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ラマナ・マハルシの『私は誰か?』解説その2

※タイトル写真はアルナーチャラ(大嘘)の丘に登ったときの景色。


問5 世界が(実在として)存在しているときでさえ、真我が実現されるということはないのでしょうか?

回答は「ないだろう」の一言。

この質問文、英文(原文はタミル語なので原文ではない)では
Will there not be realization of the Self even while the world is there (taken as real)?
となっており、なんか「(日本語訳が)ちょっとズレてるかな」という印象を受けてしまいます。

括弧とか無視して質問文を日本語訳すると、「世界が実在していると勘違いしている間も、真我に気付くことはあるのでしょうか?」となるのですが、こんなのは言葉遊びに過ぎないのでどっちでもいいでしょう(じゃあ書くなよ)。

「対象」と「主体」

それは置いといて前回の問4で言及した「対象」と「主体」について。

簡単にいうと

  • 対象:出来事、状況、他人、自分の身体、持ち物、肩書、思考、感情、知覚などなど認識できる対象。普段から皆さんが囚われているもの。要するに問4~問7でいう「世界」のこと。

  • 主体:上記の対象を見聞き認識している、把握している者。後に出てくる「私」がこれに当たる。

こんな感じなのですが、先にぶっちゃけておくと、我々が考えているこの「主体」すらも嘘っぱちなのであります。

なぜなら、「対象と主体」という概念自体が、既に二極化、分離、二元性を起こしており、不二一元という根本から外れているから。
「主体」「対象」のどちらかがニュッと出てきたら、自ずとその相手方も出てくるというのはお分かりでしょう。

※結局は「主体」も「対象」もなく、全ては一つだということだが、自分で体験しないと分からない。

まぁ「不二一元」なんてのも概念の一つだし、この辺は分かる人だけ分かっていればいいし、恩寵によって分かる人も出てくることでしょう。

問6 なぜでしょうか?

ロープ(実在)を蛇(非実在)だと勘違いしていると「あっ蛇だ!」「やだ怖い~><」が続く、というのは皆さんご存知の通り。

それと全く同じで、「真我(実在)」を「世界は実在する(非実在)」であると勘違いしていると、決して真我は現れない、というのが回答。

どういうことなの…と思われるでしょうが、読んだまま文字通りのことです。

まぁ「世界は実在する」というのが嘘八百である、ということが信じられない人が全人類のほぼ全て、99.9999%だろうからね、しょうがないね。

問7 対象として見られている世界は、いつ消え去るのでしょうか?

「原因である心が静かになったとき」が回答ですが、ここで用語解説。

心、想念、静寂

  • :英語だとmindで、つまりマインドのこと。思考やら感情やら知覚やら記憶やらを含む諸々。意味合い的には「五蘊」に似てる。

  • 想念:英語だとthoughtで、つまり思考のこと。みなさんご存知の「頭の中の声」。問8にある通り、心の本性。

  • 静かになったとき:心が真我の中でじっとしているとき。問11の回答にある通り。専門用語だと「アンタール・ムカ」。

このような感じで、「心が静かになったとき」と聞くと私的には「照見五蘊皆空」のフレーズを思い出してしまいますヮ。次に続くのが「度一切苦厄」だし。

※あと、自己探求とか実践すると、「色不異空空不異色色即是空空即是色」「是諸法空相」「是故空中無色無受想行識」「無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽」「無罣礙」なんてものが知識ではなく実感として分かります。やったじゃないですか~!

そういや、ラマナは仏教についてはあまり言及しなかったようだけど、パパジは

仏教徒は「往けり往けり、彼岸に往けり(※羯諦羯諦波羅羯諦のこと)」と言う。あなたは彼岸に行く。そして彼岸をも超えていくのだ。それから、あなたはその彼方の彼方へと超えていく。彼岸へと向かっている間は、あなたはまだ二元性の中に、まだ心の中にいる。方向や目的地について熟考することはできる。だが、心を終焉させるには、あなたは心の定めた目的地のさらなる「彼方の彼方へ」と超えていかなければならないのだ。
心が消え去った瞬間を示唆するもう一つの言葉がある。それが心が形のない彼方に消えた後に続く、「スヴァーハー!(※薩婆訶のこと)」という感嘆句だ。

『覚醒の炎』

と、仏教にも触れています。

ラマナは南インド出身だけどパパジは北インド出身だから?いや南インドでもスリランカとかあるやん、などと思いましたが、アドヴァイタだろうが仏教だろうが目指すところは同じだからね、しょうがないねということで、今回はここまで。

<参考文献>


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六郎
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