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たった一歩先にいるだけの君へ
熱い波が来てる。今まではなかった、熱い、熱い、身を焦がすほど熱い羨望のような、激情が押し寄せてきている。気の所為じゃない。確かにそこにある。激流となって、渦巻いて、天高くそびえたって、尚崩れなくて、どこか誇り高い。そんな熱が、俺の腹の底から無限大に湧き上がってくる。あいつに負けたくない。心からそう思える。そんな感情ばかり頭を巡る。日常に飽きたような感覚でもある。言語化はもはや不可能だ。俺の語彙が無いとか、言葉遊びが出来ないとかそういう次元じゃない。言葉に出来ないからこそ美しい。出来ないからこそ輝き、人の心をつき動かし、支配しうる感情。そんなものを今たしかに感じている。この身に。
景色がみたいだけなんだ。渦巻いた激情の上から見える、俺の中では世界一高い場所。隣にはあいつがいる。そんな景色を一緒に見たい。その後どうなるかなんて分からない。その塔から転落するかもしれない。今はそれでいい。そうなっていい。その景色を見るために全力を尽くせればいい。