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おばけの短歌(野川たま)
白線を選んで歩く少年はおばけの白に憧れている
生きていた頃の記憶も遠のいてふたしかな濃さで揺らめくおばけ
小説におばけが登場するたびに青い付箋を貼りつけてゆく
差し出した手は握り返されずおばけをすり抜けてきみはゆく
日中のおばけは雲に擬態すと論文に書き却下されたい
服を脱ぎ電気を消して目を閉じてわたし今ほぼおばけと等価
おばけでも見たような顔しちゃってと言うきみの肩におばけを見てる
雑踏の貌はたがいに興味なくおばけの気分でS字にあるく
幸福な夢に出てくるときくらいおばけの姿じゃなくていいのに
あの日見たおばけと徐々に似てきたな喜怒哀楽の怒を欠いたまま
探してたものがなにかを忘れても彷徨うほかないおばけみたいに
幼少の記憶彩る土草木川おばけ森夢雨光
朝がくるたび消えたいと言いあっておばけなのかなあなたとわたし
薄闇と黄色い花が好きだった元来おばけの素養はあった
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最近は短歌の気分でした。