奪われてきたもの
この頃体調が悪い。ついに学校を休んでしまった。こうなることを恐れていたのに。次は何日も休むかもしれない。試験を受けられないかも、留年するかも。
動けなくなるのは苦しい。本当は色んなことをしたい。学校にだって行きたい。研究も進めたい、勉強したい、みんなと楽しくお喋りしたい。
遊びにも行きたい、飲み会にも行きたい。でも今の体調じゃそんなふうに予定を詰めたらあっという間に体調は悪化してしまうことなんて目に見えている。
どうして周りのみんなは出来ていることが僕には出来ないの?病気が奪っていったものは沢山ある。聞けなかった講義、良い成績が取れなかった試験、趣味の友達、その他たくさん。
今なんとか研究だけは踏ん張っている。それが奪われたら僕もう生きている意味なんてない。だから死にかけても研究室にはいくのだ、だからベッドから起き上がらなきゃ。
きっとお医者さんにはゆっくり休んでと言われるだろう。でもどうして?もちろん病気を悪くさせないためだってことは分かる。でもどうしてみんなと同じように勉強したり研究したり遊んだり出来ないの?どうしてこんな脳みそになっちゃったの?
思えば昔から色んな機会を奪われてきた。父親の機嫌が悪くなるから友達の誘いは断っていた。インターネットにも流行りの音楽にも自力で触れることは不可能で、誰かからのおこぼれに与っていた。前の研究だってテーマは本当に好きで面白くて、良い結果になったかもしれないのに、結局病気になって辞めちゃった。
どうして僕こんな目に遭ってるんだろう?まだ自由じゃないの?たくさん頑張ってきたのに。いい子にしてたのに。全部無駄だった?
みんなみたいに元気でいたいよ、嘘の元気じゃなくてさ、みんなみたいにたくさん遊びたいよ。
病気なんてもう嫌だね