箱
ガタゴト揺れるこの箱は
たくさんの思惑を乗せて
終点を目指して
ガタゴト ガタゴト・・・
大きなスクリーンに田園風景を映したまま
空には真っ黒な積乱雲を泳がせて
不安げな太陽がこっそりこちらを覗いて
ガタゴト ガタゴト・・・
駅に停まって扉が開けば
夏の風が乗り込んできて
箱は夏風を乗せて走って
ガタゴト ガタゴト・・・
夏だけじゃないのよこの箱は
カマキリだって猫だって乗せて走るわ
あれ、きみも乗りたいの?
ガタゴト ガタゴト・・・
私を乗せて走るこの箱は
いつかあなたのことも乗せて走るわ
ほら、お出口は左側だってさ
ガタゴト ガタゴト・・・
ガタゴト ガタゴト・・・