僕のこと世界から隠して
外が怖い。知らない人とすれ違う、怒鳴られたことが頭をよぎって、この人は大丈夫なのかなって体が固まる。お店に入って、他のお客さんの邪魔になってないかなって不安になる。レジで店員さんに聞き返されて、声が小さくてごめんなさいって怯える。
家に帰って、布団の中なら安心だと言い聞かせてみる。遠くの道路から聞こえるサイレン、知らない街宣車、アパートの廊下を歩く足音、LINEに流れる関係ないお知らせ、知らない番号からの着信。暖かくて柔らかいはずの布団の中にだって、小さな恐怖は侵入してくる。
目を瞑って、耳栓をして、ようやく世界から切り離されたと思う。親が怒る声が聞こえる、誰かを失望させたこと、友達を不快にさせたこと、どう思われてるかわからないような記憶すら全部全部悪いこととして頭の中に浮かぶ。
僕に逃げる場所はないのかなって思う。カウンセリングで、どこか安心するところを想像してみてくださいと言われた。架空の場所でも構わないと言われたのでそうした。自分以外誰もいない、誰も来ない、電波も届かないそんな場所。だれもインターホンを鳴らなさないし電話もかけてこないしメールもLINEもない。そんな場所に僕は隠れていたい。
僕のこと世界から隠して。世界の全部から。ほんの少しの現実も見えないように。
「世界から隠して」というのはVtuberのるんちょまちゃんが言っていて、本当にいい言葉だなと思ったのでお借りしました。こんなに重い話じゃなくて可愛らしい文脈なのですが、リンクを貼っておきます。