関西カッパ考察#2「阪急かっぱ横丁」の謎(フィールドワーク)
鹿児島から大阪へ引っ越して一年半、
カッパ要素の少なさに驚き、干からびつつあった。
そこで訪れたのが「阪急かっぱ横丁」。
大阪メトロ中津駅から徒歩5分ほど。阪急梅田駅からも近い。
お気づきだろうか、明らかな河童らしきシルエット。阪急は鉄道会社だと思っていたが。はて?
もっとホコリっぽい飲み屋街を想像していたが、色あせた様子はなく、清潔感がある。装飾は焦茶色の板材で落ち着いている。
新しめのポスターにはグリーンのカッパが登場する。
(指が4本である。なかなかのこだわり。)
それにしても「かっぱ」の書体がエモい。
看板や案内では雌雄のカッパがシルエットとなって客をいざなう。なんだかちょっとドキドキする。
唐突にあらわれた立像!マスコットがそのまま立体化されている。ずいぶんお金がかかっている。塗料が色あせていないので、最近リニューアルされたのだろうか?
岩に乗っているところが、かわいい。メス河童もしっかりワインを呑んでいる。楽しそうである。
とはいえ、どうして「かっぱ横丁」なのか。
例えば福岡の田主丸、鹿児島の薩摩川内ならばこのようなネーミングの横丁があって当然
――古くから地域に河童伝承が根付いており、地元民も河童的存在への愛着があるからだ。
しかし大阪のこの地(中津~梅田近辺)で「かっぱ」にこだわる理由があるのだろうか? 伝承など聞いたことがない。
「梅田」がもともと「埋田」だった説は有名だが。
ぶらぶらしていると、ついに出逢った。
あわてて写真におさめる。どうやら「居酒屋がたろ」さんの河童らしい。ああ、「がたろ」だ。関西ではやはり「がたろ」呼びがメジャーなようだ。
良い目をしている。
調べると系列店のある居酒屋で、かっぱ横丁店舗のみ「がたろ」屋号らしい。口コミでは、わりと昔からある店舗とのこと。一体、いつから?
中に入って酒をなめながら話を聞きたかったが、準備中だし、筆者は今妊娠7か月だし……いつか協力者を連れて入りたい。
梅田=「埋立地」については、大阪の開発歴史を語る際によく出る。
はっきりとした河童伝承には辿り着けなかったものの、
・この地にかつてたびたび氾濫する川があったこと。
・湿地を埋め立てられてできた土地であること。
これが「何故、ここで、カッパ?」のとりあえずの答え(考察)である。
度重なる水害への畏れから、かつてはカッパ信仰のようなものがあったのだろう。もっと古くは水神信仰かもしれない。
あるいは、所謂「河原者」の家や店があって栄えていたのか。
都市開発(鉄道工事)とともに、名実ともに埋められてしまったが、
何者かが、「かっぱ横丁」を残した。
(阪急の名を冠しているので、仕掛け人は阪急の中の人だろうか。)
さて、ここから先をどうやって調べたものか。
出産まで100日を切った筆者は、腹をなでながら天井を見上げている。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?