妻の安産を祈願して、蕎麦食べ放題をやってみた【おじさんチャレンジ】
挑戦に至る経緯~Rord to 爆食
最近の胸キュンワードは「麺類注文の方はライス食べ放題」。バイキング、ビュッフェ形式では、炭水化物を最初に取り過ぎて早々に戦線離脱する長谷川誠です。
妻が出産を控えております。
46歳。色々な事にチャレンジと言えば聞こえはいいが、明確に手元に残っているものと言えば、営業・企画職の経験と文章を書きたいという欲求のみ。何でも時代のせいにする風潮は嫌いなのだが、アニメのエンディングよろしく、傷つき倒れていった戦友(同僚)達の顔をバックに「これが…氷河期かっ!」と東北の中心で叫ぶ日々(中心どこだよ)
結婚ましてや親になるなんて、独身貴族から独身元老院、最終的には独身御隠居にでもなるんだろうなぁと、半ば諦めかけていました。そんな自分が家庭を持ち、父親に…。
サブカルくそオタク生活どっぷりの20年前の自分に教えてあげたい。「オープンワールドゲーム『人生』、レベル後半からイベントづくしだよ」と。そして、吉野家の並盛り牛丼弁当でも渡しながら、そっと毛布をかけてあげたい。噛みつく20年前の自分に、青き衣を纏いて金色の野に降り立ちながら「ほら、怖くない」と言ってあげたい。
はい。そんなTV番組「家、ついていってイイですか?」なら、Beatlesの『Let It Be』でも流れそうな、おじさんの一人語り。あ、重くないですよ。違うの違うの、読むのやめないで。結局のところ、ただのオッサンが蕎麦喰っただけの文章ですから(笑)
妻出産を控える→感動→お腹大きいなぁ→おじさんもお腹大きくすることで安産祈願しなきゃ(謎の使命感)
結局はこれ(上記)です。この理由でチャレンジを決意したわけですね。簡単に言うなら「妻と同じ大変さを感じたら、ご利益ありませんかね。ありますよね。」ということです。
目指せ母子共に健康出産!届け!父の祈り!
チャレンジ店紹介~宮城県大崎市『鬼そば食堂てつお』さん
ちなみに”鬼そば”とは、鬼のように量が多い・鬼のように固い・鬼のように蕎麦蕎麦しい…ということではありません。宮城県大崎市鳴子温泉郷の近くにある鬼首(おにこうべ)温泉郷、旧鬼首村で採れた蕎麦粉を使用した蕎麦とのこと。
ちなみに鬼首(おにこうべ)という、ラスボス直前に立ち寄る伝説の装備が隠されている村のような、あるいは鬼殺隊の活躍を後世に伝える場所的な、おどろおどろしい地名ですが…
温泉で全回復した状態の田村麻呂さんが、最終奥義「首切り」を発動させた場所です(所説あります)。
現在は「あさま山荘」の映画で舞台となったことからもわかるように、自然と情緒あふれる寂れた温泉郷。昭和レトロ観光地を思わせる「間欠泉」はスマホゲーム「ドラクエウォーク」のご当地お土産スポットにもなっておりますので、勇者の皆さんも是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
そんな鬼首蕎麦粉を使った”鬼そば”。食堂てつおさんに食べ放題があることに、以前訪問した際に気付いたわけです。
はい。こちらの食べ放題告知を見た瞬間に田村麻呂さんが降臨いたしまして「お腹いっぱいに鬼を詰め込めば、安産祈願になると思うおじゃ!」とありがたいご神託があったわけです(笑)
いざ!実食へ!~当日のコンディション、或いは言い訳
妻の産院にお邪魔し、時間的にも食べ放題開始の14:00~に合わせられる良いタイミングとなった某日。
前日は食べ過ぎず、飲み過ぎず、身重の妻もおりますから、もちろん有事を想定しノーアルコール。当日の朝食は青汁とコーヒー。空腹に耐えかねて、11時頃にコンビニでツナマヨおにぎりを1個食べましたが、消化はされている気配。いい塩梅で空腹状態です。
空腹、と言いながらも、ちょっと心配ごとがあるとするならば「最近胃が小さくなっているんじゃないか」ということ。食マンガの巨匠土山しげる先生の漫画『喰いしん坊!』で学びましたが、”水で胃を拡張したり”していません…。
若かりし頃は「痩せの大食いだね」と言わることも多かった私です。アルコールで胃と脳が麻痺してしまうことも手伝い、飲み締めのラーメン後に吉野家の牛丼食べて帰宅したことも。また、初めて訪問した中華料理屋さんで、大盛りの度合いを知らずにチャーハン大盛りを注文し、ケロヨン洗面器大の容器にたっぷり入ったチャーハンが出てきてしまうも、涙ながらに完食したことも。
が、しかし。30代も半ばを過ぎてからというもの、暴飲暴食の積み重ねが綺麗に健康診断結果に反映。「嗚呼、本当に人って”食べた物”でできているんだなぁ…」と実感。結婚してからは、食生活を少しずつ改善し、それでも健康診断結果の改善具合がイマイチなので、細々とジム通いまで始めたわけですよ。ビバ!高タンパク!低糖質!
まぁ、更新しているテキストがラーメンばかりですから「あ、このおじさん、そこまで食生活改善してないじゃん」ということはモロバレなわけですが…。
これから親になるというのに、健康に悪影響な暴食をしていいのか、おじさんよ!という声も脳内からチラホラ聞こえてきますが、そこはホラ、蕎麦は低GI食品(食後の血糖値上昇が穏やかな食生活改善用食品)ですし。蕎麦美味しいし。山形県民のソウルフードですし。
そんな私、長谷川誠。いざ!祈願チャレンジ!と入店。
食べ放題…その恐ろしさ~敏行さん、その猛者の勢い
店内の食券機で食べ放題のボタンをポチリ。颯爽と着席し、食券を受け取った店員のおばちゃんの「あら、アンタ食べ放題に挑戦すんのかい?喰えんのかい?ウチの食べ放題舐めてもらっちゃ困るよ!」という視線(妄想)に耐えながら提供を待ちます…。
提供待ち。
店内をキョロキョロしていると、コの字型カウンターの向いの席に小柄な恰幅の良いおじさまが。西田敏行さんに微妙に似ているので、仮に”敏行さん”とでも呼びましょうか。
年の頃なら50代ぐらい。たまに虚空を眺めながらため息をつかれております。勢いよく食事をしているというよりは、手を休め、何か物思いにでもふけるような…
あれ?この敏行さんの感じ…
敏行さん、どう見ても明らかに食べ放題にチャレンジ中。
どれぐらい食べたのでしょうか。しかし、提供されているのは板蕎麦(板状の木トレイに乗せるタイプ)。お代わりの度に新しい板で提供されるため、わんこ蕎麦のごとく食べた量がわかるわけではありません。
チラチラ横目で眺めていると、店員のおばさまに「蕎麦のお代わりどうします?」と聞かれております。敏行さん、もう無理じゃないですか?だって完全に表情が”いらすとや”ですよ?何か祈願でもしているんですか?池中玄太80キロっすか?(分からない人は”西田敏行 ドラマ”で検索)
敏行さん「嗚呼…、い、板一枚分の半分…よりちょっと少ないくらい…」
え?まだ、食べるんですか?アレですか、最終的には蕎麦が服着てる状況、古典落語「そば清」のオチみたいにでもなるおつもりか。
敏行さん、あなた何と戦っているんですか?
そんな思いで落ち着かない状況の中、私の目の前にも、ついに食べ放題セットが…
祈願、実食、激闘、その果てに~俺たちの戦いはこれからだ!(打ち切り漫画エンド)
店員のおばさま「蕎麦、つゆのお代わりはいくらでもどうぞー」
目の前の蕎麦を見て「あれ?普通の蕎麦より多くない?」と思う私。
「蕎麦、ボリュームたっぷりですね」とおばさまに伝えると、「あー、食べ放題だから板1枚で特盛りサイズになってるのよ」「多かったら量も減らせるから言ってね」とのこと。な、なるほど…。基本はまとめて提供するタイプなのか。
…よし!実食だ!
つゆに薬味のネギとモミジおろしを全投入。お代わりOKなのでジャンジャン投入します。付け合わせの山菜醤油漬けを一口つまみ、いざ、お蕎麦へ。
しっかりと蕎麦粉の匂いが感じられるお蕎麦は、のど越しも良く、しっかりと「蕎麦ですよ!」と主張してくる硬めの噛み応え。うまい。蕎麦うめぇ。モミジおろしでちょっと辛さを補われた甘めのつゆとマリアージュアニメージュボンボヤージュです。
お蕎麦の国(山形県)の人だもの。蕎麦好きだもの。
ズルズル、噛み噛み、噛み噛み、ズルズル、噛み噛み、噛み噛み。この噛み応えがね、蕎麦ってもんよ。蕎麦喰ってるって感じがするじゃぁねえかい八っつぁんよ!(落語調)噛み噛み…。
蕎麦の湯で時間もあるのでしょうか。1枚目の完食が見えたあたりで、おばさまに「蕎麦、お代わり、どう?」と聞かれたので、即答で「もう1枚」と返答済です。
…。2枚目の1口目を噛み噛みしている時、1枚目終盤から感じていたものの、敢えて言語化しなかった脳からの指令を再度感じます。
あ れ ?
こ れ
今
お 腹 い っ ぱ い じ ゃ な い ?
…。
しっかり噛んでいたために、しっかり満腹中枢が刺激されております。信じたくはない、信じたくはないが、通常の食事なら完全に「ごちそうさま」レベルである。
待て待て待て。これはチャレンジだぞ自分よ。妻の安産を祈願するために、我が身を供物にしているんじゃあないか…。
しかし、2枚目をズルズル噛み噛みと食べ進めますが、気がつけば虚空を眺めて、軽いため息…。
あ、今、明確にわかった。さっき見た敏行さんの状態、あの板蕎麦も2枚目だったんですね。そこから敏行さんは、ちょっとだけ蕎麦追加したのか…。凄いな敏行さん。
頑張れおじさん。頑張れ自分。そして頑張れ妻。頑張れ我が娘。父は祈りを込めて蕎麦を口に運んでいるぞ。
完食…と言いますか
結果
板 蕎 麦 2 枚
で
無念のギブアップ…。
虚空を眺めつつ蕎麦を食べている時にも、おばさまの「蕎麦、お代わり、どう?」という怒涛の波状攻撃を受けておりました。
悩むおじさん。食えるのか、食えないのかどっちなんだい!と脳内きんに君会議が開催されましたが、結果は全会一致で「食えー---ないっ!!」
「お蕎麦が美味しく感じるうちにやめておきます」
とお伝えした時のおばさまの寂しそうな顔。「え?少しだけでも湯でられるよ、蕎麦」「本当に…蕎麦…もういいの?」と、食べ盛り男子に無限に食べ物を与える親戚のおばさま的なリアクションでした。
ありがとう、おばさま。ごめんなさい、おばさま。散々文章の前段で煽ってましたが私おじさんなんです。しっかり噛んだらしっかり満腹になるおじさんなんです。
一生懸命安産を祈願しながら、苦しいぐらいまで食べました。蕎麦湯も美味しかったです。おじさん満足です。普通のおじさんに戻ります(床に箸を置いて退場)
安産祈願!届けっ!この祈り!俺たちの戦いはこれからだっ!
嗚呼、本当に胃、小さくなったかもしれないなぁ。全盛期なら、無理してもう1枚は何とか胃に収められたかもしれないなぁ…。
感じたくはないものだな、老いゆえの”過ち”というものを…
※専門家の指導の下、安全に暴食しております(嘘)決して真似しないで下さい。