アウトオブコントロール
普通のひとに出来ることができない。朝起きる、きちんと登校する、寝ずに講義を聞く、課外活動をする。「普通」のひととどうしても比べてしまう。どうしてベッドから出られないの、こんなに眠いの、集中力がないの、体力がないの。
もちろん答えは「病気だから」である。そういう病気。だから仕方ない。足を怪我したひとが走れなくても仕方ないのとおんなじように。
それなのに焦りは募る。自分を責める。どうしてだろう。心のどこかで、自分は病気だと認めていないからだろうか。ただ怠けて甘えているだけだと思っているからだろうか。周りの人には病気のことを黙っているから、きちんとしなきゃと思っているからだろうか。
そのどれもたぶん正しい。僕のこと病気だって知っているひとも、僕が元気そうにしているからか、結局普通に接してくる。しんどくない?とか大丈夫?とか言ってくれるひとはほとんどいない。だから僕は頑張って、普通をなんとか装うしかない。真面目な子だねという印象を裏切らないように頑張るしかない。
僕は墜落寸前の飛行機だ。どうにか落ちないように、めちゃくちゃな軌道を描きながらギリギリのところで踏み止まっている。幸いなことに、乗員乗客は僕ひとり、まわりにはなにもなく、もしこのまま墜落したとしても死ぬのは僕ひとりだ。後片付けには迷惑をかけるだろうけれど。
このまま墜落、激突、不時着、軟着陸、あるいは奇跡の復活。この先に待っているのはどれだろうか。