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関西カッパ考察#2「阪急かっぱ横丁」の謎(フィールドワーク)

鹿児島から大阪へ引っ越して一年半、
カッパ要素の少なさに驚き、干からびつつあった。

そこで訪れたのが「阪急かっぱ横丁」。
大阪メトロ中津駅から徒歩5分ほど。阪急梅田駅からも近い。

大阪メトロ 中津駅
かっぱ横丁 入口

お気づきだろうか、明らかな河童らしきシルエット。阪急は鉄道会社だと思っていたが。はて?

よい瞬間、よい出逢い。キャッチコピーもしっかりしている。

もっとホコリっぽい飲み屋街を想像していたが、色あせた様子はなく、清潔感がある。装飾は焦茶色の板材で落ち着いている。
新しめのポスターにはグリーンのカッパが登場する。
(指が4本である。なかなかのこだわり。)
それにしても「かっぱ」の書体がエモい。

看板や案内では雌雄のカッパがシルエットとなって客をいざなう。なんだかちょっとドキドキする。

ラーメン店、居酒屋、カフェ、カラオケ店、占い館
カラー版のカッパカップル。耳がある。女子はマツエクとカラコン。
通路にゴミはなく、観葉植物がきちんと手入れされていた。
うまそうじゃないか
途中で外につながる出入口があるので、風通りがよい。
でた!

唐突にあらわれた立像!マスコットがそのまま立体化されている。ずいぶんお金がかかっている。塗料が色あせていないので、最近リニューアルされたのだろうか?
岩に乗っているところが、かわいい。メス河童もしっかりワインを呑んでいる。楽しそうである。

おちょこ(?)、とっくり、阪急電車、フォークとナイフ、河童の皿。さりげなく高度なピクトデザインが施されている。
おそらく夜は光るのだろう。男女の出逢いを後押しするかのよう。

とはいえ、どうして「かっぱ横丁」なのか。
例えば福岡の田主丸、鹿児島の薩摩川内ならばこのようなネーミングの横丁があって当然
――古くから地域に河童伝承が根付いており、地元民も河童的存在への愛着があるからだ。

しかし大阪のこの地(中津~梅田近辺)で「かっぱ」にこだわる理由があるのだろうか? 伝承など聞いたことがない。
「梅田」がもともと「埋田」だった説は有名だが。

ぶらぶらしていると、ついに出逢った。

河童やないか。

あわてて写真におさめる。どうやら「居酒屋がたろ」さんの河童らしい。ああ、「がたろ」だ。関西ではやはり「がたろ」呼びがメジャーなようだ。
良い目をしている。

居酒屋がたろ

調べると系列店のある居酒屋で、かっぱ横丁店舗のみ「がたろ」屋号らしい。口コミでは、わりと昔からある店舗とのこと。一体、いつから?
中に入って酒をなめながら話を聞きたかったが、準備中だし、筆者は今妊娠7か月だし……いつか協力者を連れて入りたい。

店舗HPより(https://www.t-cb.co.jp/shop/gataro/ 
照明のせいだろうか、カッパが白いような・・・。かつては白かった?

梅田=「埋立地」については、大阪の開発歴史を語る際によく出る。

現在の大阪駅周辺は、豊臣秀吉のころは大坂の北の外れだった。淀川のすぐ南にあたるこの地域は海抜ゼロメートルの低地でたびたび川が氾濫した。梅田の北に隣接する「中津」が淀川の支流だった中津川のあった跡であることも、現在の大阪駅周辺が近代に至るまで低湿地であったことを示している。
 この低湿地を埋めて田畑にしたところから「埋め田」と呼ばれ、のちに、めでたい佳字(けいじ)「梅」に変えられたのではないかというのが、「梅田」という地名の由来の定説になっている。

上記記事より

はっきりとした河童伝承には辿り着けなかったものの、
・この地にかつてたびたび氾濫する川があったこと。
・湿地を埋め立てられてできた土地であること。
これが「何故、ここで、カッパ?」のとりあえずの答え(考察)である。

度重なる水害への畏れから、かつてはカッパ信仰のようなものがあったのだろう。もっと古くは水神信仰かもしれない。
あるいは、所謂「河原者」の家や店があって栄えていたのか。
都市開発(鉄道工事)とともに、名実ともに埋められてしまったが、
何者かが、「かっぱ横丁」を残した。

(阪急の名を冠しているので、仕掛け人は阪急の中の人だろうか。)
さて、ここから先をどうやって調べたものか。
出産まで100日を切った筆者は、腹をなでながら天井を見上げている。

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