「だましの手口」を読んだあと私がやったこと
「だましの手口」知らないと損する心の法則
西田公昭著 PHP新書
社会心理学者の著者は、詐欺の手口と被害者の心理を、多くの具体的な事例を挙げながら解説しています。本には、詐欺被害の危険度を知るための心理テスト(自己点検表)がついています。私の場合、自己評価は「素直で優しく、まじめ」。そしてそれが「詐欺被害の弱点」だった!
今まで、まわりの人たちに恵まれたのは、「運がよかった」だけなのです。
本の最後に、だましにあう事前対策のポイント3点が挙げられているので、抜粋します:
1.だましについての知識を深める。
2.だましにあったときのシミュレーションをして、普段から練習しておく。
3.相談やサポートのネットワークを広げておく。
私は、警視庁と消費生活センターが公開している情報のなかから、自分に当てはまりそうな事例をチェックしました。
また、本の自己点検表に基づいて、「どんな人物が詐欺被害にあいにくいか?」イメージしました。私がイメージした詐欺被害にあいにくい人物像は、昔のテレビドラマでピーター・フォークが演じた「コロンボ刑事」です。
私は「素直で優しく、まじめ」な今の自分を変えて、コロンボ刑事に近づこうと思いました。
また、だましのシミュレーションでは、「詐欺加害者(犯人)の目線で演じる」シナリオを考えました。犯人と、それを追い詰める刑事コロンボの二役を、想像しながら演じてみるのは楽しい。本の中で、犯人は自分を責める気持ちがなく、「ゲーム感覚で詐欺」をする犯人もいるそうです。
そこで、私がイメージした犯人の心理:
詐欺行為は時系列AからDに進む。
A. 相手をゆすると、相手が自分に最大の関心をもつ、のが快感。
B. 相手が動揺して自分の言うなりになるとき、「相手を支配コントロールしている」感覚が快感。
C. 相手がお金を出すなど「目的の行動をする」までは、ハラハラドキドキする緊張感が快感。
D. 相手がお金を出すなど「目的の行動をした」ときは、やったー!と快感。
このシナリオによると、こちらが被害にあうのはすごく悔しい。彼らの心理をこちらも逆手に取って、「詐欺に快感を抱かせない」ようにするぞ!つまり、
A. 見知らぬ人が、親切を表に出して接触しかけてきたら、無視する。
B. 不審なやつに接触してしまったら、こちらから質問攻めにして、彼らの言うなりにならない。
C. 目的の行動をとるまで、時間を稼いで、彼らがしびれを切らす、ようにする。例えば、かかってきた電話は「30分以上保留にしておく」。メールや手紙なら、一週間以上返信しない。そして、
D. お金を出すなど「目的の行動」をする前に、複数の人たちに相談する。
人々の記憶から消えた、存在しないものたち
詐欺の被害者は、犯人を記憶から消し去り、「人」とみなすこともやめようとするでしょう。人は「嫌なことは、早く忘れよう。こんなことをするのは、人間と思えない」とするからです。詐欺の犯人たちは、人々の記憶から葬られた、言い替えると「存在しないもの」ではないでしょうか?
この本は、社会心理学の視点で書かれています。15年も前に出版されて、注意と喚起を呼びかけているにもかかわらず、詐欺被害は増え続けています。この社会は、「人々の記憶から葬られた、夥しい数の存在しないものたち(犯人)が徘徊している社会」と言い替えることができるかもしれません。
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