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刺さった矢を抜く

相変わらずの日々、相変わらずの二人です。

自分を卑下したり、苦悩したり、「俺はもうだめだあ」「ずっとこんなにしんどい日々が続くのか…」というモードが頻発している彼。

家庭の事情をよく知らない時は、「地球が破滅するわけでもないのに、オーバーだなあ。湯船に浸かって、よく寝ろ!」と思っていた。心配して、なだめすかして、「大丈夫、元気出して」と変な動画を送りつけたり、とことん話を聞いて夜更かししたりして。

でも、それを半年、一年と続ける間に、言われた言葉や、彼のしんどさそのものが自分の中に積もり積もって、しっかり傷ついていた。しかも、私たちが話し込むのはメッセージでのやり取りだ。テキストで言われると、軽く流せずにぐさっと来ることもある。夜に何度も読み返してしまったりして。

多分、私は話を聞くのが下手なんだろう。よく、「女性は愚痴を言うとき、共感して話を聞いてほしいだけなのに、男性は解決策を言ってしまい、よけい女性側の不満が募る」みたいなのがあるけど、わたしは「共感」でも「解決」でもない「掘り下げ」をしてしまうことが多い。

「なるべく間違えないように、もっとよくあなたを理解したいです」ってことなんだけど、話し合っても仕方ないことのほうが多い。だいたい、考えてることを分解すればするほど、微妙な違いが気になって、「うーん、そういうことじゃないんだよな……」に行き着いてしまう。

「どうせトウコにはわかんないよ」「なにもかも疲れたなあ」とか言われ続けた結果、私はすっかり自信をなくしてしまった。些細な言葉のすべてが矢になって「ウウウっ」と刺さってくる。余計なことをしたかもなあと落ち込んだりもする。

最近は婚外恋愛じゃなくて、「鬱の恋人を支えようとしているうちに、自分もまいってしまった。どうしたらいいか?」みたいなYahoo!知恵袋とかを、薄暗いベッドで黙々と読んでいる。暗い。暗すぎる……。

そもそも、彼は奥さんの鬱を引き受けて、彼自身もしんどくなっているので、元を正すと私は彼の奥さんの鬱から影響を受けているんだろう。なんてこった。みんな、順番に健康にならないと。

たぶん友人に聞いても、占い師に聞いても、カウンセラーに聞いても、「すこし離れたほうがいいでしょうね」と言われる気がする。彼がいい男か悪い男かということではなく、彼がしんどそうなのをそのまま受け取りすぎているから。

なのに、やっぱり彼に会うと、すごく気持ちがほどけてしまう🥲。

2か月ぶりの、2時間だけのバカンス。駅から走ってきたんだろう、汗ばんだ彼が居酒屋の席に滑り込んできたら、ものすごくホッとした。

触れ合ったりはしなかったけど、たくさんたくさんしゃべった。まだ私が本調子にならずにいたら、「もう少しだけ、このまま電車乗ってく?」と帰り道を延長してくれた。そういう時、「俺ってやさしいよな。なあ?」って冗談っぽく言って、私がしゃべりやすい空気を作ってくれるところも好きだ。「トウコ、そんな顔しないでよ」とおみやげまでもらって帰った。

私が支えるどころか、またやさしくしてもらってしまった。刺さった矢を一本一本、「あー、こんなとこにも刺さってら」「跡が残らないといいけどね」と一緒に抜いてくれる感じ。君を心配してこうなってるんだけどね……。


今日も彼はあくせくと洗濯をして、買い物に行き、唐揚げをあげて、子どもの宿題を見てあげてる。

相変わらずな日々ですが、どうせ、この先どうなるかなんて、誰にもわからない二人だし。毎日連絡し合えているうちは、ほそぼそと続けていきます。

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