【全文和訳】Chorus of the Captains「キャプテンたちのコーラス」【アマンダ・ゴーマン】
アマンダ・ゴーマンはん、アメリカに突如現れたカリスマやね。大統領就任式で朗読した「私たちがのぼる丘」は、たぶん、21世紀最高のスピーチとして記憶されることやろう。
その日本語訳の完全版は、もちろん、トド奈津子先生によるもの。
「人々を団結させるものとは何だ?軍か?金か?旗か?どれも違う・・・・・・できるとすれば物語だ。この世で物語以上に強力なものはない。物語は誰にも止められない。敵に敗れることもない」
て、ティリオン・ラニスターは、王様選ぶときゆうてはったやんか。
“What unites people?” “Armies? Gold? Flags?” "No. It’s stories"
“There's nothing in the world more powerful than a good story. Nothing can stop it. No enemy can defeat it. And who has a better story than Bran the Broken? The boy who fell from a high tower and lived… He's our memory. The keeper of all our stories. The wars, weddings, births, massacres, famines, our triumphs, our defeats, our past. Who better to lead us into the future?”
まさか、ティリラニが誰か知らへんやつなんておらんよな?これやで。ネタバレになるからGOT(ゲームオブスローンズ、Game of Thrones)観てへんやつは、見たらあかんでwww
GOTは、今や欧米における教養、一般常識になっとるから、グローバルで活躍したいモマエは、ちゃんと観るんやで。このスピーチは、七王国史上最高のスピーチのひとつやwww
さて、語るべき「物語」を持つアマンダ・ゴーマンは、現時点ではまさに人々を団結させる「大統領」として相応しい根本的な資質を持っとるとゆえるやろう。多分、ティリラニがここにおっても、アマンダ・ゴーマンが大統領に相応しいゆうでwww
そのアマンダ・ゴーマンが、新しい自作の詩を朗読した。今度は、スーパーボウルの開会式で。
スーパーボウルゆうのは、アメフトの全米一決定戦やねん。アメリカで最も注目されるイベントとゆうても過言やないこの場で、今年、コロナと戦う3人の市民が「名誉キャプテン」として選ばれたんや。
「キャプテン」ゆうのは、もちろんアメフトチームの「キャプテン」のことやで。
そして、今回の詩は、この3人のキャプテンを称える詩になっとる。まー、勇気づけられる。
さーて、今回は翻訳の解説からバリバリでいくでー。ちな、日本語全訳は、ページの一番下に載せとるから、解説いらへんやつは、ページの下までレッツラゴーやで!
「Chorus of The Captains(コーラス・オブ・キャプテンズ)」解説
Today we honor our three captains
今日我らはこの3人に「キャプテン」を授けよう
For their actions and impact in
不確性と困窮の時代に
A time of uncertainty and need.
彼らが踏み出したことと生み出したものの価値故に
先に書いたように、コロナ禍で活躍する3人の市民に「フットボール」の名誉キャプテンちゅう称号を与えるイベントで、それに合わせてアマンダ・ゴーマンはんがこの詩を創ったんや。
しやから、もちろんここでゆう「キャプテン」ゆうのは、アメリカンフットボールの「名誉キャプテン」やね。
次は、これ。
A time of uncertainty and need.
ま、意味としては
「不確実性と、Needの時代/日々」
くらいが適当な訳やね。
コロナ禍を意味しとるのは、当然として、この「Need(=必要)」ゆうのが、訳すうえではかなり厄介なんや。
簡単な単語やけど、この文脈でピッタリくる日本語の単語がなくて困った。
色んなものが足りなくて、どうにもならへん状況みたいな中で、モノや救いを求める感じ。それを表す言葉がなかなか見つからんかった。
第一感では、「渇望」やったんやけど、ちょっとしっくり来いひんかったから、いろいろ思案して「希求」としてみたんやけど、その後、いろいろと検討して、「困窮」にした。
They've taken the lead,
彼らは導いてくれた
Exceeding all expectations and limitations,
すべての期待も限界も上回り
Uplifting their communities and neighbors
地域社会と隣人を引き上げてくれた
As leaders, healers, and educators.
リーダーとして、ヒーラーとして、教育者として
ここは、特に難しいところはないけど、やっぱり印象的なのは、
Uplifting their communities and neighbors(直訳:コミュニティとご近所さんを引き上げた)
やね。コミュニティゆうのを地域社会って訳したんやけど、やっぱりアメリカの社会って小さなコミュニティの集合体なんやろな―。と思う。
As leaders, healers, and educators.
「リーダーとして、ヒーラーとして、教育者」としてって訳したんやけど、もともとは、語感を重視して「リーダーとして、ヒーラーとして、ティーチャーとして」ってゆう訳を考えとったんやけど、ま、ここはそこまで拘らんとええかな、ゆうのと、「ティーチャーとして」なんてゆうと、なんか変な印象になってまうかも思って、教育者にしておいたw
James has felt the wounds of warfare,
ジェームスは負傷で退役した
But this warrior still shares
だが、それでもなおこの戦士は
His home with at-risk kids.
危機に直面する子供たちを家に受け入れてくれた
During Covid, he's even lent a hand
コロナ禍において、家族とファンのために
Live-streaming football for family and fans.
子供たちのフットボールのライブ配信に尽力してくれた
ジェームス(39)はんは、イラク・アフガニスタンに派兵され、その後負傷で退役した元軍人や。PTSDで苦しんだり、下半身不随になりながらも回復して、今は退役軍人を支援することに尽力されてはるらしい。退役軍人が、TVゲームよくやっとるゆうことで、退役軍人をネットワークして交流できるようにしたそうや。
このパートの翻訳は、全体的に難しかった。この短い詩やと情報が少なすぎて、状況がよくわからへんねん。特にここ。
But this warrior still shares
(直訳:だが、それでもなおこの戦士は)
His home with at-risk kids.
(直訳:彼の家をリスクにさらされている子供と共有している)
で、調べてみた。
そしたらな、この状況でジェームスはん夫婦は、「近隣に住む3人の子供たち『ガンに冒されているが、母親は看護師でコロナ患者の看護にあたっている子供』『家を追い出された子供』『グレかけている子供』を自宅に引き取って住まわせとる」ゆう記事を見つけた。子供も8人おって、すでに5人は自立したり、大学の寮で暮らしていたりして、一緒に住んどる子供は3人だけなんやって。
ちゅう訳で、その情報をもとに訳したのが、これや。たった、2行やけど、この背景を知って訳すのと、字面で訳すのは全然ちゃうやろww
But this warrior still shares
だが、それでもなおこの戦士は
His home with at-risk kids.
危機に直面する子供たちを家に受け入れてくれた
続いてこれやね。
During Covid, he's even lent a hand
コロナ禍において、家族とファンのために
Live-streaming football for family and fans.
子供たちのフットボールのライブ配信に尽力してくれた
これは、ググったらすぐ出てきた。ジェームスはんは、コロナ禍で観戦が出来なくなった高校スポーツの試合をライブ配信する手配をしたらしいんや。
どうやったらええのかも分からへんかったけど、子供たちの試合を観たいゆう家族や、ファンのためにやると決めたそうや。もちろん、試合をする本人たちも、みんなに観てもらったほうが嬉しいやろうし。
Trimaine is an educator who works nonstop,
トリメンは、決して立ち止まらない教師だ
Providing his community with hotspots,
コミュニティにWifi環境を提供し
Laptops, and tech workshops,
ノートパソコンと技術講習を提供した
So his students have all the tools
生徒たちは、人生と学校で成功を目指すための
They need to succeed in life and in school.
すべてのツールを手に入れることが出来た
ここは、割と素直に訳せるところやね。読んだ通り。Hotspotsゆうのは、Wifiホットスポットのことやで。
Workshopは、ワークショップやねんな。ワークショップのままでもええねんけど、技術講習のほうが分かりやすいかな思った。
Suzie is the ICU nurse manager at a Tampa Hospital.
スージーは、タンパ病院のICU担当看護師長だ
Her chronicles prove that even in tragedy, hope is possible.
彼女の物語はこれほどの悲劇のなかでも希望があることを示した
She lost her grandmothers to the pandemic,
彼女は、祖母たちをこのパンデミックで失った
And fights to save other lives in the ICU battle zone,
その中でも、彼女はICUという戦場で患者たちの命を救い続けた
Her grandmother「s」、つまりスージーはんは、二人の祖母を亡くされてはるんや。悲しいなー。ただの風邪とはとてもゆわれへんわ。
その中で、自らの命もリスクにさらしながら、恐怖と悲しみを心に押し込めて、重症患者のために尽くす。この献身や誇りが、アメリカ人の琴線にふれるんやろなー。
ここについても、特に訳の上での論点はない。
Defining the frontline heroes risking their lives for our own.
私たちのために命を懸けることで、最前線の英雄の姿を示してくれた
Let us walk with these warriors,
この英雄たちとともに歩もう
Charge on with these champions,
この英雄たちとともに突撃しよう
And carry forth the call of our captains!
そして我らがキャプテンたちの呼びかけを前に進めよう
フロントラインは、まんま最前線なんやけど、元々はもう少し違う訳をあてたかった。なんでかゆうと、フロントラインゆうと、戦場の最前線のことやねん。そのニュアンスをもう少しだしたかってん。
まあ、元々日本語でも「最前線」ゆうたら、戦場の最前線のことやねんけども、今はそうゆうニュアンスが抜け落ちとるやんか。色々と探してみたけど、いまいち、ええ言葉が見つからへんかったから、「最前線」のままにした。
We celebrate them by acting
キャプテンたちを称えよう
With courage and compassion,
勇気と同情を示すことで
By doing what is right and just.
正しく、適切な行いによって
For while we honor them today,
今日、我々が彼らに名誉を与えているが、
It is they who every day honor us
日々我らに名誉を授けてくれているのは、彼らなのだから
ここは、ちょっと難しいところやった。
right and just
right もJustもどっちも「正しい」ゆう訳やねん。
しやけど、微妙にニュアンスが違って、rightはモラル的に正しいとか、正義とかそういう「正しい」、Justは、適切とかぴったりとかそうゆう「正しい」。まとめて「正しいことをすることで」ちゅう訳にしてもええところやねんけど、あえて、分けてみた。
ちゅう訳で、ここまで読んでくれはっておおきに!以下、全訳を一気に載せとくで!
「コーラス・オブ・キャプテン」全訳
今日我らはこの3人に「キャプテン」を授けよう
不確性と希求の時代に
彼らが踏み出したことと生み出したものの価値故に
彼らは導いてくれた
すべての期待も限界も上回り
社会と隣人を引き上げてくれた
リーダーとして、ヒーラーとして、教育者として
ジェームスは負傷で退役した
だが、それでもなおこの戦士は
危機に直面する子供たちを家に受け入れてくれた
コロナ禍において、家族とファンのために
子供たちのフットボールのライブ配信に尽力してくれた
トリマリンは、決して立ち止まらない教師だ
コミュニティにWifi環境を提供し
ノートパソコンと技術講習を提供した
生徒たちは、人生と学校で成功を目指すための
すべてのツールを手に入れることが出来た
スージーは、タンパ病院のICU担当看護師長だ
彼女の物語はこれほどの悲劇のなかでも希望があることを示した
彼女は、祖母をこのパンデミックで失った
その中でも、彼女はICUという戦場で患者たちの命を救い続けた
私たちのために命を懸けることで、最前線の英雄の姿を示してくれました
この英雄たちとともに歩もう
この英雄たちとともに突撃しよう
そして我らがキャプテンたちの呼びかけを前に進めよう
キャプテンたちを称えよう
勇気と同情を示すことで
正しく、適切な行いによって
今日、我々が彼らに名誉を与えているが、
日々我らに名誉を授けてくれているのは、彼らなのだから
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