキャンセル依頼が来る。

その段階までの進捗分の作業費として、60%の請求で終了とする旨の打診を送る。

2週間返信がなく、再連絡を行うも、さらに1週間お返事をいただけず。

連絡催促申請を行い、1週間後に自動でお支払い&案件終了。

結果

  • 作業進捗割合分の金額(全体の60%)は無事に支払われた。

  • プロジェクト完了率は下げずに済んだ。

  • 評価は「不満足」が1つ付いてしまい、ランクが下がった。

私の反省点

  • ランサーズ初心者で発注に慣れていないと思われるクライアントだったにも関わらず「いつも通りにやれば、問題なく行けるだろう」と見込んでしまった。

  • 今回は違ったが、怪我や病気で連絡がとれない可能性を含めれば、もう少し長く(1ヶ月くらい)連絡催促せず返信を待っても良かったかもしれない。

相手方の落ち度

  • 直接取引の勧誘を行った。

  • 作業途中に合理的でない理由でのキャンセル依頼を行った。

  • 連絡に対して返信をしなかった。

システム上、どう対応するのが一番よいか

ランサーズで本件のような状況になった場合、ランサー側が取れる選択肢はいくつかあります。


パターン(1)報酬の獲得を優先

  1. 進捗段階に応じた報酬価格に再設定

  2. 現状のデータを納品物として送る+完了報告をする

  3. 連絡催促申請をする

  4. 返信がなければ、自動で支払い処理&案件終了になる

メリット :進捗分の報酬は支払われる。完了率が下がらない。
デメリット:納品データは先方に渡すことになる。相手からの評価が「不満足」になる可能性が高い。

プロジェクト案件の仕組みで、「ランサーは報酬価格を下げられる」「連絡催促申請を行ってから約一週間返信がない場合、自動で案件終了になる」「連絡催促申請の前に完了報告をしている場合、自動で報酬が支払われる」があります。

改正民法第641条によれば、クライアント都合の合理的でないキャンセルに対しては、本来受け取る報酬の100%を請求しても良い(進捗していない部分については損害賠償扱いとする)ことになっているようです。

参考:請負契約の解除のルールと手続きについて解説【民法改正にも対応】

とはいえ、仕入れの発生する工事などとは違いますので、進捗分の作業費だけもらうのが現実的かと思います。

これが数千円の案件だったら、やり取りの手間や精神的疲労、評価のことを考えてキャンセル依頼を飲み、なかったこととして済ませたかもしれませんが、数万円以上の案件で無料キャンセルは厳しいという感覚です。

パターン(2)評価と納品データの保護を優先

  1. 相手のキャンセル依頼に応じる

  2. 支払いはされずに案件終了になる

メリット :納品データを送る必要がない。相手からの評価で「満足」がつく保証はないが、確率は上がる。
デメリット:報酬がまったく入らない。完了率が下がる(※)。

特別なことは何もせずに、先方のキャンセル依頼を飲んで終了にするパターンです。相手の要求が通って支払いもないので、評価が「満足」になる可能性が比較的高めな対応ではあります(確実とまでは言えませんが)。

パターン(3)納品データの保護を優先(キャンセル依頼が来ていない場合)

  1. (報酬価格はそのままで、納品や完了報告もしない)

  2. 連絡催促申請をする

  3. 返信がなければ、支払いはされずに案件終了になる

メリット :納品データを送る必要がない。
デメリット:報酬がまったく入らない。完了率が下がる(※)。相手からの評価で「満足」がつく保証はない。

(2)の下位互換ですね。もし相手からキャンセル依頼が来ているなら、それに応じた方が心象が良い=「満足」評価の可能性が上がるはずです。ランサーズ運営から催促先に届く文面がどれくらいの圧力なのかは知らないのですが、催促されることを嬉しく思うわけはないので、評価に響く可能性は拭えません。

※100%クライアント都合のキャンセルであることを証明できれば、ランサーズサポート側で完了率の修正には応じてくれるようです。


上記のうち、私がとった選択肢は(1)です。「不満足」評価は確実につくと思いましたが、評価には「返信コメント」をつける機能があるので、そこで冷静に事実のみを列挙すれば、多少はカバーできると判断しました。

また、こういう事態に対して「自分が我慢して折れるクセ(負け癖)」をつけたくなかったのもあります。会社員時代は「会社の判断」ということで折れることもありましたが、独立した今は自分を守れるのは自分だけです。

これは逆にいえば、クライアントが「変な成功体験」をしないように、という意味でもあります。他のランサーや下請けに同じことをする可能性は下げた方が社会的に良いのです。

それから、本件はデザイン案件だったので、データが先方に渡ることにそれほど抵抗がありませんでした。ただ、これがイラスト案件だと、納品する=著作権譲渡の問題が出てくるので、(2)を選択した可能性もあります。

あるいは先述したように数千円の案件であれば、対応の手間賃の方が高くなるのでキャンセルを受け入れたと思います。

いずれにしても、こういう状況になってしまったら無傷ではいられないということです。

教訓

仮払い制度+連絡催促申請制度は、ランサーズを利用する理由になる

ランサーズには、作業開始前に報酬全額をランサーズに預けることで契約成立となる「仮払い」の制度があります。また、連絡がつかない相手に「連絡催促申請」をすることで、案件が自動的に完了する仕組みもあります。これらのおかげで「作業をしたのに1円も払ってもらえないリスク」がかなり下がっています。

とはいっても「連絡催促申請」後に形だけの連絡をして、また放置を繰り返す…ということもできなくはないので、100%安心ではないのですが。

民法の少額訴訟を行えば、別に仮払い制度がなくても取り返せるは取り返せるのですが、かなり面倒ですし、少しお金もかかります。なので仮払い制度+連絡催促申請制度は、ランサーズを利用する大きな理由になり得ます。

蛇足ですが、私が高校生の時の「将来の夢」は検察官でしたので、万が一これから少額訴訟の必要が出てきた場合、わりと前向きに取り組むと思います(そうならないでくれ〜とは思いますが)。

「短納期案件」かつ「初心者のクライアント」は納期を交渉する

私の反省点として挙げましたが、短納期案件&相手が発注に慣れていない場合、まずは納期を伸ばしてもらえないか一応聞いてみることも必要だと思いました。

一応聞いてみて「ダメです」と言われれば、「じゃあ大急ぎでよしなに進めても仕方ないですよね」となり、こちらの落ち度が1つなくなります。

そして同時に、進捗割合に応じた報酬になることを想定して、プロジェクトの「計画」欄にあらかじめ「作業内容に対する進捗割合」を書いておくのも良い手段だと思いました。

「次のお客様」のことを考えて、冷静な対応を

万が一「不満足」コメントを付けられても、事実に基づいた冷静な反論ができるように、一貫して落ち着いた対応をすることが大事です。スクショしたチャットやメールをランサーズ運営に送る時に「感情的なランサーだな、どちらにも非があるのでは」と思われないようにする、という意味です。

また、「不満足」評価がついてしまうこと自体がマイナスになるのは間違いないですが、その返信コメントで感情的な罵詈雑言を書くなどはもってのほかです。トラブルになったクライアントだけでなく、次に仕事を出してくださるお客様がどう思うか?返信コメントで冷静さや対処能力などをアピールできないか?と考えましょう。

ランサーズで「不満足」評価の削除は不可

一応、納品データを送る前にランサーズのサポートに問い合わせてみましたが、やはり「当事者同士で・システムの範囲内で」以上の回答は得られませんでした。

お互いの悪影響を避けようと思えば、「低評価を互いに避けるために評価交渉する」という選択肢が出てきます。しかしそうすると他ユーザーに迷惑行為が見えなくなり、サービスの治安が悪化するのでは?とも思います。

納得はいきませんが、どうしようもないですね。しばらくランサーズは放置して、もしまたやる気が出たら、実績を積み上げるのみだと思います。

こういうこともありますし、他社の作ったプラットフォームにずっと乗り続けること自体にリスクがある(著作権の扱いなどが変わっても飲まなければならない)ので、クラウドソーシングをメイン収入にするのは(少なくともクリエイターは)あまりオススメできません。実績がないうちは仕方ないのと、露出手段としてアカウントを置いておくこと自体はいいですが、可能なら直接取引が一番です。

「よしなに」の思い出

本件でトラブルを起こした要因に「今回も“よしなに”できるだろう」と見込んでしまった点があります。

それ自体に関しては、相性が悪かったな、初心者クライアントに対しては納期の打診をしてでも慎重に進めた方が安全だった、と思います。

ただ、ここでは思い出話をさせてください。

前職のデザイン事務所では、社長からのお達しを受けて、場合によっては客先に打ち合わせに行き、そこからは「よしなにやる」のがいつものことでした。最初は社長について見よう見まねで打ち合わせをしていましたが、いつからか、社長が出なければいけないような大型案件以外は「一人で行ってきて」ということも増えました。

「いつもの感じの納期」「いつもの感じのレベル感」で提案し、納品形式も連絡頻度も、特に珍しい指定がなければ、普通にやる、、、

普通・いつもと言っても、お客様からしっかり評価されて長年やってきた会社ですので、「テキトウ」とは全く違います。クライアントにメールや電話で話をして、仕様を確認することも勿論たくさんありました。

でも「相手に細かい仕様を書いてもらい、ビシッと言質をとってから」ということは、あまりありませんでした。社長は勘所をつかんでいたので、それでほとんど問題は起こりませんでした。

長い付き合いの取引先や、わけをわかってくれる外注先と、互いに「よしなに」しまくっていた日々を懐かしく思います。小さい会社で、けっこう昭和っぽい社風でしたが、社長はあまり細かい指示を出すよりも私の判断に任せてくれましたので、割とのびのびやれました。

しかし今思えば、個人ではなく会社で、しかもそれなりに年月を経た会社だから結構成立していたのであって、フリーランスはもっと厳密にやった方が良いのかもしれないですね…。

「よしなにレベルの高さ」、すなわち「細かく言わなくても、デザイナーならではの視点から提案してくれる」でお客様から高評価をいただいている感覚もあるので、悩ましいところもあります。

本件以外のお客様とは、今のところトラブルなくご満足いただけており、リピートもしていただいています。

まあ、これからも頑張りますので、お仕事お待ちしてますということです。笑

気持ちが負けないようにする方法

正直なところ、この件の調査・問い合わせ&対応は精神的に疲れましたが、ある人たちの活動を見たら「ここで落ち込んでいる場合ではない!自分も頑張らないと!」と思いました。

それは、衆議院選挙に向けて一生懸命活動している候補者たちの姿です。

政治家は何かとマスメディアやSNSでディスられやすく、「バカにしてもいい奴ら」とみなしている者もいます。

確かに「若い頃は正義に燃えていたが、出世を重ねていくうちに既得権益に負けてしまった」とか「有名になるために出馬してみた」という政治家(候補者)も、いるにはいると思います。ですが、全員ではありません。

日本を良くするために本気で、寝食を削ってまで頑張っている政治家もたくさんいます。彼らの活動をYoutubeなどで見て、かなり元気になりました。自分の手取りを増やす勇気が出たものです(支持政党がバレる/素晴らしい結果になりましたね!)。

私は、気分が落ち込んだ時には「少し難しいことを考える(例:物理学や心理学などの話を読む)」と回復するのですが、新たな手段として「政治家の演説や答弁の動画を見る」も追加されました。政治の話は少し難しいので、考えることによる回復もできますし、何より頑張っている政治家を見ると「すごい!自分も仕事しよう」となれます。一石二鳥です。

シンドイ時に、何の行動をすれば気分がマシになるか?それを知るのは、自己分析の中でも結構重要なことです。自分なりの回復方法をいくつか持つことは、いろいろ自分で考えて対応しなければならないフリーランスにとって、大切なライフハックだと思います。

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