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かぞかぞ#10最終話 凄く胸に沁みるドラマだった。どんなにお金をかけた大作よりもずっと胸に残る、そしてボクたちの支えになってくれる

ついにこの時が来てしまった…「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」最終話だ。(サムネイルの絵は、ドラマのやつを自分で模写したものです💦)

ひとみの実家に挨拶にいった耕助

ひとみの実家にて 母/美保純 父/黒田大輔 耕助/錦戸亮

食べ過ぎて倒れていた耕助、起き上がる。
父 「(酔っている)耕助君、ひとみを泣かしたら許さへんで」
耕助「幸せにすることしか考えてません」
父「ウソつけや、オレは母さんを泣かしてきたから信用できん」
母 芳子「お父さん、ええこと言うやん。そや。どんどん疑ってこ」
耕助「(小声で)すみません(とベルトを絞める)」
芳子「耕助さん、ひとみを好きか?」
耕助「ハイ。大好きです」
芳子「(両手で頬杖をつき笑顔で)私の方がひとみを好きや
父「うーん。そりゃ間違いない」
耕助「えっ?」
父「(芳子を指さしながら耕助にすり寄り)この人はね!もう!
でたらめに!!ひとみを!愛してますよ!
《廊下で黙って聞いているひとみ》
真顔になる耕助。
父「私はね、かないませんよ、この人には!
ニッコリ笑う芳子。
父「耕助君、あんた!勝てんの?
耕助「勝ち負けやないと思います」
父「あほぅ、勝ち負けに決まっとるやろ!
芳子「人生何でも勝った方がええ」
耕助「…はい。…ひとみさんは、ホンマに素敵な人で」
芳子「そのとおり」
耕助「そのようにお二人がお育てになったんやと思います」
《廊下で聞いているひとみ》
耕助「素敵な人を育てていただき、ありがとうございます(お辞儀)」
ひとみ「うちはずっと工場をやっとって、ひとみを独りにさせることも多かったけどなぁ」
父「そうやなぁ。ひとみが行きたいとこ、どこにも連れていけんかった、可哀そうになぁ」
ひとみ「!この人にさせよう!」
父「ああ、そうやぁ。耕助君、出番や!」
耕助「へ?」
芳子「あたしらが出来んかったこと、あんたがひとみにしてあげるんや!」
耕助「約束します!どこへでも連れて行きます!世界中どこへでも連れて行きます!沖縄へも、ウユニ塩湖でも」
父「??どこや、それ?」
耕助「ボクもよう分かりません。昨日、テレビで見たどっか綺麗な所です」
芳子「ええやん!あたしらが知らんとこ、あたしらの娘が行くんやで!
父「びっくりやな!最高やな!」
芳子「(喜んで)」
耕助「ひとみさんを、絶対!独りにさせません!」
芳子「♬死ぬまで私を~(夫と手をつないで歌い出す)」
父「♬死ぬまで私を」
芳子「♬独りにしないと」
《ひとみ戻ってきて》
父「♬独りにしないと」
芳子「♬あの人が言った~恋の季節よ~」
ダ~ダダ、ダダ~と、歌っている2人の声が遠のいて
現在の芳子「約束やで(洗面台で歯を磨きながら)」
耕助「約束守れんで、すみません(歯磨き)」
芳子「あかん」
耕助「あかん言われましても、ボクもう死にましたから(すすぐ)」
《耕助が草太になっている。芳子には草太が耕助に見えている》
芳子「あかん!」

かぞかぞ#10

結婚前の相手のご両親への挨拶も、かぞかぞでは独特。一風変わった大川夫婦のキャラクターが光る場面。オモシロシーンの中に、親の真心というと大仰だが、お父さん(黒田大輔)と芳子(美保純)の親心に泣かされた。
私の方がひとみを好きや」という母 芳子に続き、酔った父が言う「この人はね!もう!でたらめに!!ひとみを!愛してますよ!私はね、かないませんよ、この人には!」この一連でグッときた。気が抜けないドラマです。

しかも、最終話では「親と子のツボ」をこれでもか!と押してくる。

瀬尾さん節

バイト先の巨匠、瀬尾/岡野陽一 と再会

大九明子Dの情の深さを感じた場面だ。演者ひとりひとりを登場場面でキッチリ魅力を引き出すのは勿論、最終話でこんな作戦(七実の奇妙な夢)でサヨナラ場面を作ってくれた。しかもオモロく作ってくれる👏

奥野瑛太 古館寛治 河合優実 松田大輔

沖縄旅行

岸本家の沖縄旅行をみると、視聴者たちもそれぞれ自分たちの記憶が蘇るのではないだろうか?ボクのうちも沖縄旅行は子供が幼い頃行けた、数少ない家族旅行の一つなので、我がことのように胸の奥がツーンとする。

ひとみと耕助

沖縄で対峙するひとみと耕助

手をつないで歩いてくる瞳と耕助。
ひとみ「心配するこっちの気持ちなんか分からんやろ?」
耕助「どうしたん?ひとみ」
ひとみ「私の気持ちなんか分からんやろ?こんなに不安なこと」
耕助「ひとみ、どうしたん?せっかく沖縄来て楽しいことしてんのに。俺はひとみを喜ばせたいだけやのに。怒ってんの?」
ひとみ「怒ってるよ!先に死んでもうて!」
耕助「え?」
《ひとみ、車椅子に座っている》
ひとみ「耕助、急におらんようになるやなんて、こんな辛いこと、どうやって乗り越えれば良かった?」
耕助「ごめん」
ひとみ「許さへん」
耕助「ごめん、、。」
ひとみ「でも、七実と草太が私を助けてくれた」
耕助「そやな、二人ともホンマにええ子に育った」
ひとみ「二人は、耕助が残してくれた、宝物や・・・・・私は、パパの代わり、できたかな?耕助みたいになれてんのかな?」
耕助「そらもう、俺なんかより、ひとみはもう(泣くのを堪えて)最っ高にパパやったし、ママやった。うん、頑張った(笑顔)」
ひとみ「(笑って)私ら、頑張ったよな」
耕助「せやな」
ひとみ「耕助は、頑張り過ぎた」
耕助「ごめんな」
ひとみ「お願い。七実に、同じ思いはさせんといて。ええよ・・・・いつでも見守ってくれてるって、知ってるから。ええよ、耕助」
耕助「ひとみ(身体が薄く消えそうになっていく)」
ひとみ「またな」
《頷きながら消える耕助》
独りのこったひとみ。

かぞかぞ#10

坂井真紀と錦戸亮の組み合わせは、思いつきそうで、なかなか思いつかないレアな組み合わせだと思う。最初きいた時は、あまりイメージが湧かなかったけれど、ピッタリの組み合わせだった。ここに至る10本の中で、すでに証明済みだけど、ホンマ息の合った二人だと思う。芝居のキャッチボールが実にナチュラルでお互い演技しているように見えない。だから、喜びや悲しみ、そして色んな「心の機微」がダイレクトに届く。

このドラマは、かぞかぞチーム全員から原作者の岸田奈美さん一家、に向けて制作されている。18年前に亡くなったお父さんの胸の内にあったであろう言葉、そのお父さん、夫に対して伝えたかったであろう言葉をドラマを通して創り上げられた奇跡的な作品だったと思う。それは奈美さんの母、ひろ実さんのTweetからもよく分かる。

七実とパパ

河合優実と錦戸亮、この二人も親子にしか見えない。最終話の二人の場面はどれも秀逸だ。何気ない会話が抜群。耕助のTシャツを「ダサっ」と言わせたり、お供え物食べていい?「あれは俺のやろ~(笑)」と言う感じなど、本当に素晴らしい。

七実は小説を書こうと頑張っていて、そこに妄想、ファンタジーの耕助が現れている。
七実「パパがおる~妄想でも嬉しい。これ書ける」
《七実のラップトップを閉じる耕助》
七実「ちょ、、さっきから何?」
耕助「七実」
七実「パソコンの向こうに世界があるって教えたの、パパやで」
耕助「そうや」
七実「じゃ、とめんといて」
耕助「七実、仕事楽しいか?」
七実「うん、いっぱい褒められたい」
《ふたたびラップトップを閉じる》
耕助「ごめんな七実、この向こうに世界があるって言うたん、俺や。けど、この話には続きがあって、俺はそれを、ずーっと、ずーっと一緒にいて教えてあげられると思ってた」
七実「そうや。ちょっと早すぎるバイバイやったわ」
耕助「せやな。ごめんな、七実。あのな・・・世界はここにあるんやで」
七実「・・・・・・家族が世界?それがもうキツイねん」
耕助「家族・・・」

《耕助のモノローグになる》
耕助《そうや、俺の想いは、いっつも家族とともにある七実が生まれて、草太が生まれて・・・》
【ひとみの病室で】★編集変えて耕助おし
耕助「大丈夫や」
ひとみ「何が??何が大丈夫やねん、学校行ったら虐められるかもしれん」
耕助「俺らが守る」
ひとみ「学校かて、行かれへんかもしれん」
耕助「大丈夫」
ひとみ「何が?」
耕助「俺らの子やぞ!」
ひとみ「だから何?」
耕助「・・・なんやねん」
ひとみ「・・・(涙うかべて)」
耕助「・・・」
ひとみ「・・・私らが・・・死んで・・・あの子、独りぼっちになったら、どうせい言うん・・・(すすり泣く)」
耕助「・・・(言葉がない)」
さめざめと泣くひとみに、ティッシュを渡すが跳ねのけられる
耕助「・・・(言葉なく、ひとみを見つめる耕助)」
ずっと泣き続けるひとみ。
かける言葉もみつからず、静かに部屋を立ち去る耕助。

【夜道を独り歩く耕助】
耕助「大丈夫、大丈夫」
と、耕助の指を握りながら歩く幼い七実
七実「七実、大丈夫?」
耕助「大丈夫やで、七実大丈夫~」
七実と手をつなぎ歩いてゆく耕助
草太の分も風船をもらってくる七実
いつもの坂道で家族4人で何気ない会話
「いってきまーす」「いってらしゃーい」
愛車VOLDOが到着した日 
七実「VOLちゃんや」
耕助《大丈夫、みんな笑ろてる。この家族と笑い続けてやる。家族の笑顔を守りつづける。そうや、大丈夫なんや。うちの家族は全員、大丈夫なんや。俺が大丈夫にしたるんや。起きろやオレ、何しとんねん!ごめんな、大丈夫。大丈夫や》
耕助がいなくなったあとの家族の移り変わりが、岸本家のリビングで点描されていく。
耕助《俺がおるから大丈夫や》

かぞかぞ#10
耕助と七実の手
耕助の遺影 中学生の七実

七実と耕助、リビングで向かい合っている
七実「このまま家族のことだけ書いて朽ち果てるの怖いねん」
耕助「なにを生き急いでんのや」
七実「急ぐやろ。親、早死にやし」
耕助「・・・(微笑)」
七実「このまま死ねん。もっと頑張る。もっと褒められたい。ママとおばあちゃんと草太とばあちゃん、幸せにしたい」
耕助「それにはまず、七実が幸せにならなあかん」
七実「褒められる以外の幸せが分からん」
耕助「七実は、そのままで最高やねん。今の七実のまんまで、大丈夫」
七実「パパ」
耕助「他人の評価とか人気なんか、どーでもええ。家族みんな、七実が笑ってることが一番幸せなんやから」
七実「パパ」
耕助「七実は、ホンマにもう、頑張った!よう、頑張った!」
七実「(嬉しそうな笑顔)」
耕助「パパの生きた証や。自慢や。大丈夫(七実の頭をなでる)」
七実「パパ、あんな、、世の中には、二種類の人間がおる、大丈夫な人間と、大丈夫やない人間や」
耕助「・・・うん」
七実「・・・ばあちゃんは、大丈夫。草太も大丈夫」
耕助「・・・」
七実「ママは大丈夫やない」
耕助「・・・・(動揺)」
七実「私も大丈夫やない。だから私、頑張ってる」
耕助「・・・・」
七実「パパ・・・(七実、パパの頭を撫ではじめる)」
耕助「・・・・(娘に撫でられながらじっと見つめている)」
七実「よう頑張ったよな・・・・」
耕助「・・・・(撫でられながら、涙がこぼれ出てくる。かすかに頷く)」
七実「・・・・うん(頷く)」
耕助「・・・・(声を出さずに泣く)」

七実「・・・・あんな、パパに見せたいものがあんねん」

眠っている草太をぽんぽんと起こす七実の手
眠っているばあちゃんをぽんぽんと起こす七実の手
眠っているママをぽんぽんと起こす七実
ひとみ、目を開けると横に七実が座っている

家の外に出ると愛車VOLDOがいて耕助が運転席にいる
ひとみ、車椅子で近づいて・・・

かぞかぞ#10
よう頑張ったよな

河合優実と錦戸亮
耕助が七実の頭を撫で「大丈夫。よう頑張った、パパの生きた証や、自慢や」と励まし、七実も耕助の頭を撫で「よう頑張ったよな」とポツり。無言で撫でつづける七実と心根を受け取る耕助。なんと美しく感動的なシーンだろう。永遠の1シーンだ。河合優実が錦戸を撫でる仕草、それを受け取る錦戸亮、こんなにも感動してしまう場面はない。どんなにお金や時間をかけたドラマや映画よりもずっと、ずっとボクの胸を打った。 

見とけよ世界、この家族と笑い続けてやる!

愛車VOLDOに家族で乗って、耕助の墓参りに行く。その帰り、家族5人を乗せたVOLちゃんは桜満開の中走る

見とけよ世界、この家族と笑い続けてやる

VOLDOは沖縄を走り、ウユニ塩湖を走り、宇宙を走る

この家族と駆け抜けてやる

この家族と駆け抜けてやる!

「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」

こんなに熱中し、毎回、感想を書き記したドラマは初めてだ。自分が演出・監督したドラマでもやったことがない。テレビ放送だけじゃなく、サブスクの中には膨大な数のドラマ・映画があるにもかかわらず「かぞかぞ」にハマったのは、家族というものが人間とは切り離せない永遠のテーマだからかもしれない。実際、最終話で最も直撃してきたのは「親が子を想い」「子が親を想い」という要素だ。そして、演者の皆さんのナチュラルな演技がホンマ説得力があって、じーっと見ていられるのだ。河合優実さん、の素晴らしさを知り、目黒シネマの河合優実特集を2日連チャンで4作品観たりしたのも初めてだ。演技者としての魅力、潜在能力はピカイチだと思う。坂井真紀、吉田葵、錦戸亮、美保純、林遣都、それぞれの魅力も堪能したし、今回初めて知った方々の良さも新鮮でした。ダウン症の吉田葵君が連ドラで、並みならぬ努力をし、安田龍生さんと二人三脚で最後まで突っ走ったのも素晴らしいと思います。特に、9話で錦戸亮と二人で明け方の一本道を歩くワンカットでの演技の素晴らしさをTwitterに書いたところ、吉田さんの親御さんからステキなコメントをいただいた。

錦戸亮のさり気ない優しさ、が良く分かるコメントなので紹介させてもらいました。声変わりする前15歳の錦戸亮から考えると、耕助じゃないけれど親メセンにならざるを得ません(笑)。大丈夫。みーんな、大丈夫やと思いました。

この素晴らしいドラマを制作してくれた大久明子さんはじめチームかぞかぞの皆さまに心より御礼申し上げます。このドラマが一日も早く、地上波NHKで放送されますように!!

ありがとうございました!

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
【出演】河合優実/岸本七実、坂井真紀/ひとみ、吉田葵/草太、錦戸亮/耕助、美保純/大川芳子、奥野瑛太、岡野陽一、松田大輔、福地桃子/マルチ(天ケ瀬環)、林遣都/小野寺、山田真歩/末永、古館寛治/TVP二階堂、椛島光/斉藤 ほか 草太担当:安田龍生
【原作】岸田奈美 【脚本】市之瀬浩子 【演出 脚本】大九明子

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