組織の中での率直さを高めるには?
最近、「ハイパー起業ラジオ」にて、Netflixの組織について採り上げている回を聞きました。
Netflixと言えば、『ノールールズ、世界一「自由」な会社』という書籍が話題になりました。
大雑把に言えば、
能力密度を高める
率直さを高める
コントロールを減らす
の3つが本書におけるNetflixの組織の基本となっています。
今回は、この中から『率直さを高める』について、自分なりに考えてみます。
フィードバックの4A
「2.率直さを高める」部分については、フィードバックのガイドラインとして4Aがあります。
フィードバックのガイドライン『4A』とは、以下、与える側2つ、受ける側2つの頭文字Aから取られています。
フィードバックは、組織において、極めて重要な要素です。
フィードバックが機能するには?
ネガティブなフィードバックを受けると、人は、人格否定されていると感じることがあります。
「整理整頓が下手だね。」
「何を言っているのか明確ではないね。」
「これって間違っていますよね。」
人は、主語が理解できないとよく言われますが、
「あなたは、下手だ」
「あなたは明確さに欠けている」
「あなたは間違っている」
というように、人の思考のクセとして、対象となる物事ではなく、人(自分)を主語に取り違えてしまうことがあります。
このような状況にならないために、集団内における『役割』と『ルール』がフィードバックを介した双方にとって、合致していることが求められます。
「役割」と「ルール」とは
「役割」が明確とは、
集団の目的と、目的を果たす上での双方の役割が明確な状態です。
例えば、
・家族における親子
・学校における先生と生徒
・会社における上司と部下
なぜ集団が存在し、その中で、お互いがどのような役割を担っているか、理解しているからこそ、私たちは、フィードバックを感情的ではなく、受け入れることが可能となります。
「ルール」が明確とは、
双方の間で、何が正解で、何が間違いか、線引きの認識が合致している状態です。
例えば、交通法規について言えば、
「警官と市民の関係性において、交通法規において罰則が科せられる」
白黒の判断が明確だからこそ、私たちはフィードバックを受け入れることが出来ます。
Netflixの率直さ
Netflixにおける「率直さを高める」は、他の2つの概念とセットになって機能するものだと考えます。
フィードバックをする側、される側、双方が、最高の人材であること
最高の人材が明確に設定された組織の成果に向き合っていること
優秀な人材を前提にしてコントロールを減らす(ノールールというルール)が共有されていること
これらの前提と、4Aというガイドラインがあることで、フィードバックが機能する場が作られています。
逆に、
・お互いにリスペクトがなく、
・求められている成果が不明確で、
・ルールが共有されていない
状況でフィードバックを率直に行うと、「役割」と「ルール」が不明確なことから、組織のメンバーとしての意見を言われているのか、個人としての意見を言われているのか、受け手側が分からない状態となるため、ネガティブなフィードバックを個人攻撃として捉えてしまいがちになります。
組織の中で率直さを高めるためには?
「会社の中では、何でも言い合える関係性を作ろう!」
このような言葉を口にする社長や管理者がいます。
「役割」と「ルール」が不明確な中で、「何でも言い合えば」、そこには感情的なシコリが生じます。
「お前にそんなことを言われたくない」
「何様だと思っているんだ」
「空気を読め」
「そんなことを言う自分はどうなんだ」
こんな感情が渦巻く職場になります。
「役割」と「ルール」が組織のメンバーにとって明確だからこそ、人は組織において、率直に物事を言うことが出来ます。
これは、親と子の関係、先生と生徒の関係、警官と市民の関係で考えれば、分かりやすいかもしれません。
また、多くの会社で、社長が率直にモノを言えるのは、
社長という役割が明確で、社長がルールを決める、という状況だからです。
皆さんの組織は、社長以外のメンバーが率直にモノを言える組織になっていますか?
社長以外のメンバーが率直にモノを言えないとすれば、社長以外のメンバーの「役割」が不明確で、組織内のルール(価値観含む)が不明確だからです。
また、生きていく上で、自分の中における絶対的な「役割」や「ルール」が揺るがない人にとっては、率直な意見を言うことは容易いことなのかもしれませんし、率直であることに恐れが生じずらいかもしれません。
あらためて、みなさんの組織は、率直さが機能する組織として、各メンバーの「役割」、組織の「ルール」は明確になっていますか?