【読書ノート】私たちは子どもに何ができるのか-非認知能力を育み、格差に挑む
読んだ本の気になる部分を書き留めていきます。
今回採り上げる本は、『私たちは子どもに何ができるのか-非認知能力を育み、格差に挑む』著.ポール・タフです。
✅本を手に取った切っ掛け
社外の勉強会に参加した際、薦められた本です。
読んでみると、
①子育てに関する気づき、
②大人の組織内行動に関する気づき、
2つの観点で気になる点があり、書き留めておきます。
✅書き留めたところ① 学習のための積み木
①子育てに関する気づき
「学習のための積み木」という概念は、
自分が子供と接する上で、
一つの観点を提供してくれます。
「アタッチメント」
「ストレス管理」
「自制心」
の土台の上、
「自己認識」
「他者との関係性」
を構築していく。
子育ての理想は、
「自己効力感」を持ち、
「主体性」を発揮し、
「好奇心」の赴くままに、
成長して欲しいと願っていますが、
積み木のようにバランスを整えていくことが、
理想の子育てには必要との考えは、
大きな示唆を与えてくれるものでした。
②大人の組織行動に関する気づき
ビジネスでは、
「PDCA」
を回すことが大切、
と言われたりしますが、
以前、お客様との会話で、
という話しが出たことがありました。
自己効力感が無ければ、
主体的に成長していくことは困難です。
そもそもの精神的な土台を築いていくことが、
PDCA等のマネジメントを行う前提として
一定のメンバーに求められるケースがあります。
これも、自分自身では気づけない点でした。
✅書き留めたところ② 有能感/自律性/関係性
関係性→有能感→自律性
この流れも
「学習のための積み木」
のフレームワークと似ています。
これも子育てだけではなく、
組織内のメンバー育成も同様ではないでしょうか。
上司-部下の関係性において、
双方のリスペクトを忘れず、
ストレッチ目標を設定した上で、
目標に至るプロセスについては、
メンバーに判断を委ねる。
このような環境下において、
メンバーの育成は上手くいきやすいです。
ここで、
・上司/部下間でのリスペクトがない
・目標が一律でメンバーの状態を踏まえた設定ではない、
・プロセスについてもこと細かく上司が介入する。
このような状態になると、
メンバーの育成が上手く機能しない、
ということがよくあります。
✅書き留めたところ③ 四つの信念
この四つの信念を見た時、
「学業のための粘り強さ」は、
個人の資質というよりも、
周囲との関係性の中で醸成されるものだと感じました。
集団内において
互いに承認し合う関係性の醸成が、
成長の源泉となるのかもしれません。
✅読後メモ
以前、宇田川さんが書かれた
『他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論』
という書籍を読みました。
『見えない問題、向き合うのが難しい問題、技術で一方的に解決ができない問題である「適応課題」』
が採り上げられていますが、
「技術的問題」と「適応課題」の境目について、
この本『私たちは子どもに何ができるのか』を読んで、難しさを感じました。
仕事でも、勉強でも、スポーツでも、
人は他者に対して、
「やれば、できるでしょ」
と思ってしまいがちですが、
この「やれば、できる」に至るための
自己効力感や主体性が、
過去からの「学習の積み木」の上に成立しているとすれば、
アタッチメント
ストレス管理
自制心
といった、親子や師弟関係の中で、
個人を整えることが土台にあり、
他者との関係性の中で、
自己認識するための環境
を整える必要がありそうです。
子育てでも仕事でも、
成長を支援することは、
勉強の方法や、仕事の方法を伝えることによる
「技術的課題」
を解決するだけではなく、
自分と相手との関係性や
他者との関係性からの自己認識
まで掘り下げて、
「適応課題」
としてアプローチをしていかないと、
個人の成長に結びつかないケースがある
ということは、
「学習の積み木」というフレームワークで、
理解できたような気がします。
個人的には、この「学習の積み木」の概念は、
「組織開発」
に結び付けられそうだと感じています。